3 / 11
03話 開かれた真理の扉
(王太子妃になりたくないなら、王妃教育には行かないほうが良いわよね)
王妃教育は、王太子妃になるための教育、いずれ王妃になるための教育です。
王太子妃になりたくないなら、やらなくて良いことに気付いてしまいました。
両親は失望するかもしれませんが、両親にはすでに叱られ続けているので同じことです。
(王妃教育をさぼりまくって、王子の婚約者にふわさしくないという事になれば、婚約解消できてしまうかも?!)
私の心は浮き立ちました。
(お父様に叱られるのはいつものこと。いつもと同じよ。どうせ同じく叱られるなら、婚約解消できたほうがお得だわ。婚約解消されて修道院へ送られるなら、それも良いわ。今の生活に比べたら、修道院のほうが気楽よ。頑張るよりもラクしてさぼったほうが幸せになれるんじゃないかしら!)
閃いた名案に、私がわくわくしていると。
私の陰口を言うヒソヒソ声が耳に入って来ました。
「フェリシア様は百十九位よ。また成績が落ちているわ」
「フェリシア様の成績は、もう下から数えがほうが早いわね」
「どうしてフェリシア様が王太子妃に選ばれたのかしら」
「あんな不出来なご令嬢は、ご立派なルシアン殿下の婚約者にふさわしくないわ」
(そうよ、そうよ! その通りよ! もっと言って良いのよ?)
私は、私の陰口を言う令嬢たちに、心の中で相槌を打ち、エールを送りました。
(ルシアン殿下の婚約者にふさわしくない娘になるには……。やはり学年最下位よね。次の試験では全教科で零点を取って学年最下位になってみせましょう。そして王妃教育もさぼりまくる。これで決まりよ!)
私の夢は大きく羽ばたきました。
(ふふふ……。あなたたちはこれから、私が学年最下位になる光景を見るのよ! 刮目なさい! そして囀りなさい! 私など王太子妃に相応しくないと!)
私が内心でほくそえんでいると……。
「フェリシア様、少しよろしいかしら?」
いきなり、声を掛けられました。
私に声を掛けて来た相手は、ラルベル公爵令嬢セリーヌ様です。
「あら、セリーヌ様、ごきげんよう」
私がそう挨拶をすると、セリーヌ様は何が気に障ったのか、むっとして顔をしかめました。
「フェリシア様、あなたはルシアン殿下の婚約者である自覚はありますの?」
「はい。私はルシアン殿下の婚約者です」
「フェリシア様はご自分の成績が恥ずかしくありませんの?」
セリーヌ様はますます不愉快そうにして、私を糾弾しました。
「ルシアン殿下の婚約者であるならば、ふさわしいお振舞いをなさるべきです」
「はい。私はルシアン殿下の婚約者としてふさわしい成績をとり、ふさわしい振舞いをしております」
成績がルシアン殿下より低いのは、ちゃんと王妃教育の通りですからね。
セリーヌ様は王妃教育の内容をご存知ないでしょうけれど。
私は一点の曇りもなく、ルシアン殿下の婚約者としてふさわしい行動をとっていると自負しておりましてよ。
(あら? ルシアン殿下と婚約破棄したいなら、これって、言ったほうが良いのではないかしら?)
ルシアン殿下の成績を超えないようにしていることは、ルシアン殿下の面子のために、私は家族以外には口外していませんでした。
でも私は気付いてしまいました。
それは王太子妃にふさわしすぎる行動であると。
王太子妃にふさわしくない行動をとるなら、これは口外してしまうべきですわね。
「セリーヌ様は王妃教育をご存知ないでしょうけれど。ルシアン殿下の妃となるならば、ルシアン殿下の成績を超えてはいけないと、王妃様から言われているのです。ですから私はルシアン殿下の成績に合わせて下げているのですわ」
「ふざけたことを言わないでくださいませ!」
「ふざけていません。本当のことです。王妃様による王妃教育です」
「聡明な王妃様がそんなことをおっしゃるはずがありませんわ!」
聡明な王妃様、ですか。
うちの両親も同じことを言っています。
私は毎週、王妃様と顔を合わせていますが、まだ王妃様が聡明な場面を一度も見たことがないというのに。
「王妃様って、そんなにご聡明なんですの?」
私が首を傾げてそう質問すると、セリーヌ様はむっとなさいました。
そしてやはり眉を吊り上げた不愉快そうな顔で、横から割り込んで来たご令嬢がいました。
「恐れ入ります。発言を許可していただきたく存じます」
「あら、あなたは、ガイヤール辺境伯令嬢でしたかしら」
私がそう声をかけると、横入してきたご令嬢は険しい顔で頷きました。
「はい。ガイヤール辺境伯が娘ブランシュと申します」
「どうぞ、おっしゃりたいことがあるなら、自由に発言なさって」
「ありがとうございます」
ガイヤール辺境伯令嬢ブランシュ様は私に礼を取ると、怒り顔で語り始めました。
「王妃様は大変ご聡明でご慧眼なお方です。辺境における我が家の役目を理解してくださっていることはもちろん、我が家の農業事業についてもご存知でいらっしゃいました。ブルーベリーの品種改良のこともご存知で、お褒めくださいました」
ガイヤール辺境伯領の、ブルーベリー……?
最近、王妃教育の課題で、書いた覚えがあるわ……。
王妃教育は、王太子妃になるための教育、いずれ王妃になるための教育です。
王太子妃になりたくないなら、やらなくて良いことに気付いてしまいました。
両親は失望するかもしれませんが、両親にはすでに叱られ続けているので同じことです。
(王妃教育をさぼりまくって、王子の婚約者にふわさしくないという事になれば、婚約解消できてしまうかも?!)
私の心は浮き立ちました。
(お父様に叱られるのはいつものこと。いつもと同じよ。どうせ同じく叱られるなら、婚約解消できたほうがお得だわ。婚約解消されて修道院へ送られるなら、それも良いわ。今の生活に比べたら、修道院のほうが気楽よ。頑張るよりもラクしてさぼったほうが幸せになれるんじゃないかしら!)
閃いた名案に、私がわくわくしていると。
私の陰口を言うヒソヒソ声が耳に入って来ました。
「フェリシア様は百十九位よ。また成績が落ちているわ」
「フェリシア様の成績は、もう下から数えがほうが早いわね」
「どうしてフェリシア様が王太子妃に選ばれたのかしら」
「あんな不出来なご令嬢は、ご立派なルシアン殿下の婚約者にふさわしくないわ」
(そうよ、そうよ! その通りよ! もっと言って良いのよ?)
私は、私の陰口を言う令嬢たちに、心の中で相槌を打ち、エールを送りました。
(ルシアン殿下の婚約者にふさわしくない娘になるには……。やはり学年最下位よね。次の試験では全教科で零点を取って学年最下位になってみせましょう。そして王妃教育もさぼりまくる。これで決まりよ!)
私の夢は大きく羽ばたきました。
(ふふふ……。あなたたちはこれから、私が学年最下位になる光景を見るのよ! 刮目なさい! そして囀りなさい! 私など王太子妃に相応しくないと!)
私が内心でほくそえんでいると……。
「フェリシア様、少しよろしいかしら?」
いきなり、声を掛けられました。
私に声を掛けて来た相手は、ラルベル公爵令嬢セリーヌ様です。
「あら、セリーヌ様、ごきげんよう」
私がそう挨拶をすると、セリーヌ様は何が気に障ったのか、むっとして顔をしかめました。
「フェリシア様、あなたはルシアン殿下の婚約者である自覚はありますの?」
「はい。私はルシアン殿下の婚約者です」
「フェリシア様はご自分の成績が恥ずかしくありませんの?」
セリーヌ様はますます不愉快そうにして、私を糾弾しました。
「ルシアン殿下の婚約者であるならば、ふさわしいお振舞いをなさるべきです」
「はい。私はルシアン殿下の婚約者としてふさわしい成績をとり、ふさわしい振舞いをしております」
成績がルシアン殿下より低いのは、ちゃんと王妃教育の通りですからね。
セリーヌ様は王妃教育の内容をご存知ないでしょうけれど。
私は一点の曇りもなく、ルシアン殿下の婚約者としてふさわしい行動をとっていると自負しておりましてよ。
(あら? ルシアン殿下と婚約破棄したいなら、これって、言ったほうが良いのではないかしら?)
ルシアン殿下の成績を超えないようにしていることは、ルシアン殿下の面子のために、私は家族以外には口外していませんでした。
でも私は気付いてしまいました。
それは王太子妃にふさわしすぎる行動であると。
王太子妃にふさわしくない行動をとるなら、これは口外してしまうべきですわね。
「セリーヌ様は王妃教育をご存知ないでしょうけれど。ルシアン殿下の妃となるならば、ルシアン殿下の成績を超えてはいけないと、王妃様から言われているのです。ですから私はルシアン殿下の成績に合わせて下げているのですわ」
「ふざけたことを言わないでくださいませ!」
「ふざけていません。本当のことです。王妃様による王妃教育です」
「聡明な王妃様がそんなことをおっしゃるはずがありませんわ!」
聡明な王妃様、ですか。
うちの両親も同じことを言っています。
私は毎週、王妃様と顔を合わせていますが、まだ王妃様が聡明な場面を一度も見たことがないというのに。
「王妃様って、そんなにご聡明なんですの?」
私が首を傾げてそう質問すると、セリーヌ様はむっとなさいました。
そしてやはり眉を吊り上げた不愉快そうな顔で、横から割り込んで来たご令嬢がいました。
「恐れ入ります。発言を許可していただきたく存じます」
「あら、あなたは、ガイヤール辺境伯令嬢でしたかしら」
私がそう声をかけると、横入してきたご令嬢は険しい顔で頷きました。
「はい。ガイヤール辺境伯が娘ブランシュと申します」
「どうぞ、おっしゃりたいことがあるなら、自由に発言なさって」
「ありがとうございます」
ガイヤール辺境伯令嬢ブランシュ様は私に礼を取ると、怒り顔で語り始めました。
「王妃様は大変ご聡明でご慧眼なお方です。辺境における我が家の役目を理解してくださっていることはもちろん、我が家の農業事業についてもご存知でいらっしゃいました。ブルーベリーの品種改良のこともご存知で、お褒めくださいました」
ガイヤール辺境伯領の、ブルーベリー……?
最近、王妃教育の課題で、書いた覚えがあるわ……。
あなたにおすすめの小説
2年早めた幸せ
みやび
恋愛
「お前との婚約を破棄する為にわざわざ来てやったぞ」
麗かな春の陽気。学園の庭園が綺麗でご機嫌なお嬢様に、我が国の殿下であるバスチアン・アルジョン様がそう言い放った。
理由は殿下の恋人であるリリアーヌ様をいじめたとかなんとか……
お嬢様は全くの無実ですのでほっといて帰りましょう、、、ってお嬢様
「なら私の罰は、国外追放ですの?」
笑顔でなんてこと言ってるんですか‼︎
ーーー
よくあるざま〜系に寄せたつもりのお話です。
5話で完結です。
「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした
ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
父が転勤中に突如現れた継母子に婚約者も家も王家!?も乗っ取られそうになったので、屋敷ごとさよならすることにしました。どうぞご勝手に。
青の雀
恋愛
何でも欲しがり屋の自称病弱な義妹は、公爵家当主の座も王子様の婚約者も狙う。と似たような話になる予定。ちょっと、違うけど、発想は同じ。
公爵令嬢のジュリアスティは、幼い時から精霊の申し子で、聖女様ではないか?と噂があった令嬢。
父が長期出張中に、なぜか新しい後妻と連れ子の娘が転がり込んできたのだ。
そして、継母と義姉妹はやりたい放題をして、王子様からも婚約破棄されてしまいます。
3人がお出かけした隙に、屋根裏部屋に閉じ込められたジュリアスティは、精霊の手を借り、使用人と屋敷ごと家出を試みます。
長期出張中の父の赴任先に、無事着くと聖女覚醒して、他国の王子様と幸せになるという話ができれば、イイなぁと思って書き始めます。
とある断罪劇の一夜
雪菊
恋愛
公爵令嬢エカテリーナは卒業パーティーで婚約者の第二王子から婚約破棄宣言された。
しかしこれは予定通り。
学園入学時に前世の記憶を取り戻した彼女はこの世界がゲームの世界であり自分が悪役令嬢であることに気づいたのだ。
だから対策もばっちり。準備万端で断罪を迎え撃つ。
現実のものとは一切関係のない架空のお話です。
初投稿作品です。短編予定です。
誤字脱字矛盾などありましたらこっそり教えてください。
「価値がない」と言われた私、隣国では国宝扱いです
ゆっこ
恋愛
「――リディア・フェンリル。お前との婚約は、今日をもって破棄する」
高らかに響いた声は、私の心を一瞬で凍らせた。
王城の大広間。煌びやかなシャンデリアの下で、私は静かに頭を垂れていた。
婚約者である王太子エドモンド殿下が、冷たい眼差しで私を見下ろしている。
「……理由を、お聞かせいただけますか」
「理由など、簡単なことだ。お前には“何の価値もない”からだ」
あなたでなくても
月樹《つき》
恋愛
ストラルド侯爵家の三男フェラルドとアリストラ公爵家の跡取り娘ローズマリーの婚約は王命によるものだ。
王命に逆らう事は許されない。例え他に真実の愛を育む人がいたとしても…。
(完結)モブ令嬢の婚約破棄
あかる
恋愛
ヒロイン様によると、私はモブらしいです。…モブって何でしょう?
攻略対象は全てヒロイン様のものらしいです?そんな酷い設定、どんなロマンス小説にもありませんわ。
お兄様のように思っていた婚約者様はもう要りません。私は別の方と幸せを掴みます!
緩い設定なので、貴族の常識とか拘らず、さらっと読んで頂きたいです。
完結してます。適当に投稿していきます。