甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!

柚屋志宇

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23話 地獄のルビー

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 過日。
 ルビーは王宮で王子に無礼を働き、一日牢に入れられました。
 そして調査官に取り調べを受けました。

 最初は厳しい態度だった調査官は、ルビーが本当に無知であることをだんだんに把握しました。

「王族の体に触ってはいけないことくらい、貴族なら小さな子供のうちから教えられていることだ。本当に知らなかったのか?」

 調査官は最後には、ルビーの無知に同情したそうです。

「本当なら牢に入るべきは君の両親だな。親がちゃんとしていたら、君はこんなことにならなかった」

「親のせいなの……?」

「ああ、そうだ。常識や作法を教えずに王宮に連れて来るなんて、捕らえてくださいと言っているようなものだ。無責任な親だ」

「無責任……?」

「まともな親は、未熟な子供を王宮に連れて来たりしないんだよ。王宮で無礼を働いたら子供でも許されない。罰を受ける。だから作法が未熟な子供は連れて来ない。貴族なら誰でも知っていることだ」

「私が罰を受けることを……お父様は知っていたの……?」

「知っていたはずさ。貴族なんだから。未熟な君を王宮に連れて来るなんて虐待と同じだ……。未熟な娘を王宮に連れてきたのは親、失敗したのは親だ。だが、こうして罰を受けるのは、親に連れられて来た君だ。……君が牢に入るよう導いたのは、君の親だ」

 ルビーは生まれて初めて、武官に捕縛されるという暴力を受け、牢に入れられるという辛い経験をしました。

 暴力を受けたといっても大きな怪我をしたわけでもなく、取り押さえられた腕に少しあざが出来た程度です。
 牢に入れられたといっても一日だけです。

 たくましい庶民の大人であれば「やれやれ酷い目にあったなぁ」くらいに流せる出来事だったかもしれません。

 ですがルビーは甘やかされて育った貴族の娘でした。
 ルビーにとってその経験は、地獄の最果てを見るような最低最悪なものでした。

 その地獄でルビーは調査官に滾々こんこんと諭されました。
 そして理解したのです。

 その恐ろしい地獄にルビーを導いたのは、笑顔の両親であったことを。


 ◆


「本当ならお父様とお母様が牢屋に入るべきなんです。優しい顔して、私をあんな酷いところへ連れて行ったのはお父様とお母様だもの。お父様は一日だけ牢屋に入りましたけどぉ、足りないです。だから……」

 ルビーは凄惨な笑みを浮かべました。

「お父様とお母様を、物置部屋に閉じ込めてやりましたぁ」

 私から持ち物を取り上げたときにいつも浮かべていた、得意そうな笑顔でルビーは言いました。

「最初は騒いでましたけどぉ、ちょっと鞭で打ってやったら大人しくなりましたよ」

「……え? え?」

 私はルビーの突拍子もない話が理解できませんでした。
 言っていることは解るのですが、その状況が突拍子もなくて頭が混乱しました。

「ルビー、貴女、お父様とお母様を監禁したの?」
「そうですよ」

 ルビーは愛らしい美貌に、暗い微笑を浮かべました。
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