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サントウシミン
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アルカは三等市民街の中央にあるギルド集会所を訪れていた。魔狩りであるアルカはここでクエストを受け、目標の討伐、または撃退し報酬金を貰う。その金で何とか生活しているのである。
クエストはラザイラ級、アーカイル級、ニール級、ノスリ級の四つに分類される。それぞれ魔の名前が記されたクラスになっており、ラザイラは最上級の魔の代表で反対にノスリは最下級の魔の代表である。だいたい三等市民の集会所に張り出されるのはノスリ級が主で時々ニール級が混じる程度である。ごく稀にアーカイル級のクエストが提示されるがそれは討伐ではなく、調査への派遣というのがお決まりである。調査の後、二等市民の集会所に討伐クエストが提示されるのである。つまり、三等市民は二等市民、一等市民へのお膳立てである。
「今日もどの仕事もシケてんなぁ」
「うるせぇぞ、アルカ! 仕事があるだけましだと思え!」
アルカに怒鳴ったのは三等ギルド長であるドオル。歳は40手前で、少し前までは現役の魔狩りであった。ギルド長は主にクエストの交渉などを行なっている。一等、二等のギルド長にほとんどクエストを持っていかれるため残り物を掴まさせられるのでよく酒を飲んで愚痴を漏らしている。
「ハイハイ、わかってますよー」
悪態を吐くアルカにドオルはハァーとため息を吐く。
「お前絶対わかってぇだろ。だいたいこんだけしか取れなかったのはお前の責任でもあるんだからな、わかってんのかぁ、おい」
「やっぱアレが原因ですかー。いやー狩れると思ったんですけどねぇー」
おどけたように答えるアルカに反省の色は見えない。
ドオルがクエストを取り揃えられない理由は三等市民であることではあるが、今はさらにその発言権が低くなっている。何故なら一週間前に張り出されたアーカイル級クエストが原因であった。内容はアーカイル級アグゼムの調査、進路予測。三等市民にとっては計り知れない報酬のこのクエストは応募者多数であった。しかし、失敗は許されないクエストでもあった。なのでドオルは応募者の中から1番の強者を選びクエストを受注させた。それがアルカであった。ニール級をもなんなくこなすアルカが選ばれたことに周りの不満はなく、調査、進路予測の成功は確実なものだろうと確信されていた。
しかし、アルカが三等市民の中で強者であることを理由で選んだのは間違いであった。あろうことか、アルカは調査、進路予測を放棄。単身でアーカイル級アグゼムを討伐しようとした。もちろん三等市民の装備、単身での討伐が叶うはずもなく失敗。進路予測は不明。調査、生態は不明。クエストは失敗どころか大失敗であった。
「お、勇者のアルカさんじゃねぇか」
テーブルで飯を食っていた男がアルカに気づき声をかける。アルカが魔狩りになった時からの仲だ。
「うるせぇ!俺より雑魚が喋りかけんな!」
「おお、こわいこわい」
男は怯えたふりをすると同じテーブルを囲んでいた男たちから、ドッと笑い声が聞こえた。
「おっとアルカじゃねえか、傷はもう大丈夫か」
違うテーブルから別の男が声をかける。アルカは
クエスト失敗時、あばらを折っていたが居合わせた二等市民の魔狩りに治癒の魔術で軽傷で済んだ。
「あんな傷余裕だって、一週間あれば、余裕余裕」
アルカはへへっと鼻を鳴らす。
「なら、あん時のお前の真似してやろうか?
モウマジ、アグゼムアリエネェー、ジヌゥ~~」
男はアルカの似てない声真似をして、三等市民街に戻されたアルカの真似をする。
「まじやめろって!今ならまじ、アグゼム余裕だし!」
周りのテーブルからは笑いが沸き起こる。このような扱いでアルカは三等市民の中ではいじられキャラとして定着していた。本人も嫌だ嫌だとはいいながらそれを心地よく感じている。
アルカがクエストに失敗した時は責任より、まずアルカの身を案じたものだ。だが、それがアルカではなくても三等市民の仲間ではあれば同じことであっただろう。三等市民街は貧しいながらも横との繋がりは深く、家族のような街であった。
クエストはラザイラ級、アーカイル級、ニール級、ノスリ級の四つに分類される。それぞれ魔の名前が記されたクラスになっており、ラザイラは最上級の魔の代表で反対にノスリは最下級の魔の代表である。だいたい三等市民の集会所に張り出されるのはノスリ級が主で時々ニール級が混じる程度である。ごく稀にアーカイル級のクエストが提示されるがそれは討伐ではなく、調査への派遣というのがお決まりである。調査の後、二等市民の集会所に討伐クエストが提示されるのである。つまり、三等市民は二等市民、一等市民へのお膳立てである。
「今日もどの仕事もシケてんなぁ」
「うるせぇぞ、アルカ! 仕事があるだけましだと思え!」
アルカに怒鳴ったのは三等ギルド長であるドオル。歳は40手前で、少し前までは現役の魔狩りであった。ギルド長は主にクエストの交渉などを行なっている。一等、二等のギルド長にほとんどクエストを持っていかれるため残り物を掴まさせられるのでよく酒を飲んで愚痴を漏らしている。
「ハイハイ、わかってますよー」
悪態を吐くアルカにドオルはハァーとため息を吐く。
「お前絶対わかってぇだろ。だいたいこんだけしか取れなかったのはお前の責任でもあるんだからな、わかってんのかぁ、おい」
「やっぱアレが原因ですかー。いやー狩れると思ったんですけどねぇー」
おどけたように答えるアルカに反省の色は見えない。
ドオルがクエストを取り揃えられない理由は三等市民であることではあるが、今はさらにその発言権が低くなっている。何故なら一週間前に張り出されたアーカイル級クエストが原因であった。内容はアーカイル級アグゼムの調査、進路予測。三等市民にとっては計り知れない報酬のこのクエストは応募者多数であった。しかし、失敗は許されないクエストでもあった。なのでドオルは応募者の中から1番の強者を選びクエストを受注させた。それがアルカであった。ニール級をもなんなくこなすアルカが選ばれたことに周りの不満はなく、調査、進路予測の成功は確実なものだろうと確信されていた。
しかし、アルカが三等市民の中で強者であることを理由で選んだのは間違いであった。あろうことか、アルカは調査、進路予測を放棄。単身でアーカイル級アグゼムを討伐しようとした。もちろん三等市民の装備、単身での討伐が叶うはずもなく失敗。進路予測は不明。調査、生態は不明。クエストは失敗どころか大失敗であった。
「お、勇者のアルカさんじゃねぇか」
テーブルで飯を食っていた男がアルカに気づき声をかける。アルカが魔狩りになった時からの仲だ。
「うるせぇ!俺より雑魚が喋りかけんな!」
「おお、こわいこわい」
男は怯えたふりをすると同じテーブルを囲んでいた男たちから、ドッと笑い声が聞こえた。
「おっとアルカじゃねえか、傷はもう大丈夫か」
違うテーブルから別の男が声をかける。アルカは
クエスト失敗時、あばらを折っていたが居合わせた二等市民の魔狩りに治癒の魔術で軽傷で済んだ。
「あんな傷余裕だって、一週間あれば、余裕余裕」
アルカはへへっと鼻を鳴らす。
「なら、あん時のお前の真似してやろうか?
モウマジ、アグゼムアリエネェー、ジヌゥ~~」
男はアルカの似てない声真似をして、三等市民街に戻されたアルカの真似をする。
「まじやめろって!今ならまじ、アグゼム余裕だし!」
周りのテーブルからは笑いが沸き起こる。このような扱いでアルカは三等市民の中ではいじられキャラとして定着していた。本人も嫌だ嫌だとはいいながらそれを心地よく感じている。
アルカがクエストに失敗した時は責任より、まずアルカの身を案じたものだ。だが、それがアルカではなくても三等市民の仲間ではあれば同じことであっただろう。三等市民街は貧しいながらも横との繋がりは深く、家族のような街であった。
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