2 / 17
序章 目覚めと始まり
記憶の欠片。
しおりを挟む
俺は昼下がりの道を歩いていた。
いい風だなぁ。
呑気にそんなことを考えながら、休日の散歩を楽しんでいた。
そうは言ったものの、タダの散歩をしていた訳では無い。人に会いに行っていたのだ。
頼まれて人に会うのは初めてだったから、ゲームのクエストみたいでワクワクしていた。
そんな気分で家を飛び出し、相手の屋敷を訪ねてみたものの、当分不在との事で、ガッカリというか、なんかモヤモヤして終わった。
そんな訳で、すぐ忘れようと風のことばかり考え、春の穏やかな風に誘われ、テキトーに歩いていたのだ。
そう言えば、屋敷の門の前に立っていた老婆の言葉を思い出した。
「遠いところから来たのじゃな?わざわざご苦労じゃった。オマエさん、疲れておるな?」
ーー妙に素早い動きで握手をされた。
「ああ、手から伝わってくるぞ?疲れが……」
老婆は俺の手をまじまじと見つめ、癒すような……試すような見抜けないような眼差しをした。
「ん……? ……あのちょっと、お婆さん……離してくれま……せんか?……」
「また会う日まで。ハルト。……〈エナジードレイン〉」
老婆は何かを唱えた。
何だったんだろう……。
そう思いながら老婆とのことを思い出していた。
「また会う日まで……か」
俺がそう発した瞬間、目の前に暗黒が立ち込め、俺は意識を失ってしまった。
ーーまた会う日まで。ハルト…………
柔らかい太ももだ。
「起きたんですね。」
「あ……アルテミア?」
目の前……俺の顔の上には可愛い顔があった。
「ルーメンは記憶魔法で、相手の記憶を像にする魔法です。あなたの記憶を少しばかり拝見させて頂きました。すみません」
ここはーーエリューシアだっけか?
「ここまでの経緯をお教えしますね。えぇっと……名前はなんと呼べばいいですか?」
名前……?
思い出せない……。ショックで忘れてしまったのか?先程まで聞こえていたはずなんだけどな……。
いい風だなぁ。
呑気にそんなことを考えながら、休日の散歩を楽しんでいた。
そうは言ったものの、タダの散歩をしていた訳では無い。人に会いに行っていたのだ。
頼まれて人に会うのは初めてだったから、ゲームのクエストみたいでワクワクしていた。
そんな気分で家を飛び出し、相手の屋敷を訪ねてみたものの、当分不在との事で、ガッカリというか、なんかモヤモヤして終わった。
そんな訳で、すぐ忘れようと風のことばかり考え、春の穏やかな風に誘われ、テキトーに歩いていたのだ。
そう言えば、屋敷の門の前に立っていた老婆の言葉を思い出した。
「遠いところから来たのじゃな?わざわざご苦労じゃった。オマエさん、疲れておるな?」
ーー妙に素早い動きで握手をされた。
「ああ、手から伝わってくるぞ?疲れが……」
老婆は俺の手をまじまじと見つめ、癒すような……試すような見抜けないような眼差しをした。
「ん……? ……あのちょっと、お婆さん……離してくれま……せんか?……」
「また会う日まで。ハルト。……〈エナジードレイン〉」
老婆は何かを唱えた。
何だったんだろう……。
そう思いながら老婆とのことを思い出していた。
「また会う日まで……か」
俺がそう発した瞬間、目の前に暗黒が立ち込め、俺は意識を失ってしまった。
ーーまた会う日まで。ハルト…………
柔らかい太ももだ。
「起きたんですね。」
「あ……アルテミア?」
目の前……俺の顔の上には可愛い顔があった。
「ルーメンは記憶魔法で、相手の記憶を像にする魔法です。あなたの記憶を少しばかり拝見させて頂きました。すみません」
ここはーーエリューシアだっけか?
「ここまでの経緯をお教えしますね。えぇっと……名前はなんと呼べばいいですか?」
名前……?
思い出せない……。ショックで忘れてしまったのか?先程まで聞こえていたはずなんだけどな……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる