甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!

柚屋志宇

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24話 ルビーの暗黒

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「どうして?!」

 ルビーが親を怨む気持ちは解らないでもないです。

 ルビーが婚約できなかったのも、王宮で取り返しのつかないことをしたのも、元はといえば両親がルビーを甘やかして育てたせいです。

 ルビーの非常識や傍若無人は、ルビーの悪い部分を悪いと、無作法を無作法と教えなかった両親のせいです。

 ですが……。
 どうしてルビーは両親を監禁することが出来たのでしょう。
 ルビーが一人で出来るわけがないのに。

「どうしてって、お姉様、私さっき言いましたよね。お父様とお母様は牢屋に入るべきだから、って。お姉様だってそう思ってるでしょう?」
「私は……そんなことは……」

「お姉様の嘘吐き!」

 ルビーは吐き捨てるように言いました。

「お姉様だって、お父様とお母様のことが憎いくせに!」
「……だからって閉じ込めるなんて……」

「良い子ぶるんですかぁ? お姉様はいつもそう。自分はそんなこと思ってませーんって良い子ぶっちゃって。でもルビーは知ってますから」

 ルビーは綺麗な笑顔を浮かべました。

「お姉様は、お父様とお母様のこと嫌いだったでしょう? 酷い目に遭わせてやりたいって思ってたでしょう? ルビーがお父様とお母様を酷い目に遭わせてやったから、お姉様の望みは叶ったんです。もっと素直に喜んだらどうですかぁ?」

 ルビーは賢し気な瞳で、私の顔を覗き込みました。
 まるで私の心の闇を覗き込むかのように。

「お父様とお母様は、物置部屋に閉じ込めてます。お食事はパンとお水だけです」

「……ほ、本当に、そんな酷いことをしているの……?」
「してますよ。お姉様、今、すっとしたでしょう?」
「……」
「お父様とお母様がルビーに酷い目に遭わされてるって聞いて、お姉様は今、嬉しかったでしょう? いい気味って、ざまあみろって思ったでしょう? お姉様は良い子ぶってるけどぉ、本当はルビーと同じことしたいんでしょう?」

「そ、そんなこと、私は……」

 私は、そこまで酷いことを両親にしたいなんて……。
 思っていない……。

 ……本当に?

「お姉様は、本当は、仕返ししたいんでしょ。知ってますから」

 ルビーは暗い瞳で、勝ち誇るような笑顔を浮かべました。

「お姉様は私のことも嫌いでしょう? お姉様が、私を……、お父様とお母様と一緒に、私をあの館に住ませたのは、私が不幸になれば良いって思ったからでしょう? 私を不幸にするために、お父様とお母様と一緒に住ませたんでしょう?」

 ルビーは悪魔のように笑いました。

「お父様とお母様は、私を甘やかして駄目にするって、お姉様は知ってるくせに。お姉様は、私がもっと駄目になれば良いって思ったんでしょう?」

 そんなことは、私は……。
 思っていない……。

 ……本当に?

 両親もルビーも、コランダム家の醜聞だから。
 三人まとめて領地に押し込めておけと、親族たちがそう言ったから。
 ガーネット伯爵もそれに特に反対しなかったから。

 私のせいじゃないから。

 最低限の生活の面倒は見ていて、私は義理は果たしているから。
 私に非はないから。
 私は悪くないから。
 私は間違った対応はしていないから。

 私は、両親が毒だと知っていて、家出を考えたこともあるのに。
 ルビーが歪んだのも両親のせいだと、私は知っていたのに。

 形は違っても、ルビーも私と同じく、無責任な両親による被害者だと知っていたのに。

 ルビーを両親と一緒に住ませたのは……何故?

 何故?

「お姉様は意地悪で、ずるい人です」

 ルビーは容赦なく私の闇を暴きました。
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