甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!

柚屋志宇

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10話 限界突破、そして

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(……逃げよう……)

 家族から離れることを、私は決意しました。

 もう両親に期待することは何もありません。

 両親がルビーを溺愛していて、私を軽んじていることは解っていました。
 扱いの差が酷かったですから。

 それでも、私を嫡子として認めてくれていると思っていました。

 両親にとっての愛娘はルビーだけだったとしても。
 両親は私を跡継ぎとして認めてくれていると思っていました。

 でも、違った。

 両親にとっての私は、ルビーのための使い勝手の良い道具で、ルビーのための踏み台でしかなかったのです。

 このまま両親とルビーの奴隷になって一生を捧げるなんて馬鹿々々しいです。
 だって私よりメイドのほうが良い生活をしていますもの。

 メイドたちは仕事をすれば、その代価として給金を得られます。
 働いても何も得られない私より、メイドたちのほうが有意義な人生を送っています。
 私は働いても何も得られず、得たものがあっても全てルビーに奪われるのですから。

 まあ、衣食住は与えられていますが。
 それはメイドたちだって持っているものです。

 とはいえ、今は先立つものがありません。
 しばらくは大人しくして、家を出るための軍資金を貯めましょう。

 私は今まで勉強した知識を総動員して、家出の計画を立てました。

 ドレスやアクセサリーを売りましょう。
 貴族のドレスはそこそこの値段で売れると聞いています。
 いくらくらいになるかしら。

 買い物をすると言って執事にお金を用意させて、それをいただいてしまいましょうか。
 少しずつ誤魔化して、自分のお金を貯めましょう。

 私は今までずっと両親とルビーのために努力して我慢して来たのですもの。
 今までの代価として、少しくらいいただいても、神様はきっと許してくださるわ。
 だって神様は、私から奪うばかりの両親やルビーのことを許しているのですもの。

 大きな商会はお金を預かってくれるとメイドが言っていました。
 私もメイドたちのように商会にお金を持っていって預かってもらいましょう。

 家を出たら仕事も持たなければいけないわね。
 市井のことも調べなければ。

 一年くらいあれば家を出る準備を整えられるでしょうか。

(その間に、ルビーはアルマンディン様と結婚するでしょうけれど……)

 アルマンディン様がルビーと結婚することを思うと、胸が痛みました。

 アルマンディン様はルビーのことを迷惑がっているように見えましたが。
 ルビーが爵位を継ぐとなったら、アルマンディン様のルビーへの態度も変わるのでしょうか。

(私が爵位を継ぐ嫡子だったからこそ、整った縁談ですものね……)

 私の心は、暗く重く、雨の降り出しそうな曇天のように曇りました。

 ですが、これは、考えてもどうにもならないことです。
 何の権限も持たない私には、どうにもできないことですから……。

(でも、誤解は解いておきたいわ……)

 私はまだブローチの件をアルマンディン様に説明していません。

 私がブローチをルビーにあげたと思われているままなのは、心苦しいというか、腹立たしいというか……。
 濡れ衣を着せられたままの状態は、納得できないです。

(最後に、一度で良いから、きちんとお話がしたいわ……)

 そして私のその願いは、意外と早くに叶えらることになります。
 驚くような状況の変化とともに。
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