甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!

柚屋志宇

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13話 決裂

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「コランダム卿、悪いが、ルビー嬢には席を外してもらいたい」

 ガーネット伯爵が父に苦言を呈しました。

「そもそもの話、何故、作法が未熟なルビー嬢を話し合いの場に同席させたのだ。私は子守りをするために来たのではない」

 ガーネット伯爵にとってルビーは眼中にはなく、父がルビーを同席させたかったのだということを、私は察しました。

 今までの話の内容から、ガーネット伯爵はルビーとは話す気がなかったことが知れます。
 ガーネット伯爵は、アルマンディン様とルビーとの婚姻を拒否していらっしゃいましたから。

 ですが父は、婚約者をルビーに交代するという提案にガーネット伯爵家が応じるものと思っていて、それでルビーを同席させたのですね。

「……」

 父はガーネット伯爵に言い返せないまま、執事に命令しました。

「ルビーは具合が悪いようだ。連れていって休ませろ」

「お父様! どうしてルビーが出て行かなきゃいけないんですか?!」

 父に食ってかかったルビーを母が必死に窘めました。

「ルビー、お父様にお任せしましょう? ね?」

 ルビーを中心とした我が家の醜態を、ガーネット伯爵夫妻は無表情のままで観察していました。

 アルマンディン様はルビーには目もくれず無表情で座っているままでした。

 アルマンディン様はルビーの為人ひととなりをもうご存知だったので、ルビーの様子に興味がなかったのでしょうか。
 と、私は思ったのですが。
 実はアルマンディン様はルビーと目を合わせることを避けていたのだと、後日知りました。
 アルマンディン様はルビーに纏わりつかれることに辟易としていて、なるべく関わらないように努めていたそうです。


 ◆


 ルビーが退室して静かになると、話し合いが再開されました。

「コランダム卿、もう一度だけ問う。跡取りをサフィール嬢からルビー嬢に本当に変更するのかね」

 やや呆れた調子でガーネット伯爵は父に問い掛けました。

 ルビーが醜態を晒した直後ですもの。
 ガーネット伯爵が呆れるのは当然です。

 父は不愉快そうに眉を歪めて答えました。

「ああ、コランダム家の次期当主はルビーだ」

「こちらは婚約者の交代に応じるつもりはない。契約違反として国王陛下に訴えるがそれでかまわないかね?」

 貴族同士で揉め事が起きた場合、国王陛下が裁判をします。

「アルマンディン君を貴族の配偶者にしたいという、ガーネット卿の要望に答えるために、こちらは婚約者の交代を提案したのだ。こちらに非はない」

「残念だよ。では次は王宮で、国王陛下の前で会うことになりそうだな」
「ああ……」

「こちらの話は以上だ。ところで、アルマンディンがサフィール嬢に話があるらしい。時間をとってやってくれないか。このところずっとルビー嬢のお誘いを受けていて、二人は話す時間がなかったようでね。先日も……」

 ガーネット伯爵は涼しい顔で、父に鎌をかけました。

「サフィール嬢を招待したら何故かルビー嬢が来たようだ。一体どういう手違いがあったのだろうね。君は何か知っているか?」
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