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覚醒編1・小粋な装飾品
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………………………………
………………
………
「………………んぁ? んー……何か変な夢見た気が……ふぁああぁぁぁ」
俺にしては珍しく、パッと目が覚めた。眠気も残っておらず、頭もシャキッとしている。
「その割には、何かこう……すっきり爽快、という訳ではないですねぇ……」
そう、目覚めの良さの割には、爽快感なんか皆無だった。いや、どちらかと言うとどんよりとした心持ちだ。
ベッドから起き上がってカーテンを開けてみる。
うむ、どんより曇天、空ひとつない曇り空だ。何というか僕チン非常にがっかり。
「気のせいか、何か胸騒ぎがするような……」
ポリポリとかゆくもない頭をかいてみるが、
「………………ん?」
ジャランッといった金属が擦れる音が聞こえてきた。
音の発信元を探ると、左腕の革製のアクセサリーの金具からのようだ。
「………………はて? 何だこのそこはかとなくかっちょいいアイテムは? こんな物持ってたっけ?」
所謂革のブレスレットと称するのが分かりやすいが、ブレスレットの中心には冷たく光るダークブルーの石が填められている。何と言うか、その、オシャレカッコイイ。
ちなみにブレスレット自体はよく見ると相当使い込まれているような感がある。薄汚れているという訳ではないが、妙な存在感を醸し出していた。
そこらの露店のパチモンとは大違いな逸品だ。勿論左腕に付けた覚えもなければ、買った覚えもなかった。
カチリ。
「全く身に覚えはないが………………まぁ、俺ぐらいになるとこういう不思議アイテムも様になっちゃうよね」
出自は不明だが、俺様の腕に嵌ってるんだから俺様のモノでいいだろう。
何時の間にか俺の左腕に嵌っていた不思議アイテムの品評会をしていたら、どんよりした気持ちも胸騒ぎもどこかへいってしまっていた。
天気は変わらず曇天だったが、心持ち心は軽くなったように思う。
「さてさて、優香が来る前にサクッと準備するかな……」
スパパーンと豪快に服を脱ぎ捨て、誰に言うでもなくそう独りごちるが、
ダッ、ダッ、ダッ、ガチャ……
「あれ? 珍しいわね浩之。もう目が覚めている、なん……て?」
「………………ふっ、大谷君。ノックぐらいしてくれたまえよ。レディ足るもの、いかなるときも他人への気遣いを忘れてはいけないよ?」
ノックもなく優香が俺の部屋のドアを開けて顔を覗かせた。ちなみに、先程寝間着を豪快に脱ぎ捨てたせいで絶賛パンツ一枚だ。
紳士風にやんわりと優香に忠告するが、残念ながらうちの腕白坊主(愚息)が声高らかにパンツにピラミッドを形成させて主張している。
別段断っておくが、何も興奮している訳ではない。これは漢の生理現象だ。
というか、この年で腕白坊主にならなかったら、そちらの方が大問題だ。
顔面を引き攣らせて固まっている優香に対して、いやーん、と懐かしのまいっちんぐポーズを決めてみる。まぁ、無駄な抵抗だろうがな。
「……………………こんの、ばかぁああああああああっっっ!!」
「……たわばっ!?」
めしゃり、と俺の顔に優香の通学鞄がめり込む。と同時に、朝の平穏をブチ壊す優香の怒鳴り声がご町内に木霊したのだった。
☆
「ほんっと、信じらんないっ。朝から何考えてるのよ全く……」
ブツブツと俺を罵倒しながら前を歩く優香。何故だか耳を赤くしている。とはいえ、冷静に対処されてもそれはそれで困っちゃうわけなんですが。
「……うるせー、耳年増(ボソッ)」
一応被害者であるため、ささやかながら反抗してみる。
「………………あぁん?(ギロリ)」
「いえ、何でも……ないです」
おかしいなぁ、俺被害者のはずだよね?
「……ったく、折角起こしにいってあげたのに、まさかセクハラされるなんて思いもしなかったわ」
「俺もまさか、ノックもなしに年頃の男の部屋を開けるなんて思ってもみなかったよ」
「………………あぁん?(ギロリ)」
「私が……わるうござんした……」
その後も反抗を試みるもヤンキーも真っ青なガンを飛ばされたため(一部ど突きあり)、俺は愛想笑いを浮かべ優香のご機嫌を取りながらいつもの通学路を歩いて行ったのだった。
………………
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「………………んぁ? んー……何か変な夢見た気が……ふぁああぁぁぁ」
俺にしては珍しく、パッと目が覚めた。眠気も残っておらず、頭もシャキッとしている。
「その割には、何かこう……すっきり爽快、という訳ではないですねぇ……」
そう、目覚めの良さの割には、爽快感なんか皆無だった。いや、どちらかと言うとどんよりとした心持ちだ。
ベッドから起き上がってカーテンを開けてみる。
うむ、どんより曇天、空ひとつない曇り空だ。何というか僕チン非常にがっかり。
「気のせいか、何か胸騒ぎがするような……」
ポリポリとかゆくもない頭をかいてみるが、
「………………ん?」
ジャランッといった金属が擦れる音が聞こえてきた。
音の発信元を探ると、左腕の革製のアクセサリーの金具からのようだ。
「………………はて? 何だこのそこはかとなくかっちょいいアイテムは? こんな物持ってたっけ?」
所謂革のブレスレットと称するのが分かりやすいが、ブレスレットの中心には冷たく光るダークブルーの石が填められている。何と言うか、その、オシャレカッコイイ。
ちなみにブレスレット自体はよく見ると相当使い込まれているような感がある。薄汚れているという訳ではないが、妙な存在感を醸し出していた。
そこらの露店のパチモンとは大違いな逸品だ。勿論左腕に付けた覚えもなければ、買った覚えもなかった。
カチリ。
「全く身に覚えはないが………………まぁ、俺ぐらいになるとこういう不思議アイテムも様になっちゃうよね」
出自は不明だが、俺様の腕に嵌ってるんだから俺様のモノでいいだろう。
何時の間にか俺の左腕に嵌っていた不思議アイテムの品評会をしていたら、どんよりした気持ちも胸騒ぎもどこかへいってしまっていた。
天気は変わらず曇天だったが、心持ち心は軽くなったように思う。
「さてさて、優香が来る前にサクッと準備するかな……」
スパパーンと豪快に服を脱ぎ捨て、誰に言うでもなくそう独りごちるが、
ダッ、ダッ、ダッ、ガチャ……
「あれ? 珍しいわね浩之。もう目が覚めている、なん……て?」
「………………ふっ、大谷君。ノックぐらいしてくれたまえよ。レディ足るもの、いかなるときも他人への気遣いを忘れてはいけないよ?」
ノックもなく優香が俺の部屋のドアを開けて顔を覗かせた。ちなみに、先程寝間着を豪快に脱ぎ捨てたせいで絶賛パンツ一枚だ。
紳士風にやんわりと優香に忠告するが、残念ながらうちの腕白坊主(愚息)が声高らかにパンツにピラミッドを形成させて主張している。
別段断っておくが、何も興奮している訳ではない。これは漢の生理現象だ。
というか、この年で腕白坊主にならなかったら、そちらの方が大問題だ。
顔面を引き攣らせて固まっている優香に対して、いやーん、と懐かしのまいっちんぐポーズを決めてみる。まぁ、無駄な抵抗だろうがな。
「……………………こんの、ばかぁああああああああっっっ!!」
「……たわばっ!?」
めしゃり、と俺の顔に優香の通学鞄がめり込む。と同時に、朝の平穏をブチ壊す優香の怒鳴り声がご町内に木霊したのだった。
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「ほんっと、信じらんないっ。朝から何考えてるのよ全く……」
ブツブツと俺を罵倒しながら前を歩く優香。何故だか耳を赤くしている。とはいえ、冷静に対処されてもそれはそれで困っちゃうわけなんですが。
「……うるせー、耳年増(ボソッ)」
一応被害者であるため、ささやかながら反抗してみる。
「………………あぁん?(ギロリ)」
「いえ、何でも……ないです」
おかしいなぁ、俺被害者のはずだよね?
「……ったく、折角起こしにいってあげたのに、まさかセクハラされるなんて思いもしなかったわ」
「俺もまさか、ノックもなしに年頃の男の部屋を開けるなんて思ってもみなかったよ」
「………………あぁん?(ギロリ)」
「私が……わるうござんした……」
その後も反抗を試みるもヤンキーも真っ青なガンを飛ばされたため(一部ど突きあり)、俺は愛想笑いを浮かべ優香のご機嫌を取りながらいつもの通学路を歩いて行ったのだった。
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