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08話 良い知らせ
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「フェリシア、お前とルシアン殿下の婚約は解消となった」
その夜、父が私に良い知らせを持ってきました。
「ルシアン殿下が学院で婚約破棄を公言してくれたのが良かった。ラルベル公爵令嬢やガイヤール辺境伯令嬢も目撃していたらしく、ラルベル公爵とガイヤール辺境伯が後押ししてくれた」
ラルベル公爵令嬢とガイヤール辺境伯令嬢というのは、セリーヌ様とブランシュ様ですわね。
私の婚約破棄を後押ししてくださるなんて。
お二人とも、なんてお優しいのでしょう。
天使のような方々だわ。
もうラルベル公爵領とガイヤール辺境伯領には足を向けて眠れませんわね!
「ラルベル公爵は娘を王太子妃にする目的ありきだったがな。ラルベル公爵令嬢が新たな王太子妃に内定した」
「まあ! おめでたいこと!」
嬉しい知らせに、私の顔は自然とほころびました。
フリアデル王国の特使をもてなす晩餐会で、ルシアン殿下はやらかして、金メッキが剥がれていると思うのですが。
不出来でお先真っ暗なルシアン殿下と婚約なさるなんて。
セリーヌ様はやはり大変な篤志家でいらっしゃいますわね。
他人が嫌がる仕事を率先して引き受けてくださるなんて、なかなか出来ることではありません。
本物の奉仕の心をお持ちでいらっしゃるのね。
尊敬してしまいますわぁ。
「では、私は晴れて、修道院へ行って悠々自適に暮らせるのでしょうか!」
私がわくわく顔でそう尋ねると、父は冷厳とした表情で言いました。
「修道院になど行かせん。馬鹿なことを考えるんじゃない。お前には次の縁談を用意している。相手はヴェルニエ公爵のご令息だ」
ヴェルニエ公爵令息……。
そういえば、ヴェルニエ公爵家には、ラルベル公爵令嬢セリーヌ様と婚約解消してフリーになったご令息がいらっしゃいました。
「ユベール様ですか?」
「そうだ。知っているのか?」
「学院で面識があります」
「王太子ルシアン殿下の評判が落ち始めている今、国王陛下の従弟であるヴェルニエ公爵に王統が移る可能性がある。縁を結んでおいて損はない」
そうなのです。
ルシアン殿下は評判が落ち始めているのです。
王妃様とともに。
フリアデル王国の特使様をおもてなしする席で、失言をしてから。
坂道を転がるように失態が続いているそうです。
ご聡明なはずのルシアン殿下が、急にどうなさったのでしょうねぇ。
不思議ですわねぇ。
「フェリシア、今度はふざけたことをするんじゃないぞ。真面目にやるのだ」
「ふざけたお相手でなければぁ、私だってぇ、大丈夫ですぅ」
「いい加減、そのふざけた口調をやめないか……」
その夜、父が私に良い知らせを持ってきました。
「ルシアン殿下が学院で婚約破棄を公言してくれたのが良かった。ラルベル公爵令嬢やガイヤール辺境伯令嬢も目撃していたらしく、ラルベル公爵とガイヤール辺境伯が後押ししてくれた」
ラルベル公爵令嬢とガイヤール辺境伯令嬢というのは、セリーヌ様とブランシュ様ですわね。
私の婚約破棄を後押ししてくださるなんて。
お二人とも、なんてお優しいのでしょう。
天使のような方々だわ。
もうラルベル公爵領とガイヤール辺境伯領には足を向けて眠れませんわね!
「ラルベル公爵は娘を王太子妃にする目的ありきだったがな。ラルベル公爵令嬢が新たな王太子妃に内定した」
「まあ! おめでたいこと!」
嬉しい知らせに、私の顔は自然とほころびました。
フリアデル王国の特使をもてなす晩餐会で、ルシアン殿下はやらかして、金メッキが剥がれていると思うのですが。
不出来でお先真っ暗なルシアン殿下と婚約なさるなんて。
セリーヌ様はやはり大変な篤志家でいらっしゃいますわね。
他人が嫌がる仕事を率先して引き受けてくださるなんて、なかなか出来ることではありません。
本物の奉仕の心をお持ちでいらっしゃるのね。
尊敬してしまいますわぁ。
「では、私は晴れて、修道院へ行って悠々自適に暮らせるのでしょうか!」
私がわくわく顔でそう尋ねると、父は冷厳とした表情で言いました。
「修道院になど行かせん。馬鹿なことを考えるんじゃない。お前には次の縁談を用意している。相手はヴェルニエ公爵のご令息だ」
ヴェルニエ公爵令息……。
そういえば、ヴェルニエ公爵家には、ラルベル公爵令嬢セリーヌ様と婚約解消してフリーになったご令息がいらっしゃいました。
「ユベール様ですか?」
「そうだ。知っているのか?」
「学院で面識があります」
「王太子ルシアン殿下の評判が落ち始めている今、国王陛下の従弟であるヴェルニエ公爵に王統が移る可能性がある。縁を結んでおいて損はない」
そうなのです。
ルシアン殿下は評判が落ち始めているのです。
王妃様とともに。
フリアデル王国の特使様をおもてなしする席で、失言をしてから。
坂道を転がるように失態が続いているそうです。
ご聡明なはずのルシアン殿下が、急にどうなさったのでしょうねぇ。
不思議ですわねぇ。
「フェリシア、今度はふざけたことをするんじゃないぞ。真面目にやるのだ」
「ふざけたお相手でなければぁ、私だってぇ、大丈夫ですぅ」
「いい加減、そのふざけた口調をやめないか……」
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