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第17話 辣腕侍女の婚活戦略、異常ナシ…? 1 ★
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旦那様が中々お戻りになられません。
酒瓶をお持ちでしたので、おそらく清寧王様のところで飲んでいらっしゃるのでしょうが、それにしてももう夜更け近くなってしまいました。
もしかしたら今夜は清寧王様のところにお泊りになられるのかもしれません。
私も先に湯浴みを済ませてしまいましたので、いつでも床につける状態ではあるのですが、一体いつそれを決めるか少々悩んでおりました。
そんな時、とんとんとん、と表戸を叩く音がしました。
旦那様でしたら扉など叩かずにお戻りになられるので、こんな夜分に一体どなたでしょうか。
念のため護身用に懐剣を隠し持つと、手燭を掲げて玄関へと向かいました。
「どちら様ですか?」
「英凛さん、夜分にすみません。翔星です」
思っても見なかった方がいらっしゃいました。どうしましょうか、旦那様がご不在で私一人の今、翔星様と言えどお通しするのは些か不用心のような気がします。
そんな私の逡巡を読み取ったかのように翔星様は仰いました。
「実は……黄副将軍が酔い潰れてしまって……」
「えっ……⁉︎」
私は一も二もなく急いで表戸の鍵を開けました。すると確かにそこには真っ赤な顔で朦朧としている旦那様が、翔星様とその従者の方と二人掛かりでなんとか支えてられていました。とても重そうです。
「旦那様……!」
慌てて駆け寄りますが、うー……と微かな呻き声が聞こえるばかり。それにすごくお酒くさいです。一体どれほど飲んだのでしょうか。
「寝台の方へお連れしても?」
「ええ、お願いいたします」
翔星様たちを先導して旦那様の寝室へと向かいます。良かった、私一人でしたら酔い潰れた旦那様なんてとても運べません。玄関に転がしておくところでした。
なんとか旦那様を寝台に押し込めて、冷たい水に浸した布を額に乗せて、枕元に水差しと椀を置いて……と動き回って、ようやく翔星様にご挨拶が出来ました。
「こんな遅い時間にわざわざありがとうございました」
「いえいえ。洋嘉様のところから緊急の呼び出しがあったので、何かと思って慌てて駆けつけたら、すごーく疲れ切った顔の洋嘉様から「君の上司なんだから、責任取って持って帰って!」と言われまして」
「まあ……」
翔星様の清寧王様の声真似が思いのほか似てましたので、思わずくすりと笑ってしまいました。
「……それにしても、旦那様がこんな風になるまで飲まれるなんて珍しいです」
旦那様の額に乗せた布をそっと取り、もう一度冷たい水に浸して取り替えます。
「そうですね。私も酔い潰れたところは見たことがない気がします」
「私の父はしょっちゅうでしたけどね。その父をこうやって連れて来て下さるのが、いつもの旦那様の役目でした」
苦笑しながら昔の光景を思い出します。立てなくなるほど酔っ払っては、旦那様に背負われて帰ってくる父様。父様は細い方でしたので、旦那様は軽々と一人で運んでいらしゃいましたが。
私の大好きな「おじさま」の背中が、父様に奪われたことが悔しくて、私はよく怒っていましたっけ。そうしたら旦那様は父様を寝台に放り投げた後、必ず私も背負って下さるのです。
旦那様の背中は大きくて温かくて、安心した私はつい瞼が重くなってしまうことがよくありました。まあ、子供にはもう遅い時間でしたし。
でもそれを目敏く見つけた酔っ払いの父様が、「そこは俺の!」と割り込んできてよく喧嘩してました。本当にどうしようもない父様でした。
そんな懐かしい思い出に耽っていると、翔星様の顔が妙に赤いことに気がつきました。
「翔星様も飲まれていたんですか? お顔が……」
「あ、いえっ……これは、その……貴女のそんな格好を見るのが初めてでしたので……」
「すみません、こんなはしたない格好で」
もう湯浴みも終えてあとは寝るだけでしたので、寝衣の上に一枚羽織っただけの服装でした。髪も乾ききっていないので濡れ髪のままですし、人前に出るべき姿ではありませんでしたね。
「翔星様、今晩はありがとうございました」
「いえ、こんなことでしたら」
「旦那様の意識が戻られたらお伝えしておきますね」
「では、重すぎるのでもう勘弁してください、と伝えてください」
翔星様が冗談めかして言うので、確かにその通りですねと笑いながら、翔星様を見送りました。戸締りをして戻って来ると、まるで嵐の日に倒れた大木のように寝台に旦那様がうつ伏せになっています。
……どうしましょうね、これ。
服も着たままなので皺になってしまいますが、私では脱がせるなんてとても無理ですし。せめて腰の剣くらい外しておきましょうか。
そう思って旦那様に近づいた時でした。
「…………えいりん……水……」
地を這うような声ってこういうのを言うのでしょうか。いつもは低くて素敵な旦那様の声がしわがれて、ものすごく機嫌悪そうに聞こえます。
とりあえず椀に水を入れて差し出すと、のっそりと本当に熊のように起き上がった旦那様が水を一気に飲み干しました。鬱陶しそうに髪を結んでいた紐を解いて、普段はきっちりと着込まれている上衣の前を暑苦しそうにはだけます。
……旦那様、私の方が酔いそうです。
基本的に堅苦しいくらいに真面目なのに、酔うと野性味溢れる大人の色気がダダ漏れで、こちらがクラクラしてしまいました。傷跡の残る胸板がちらりと見えてるとか、もうどんなご褒美ですか。
旦那様が無言で椀を差し出すので、もう一度水をお注ぎして手渡すと、それも飲み干した旦那様がふと顔を上げました。わあ、目が据わってます。こんな旦那様見たことありません。
「英凛……」
「どうしました?」
「……さっきのは……翔星か……?」
「ええ。清寧王様に呼び出されて、わざわざ旦那様を送ってきて下さったんですよ。あとでお礼を言ってくださいね」
「……この格好で、あいつの前に……?」
旦那様が寝台に腰掛けたまま、寝衣姿の私の胸のあたりをじっと見つめています。
「仕方ないじゃないですか。もう夜も遅いですし、まさか翔星様がいらっしゃるだなんて思わなくて……きゃっ」
急に腰を抱き寄せられてびっくりしました。もう、本当に酔っ払いは何をするか分かりませんね。
「……こんな姿は、今後私以外の男には見せるな」
「…………!」
だ、旦那様、それは反則です……!
どうしましょう、不意打ちだったので顔が溶けそうに熱いです。例え酔っての言葉だったとしてもちょっと嬉しすぎて……。
「水……」
そうかと思ったらまた旦那様が呻くように仰いました。やっぱり酔っ払いの戯言でしょうか。はあ、と溜息をついて水差しを取ろうとしました。
するとその手が旦那様に掴まれて……気づけば寝台に押し倒されていました。
あまりのことに珍しく私の頭がついていきません。今、何が起きているんでしょうか。
「旦那様……お水を……」
「こっちの方が、水蜜桃みたいだ……」
酔って据わった目の旦那様の顔が近づいてきて、ぺろぺろと唇を舐められました。ええええ……酔うと旦那様ってこんな風になっちゃうんですか。いや、滅茶苦茶嬉しいんですが、普段との差異がとんでもなく激しすぎて……
「ひゃあっ!」
ぼうっとしていたら急に胸元に冷たいものをかけられて飛び上がりそうになりました。見れば旦那様が水差しで私の胸に水をかけています。ちょっと、ものすごく冷たいんですが!
「……おいしい…………」
「普通に飲んでください!」
ぴちゃぴちゃと音を立てて、胸元に垂らされた水が舐め取られていきます。寝衣もすっかり濡れてしまって、そこに染み込んだ水も吸われて。彷徨い始めた唇がぱくりと右の乳首に噛み付きました。
「っあ! ちょ、っと、旦那、様……っ」
冷たい水をかけられて寒さに立ち上がってしまった胸の頂が、ちゅうちゅうと吸われています。布越しでも旦那様に可愛がられていると思うと、今度は寒さのせいではなくジンジンと痺れてきてしまいました。
水がなくなればまたかけられて、もう寝衣の前面はすっかりと濡れて透けてしまいました。はだけられた谷間を舌が這い、臍に溜まった水も掬い取られて。不埒な旦那様の舌はどんどんと下へ降りていきました。
もっとも、私も止めるつもりは毛頭ありません。
こんなおいしい機会を逃す訳がないでしょう。
そうこうしているうちに旦那様は私の帯紐を咥えて解き始めました。あ、それ滅茶苦茶カッコイイです。まずい、鼻血出そうです。
晒された白い下帯も、腹を伝い降りていった水で濡れてしまっていて、下の毛が透けて見えています。そこへ旦那様は一切躊躇わずに吸い付きました。
「あ、ああっ! 旦、那様ぁ……」
いつもの旦那様だったら絶対に相当躊躇してからだと思うので、かなり酔われているようです。下帯の上から旦那様の鼻が当たって、もどかしい刺激に腰が思わず揺らめいてしまいました。
「っ! あっ……そこ……っ!」
下帯に染み込んだ水を吸っていた旦那様の口がふと止まったと思ったら、いきなり陰核が思い切り吸われました。流石にそんなことをされたら、もう声が止まりません。
「旦那、様っ……だん、那様ぁ……」
「……水が、溢れてきた」
「ひ、あああっ!」
ぐい、と下帯を脇に避けた旦那様が、ぺちゃぺちゃと割れ目を舐め始めました。それは、水じゃなくて、蜜です……っ。
「だんな、様ぁ……そこ、いいです……っ」
旦那様の舌が気持ちいところを舐めとっていくのに合わせて腰を突き出して、痺れが走るほどいいところを素直に訴えていたら、旦那様の動きが少しずつ変わってきたのに気づきました。
最初は本当に舐めているだけだったんです。だから、旦那様はこういうことはあんまり経験がないんだな、って思っていました。
でも、私が気持ち良さそうにした時の動きと場所があっという間に把握されていって、完全に私は翻弄されました。舐めて、差し込んで、吸って、舐って、転がして、噛んで……口付けて。
記憶のどこかにあった父様の言葉が蘇りました。
黄牙燎は戦場では天才的な勘を持つ武将だ、と。
旦那様は戦場を駆け回っている間に、敵の弱点と効果的な攻撃方法を、ほとんど動物的直感で一瞬にして見抜くそうです。そうしてそこに父様の軍略を乗せて、効率的に敵を壊滅させていく、と。
……私も完全撃破されそうです。
「あ、あっ! や、ああっ! 旦、那様っ! も、う、いっちゃ……!」
旦那様の口の中で器用に皮が剥かれ、すっかりと腫れ上がった陰核は先程から強弱をつけて吸われています。なのに達しそうになると、すっと舌が中へと差し込まれて溢れ出た蜜が舐め取られて、一時的に絶頂へと向かう波が途切れるのです。
これは故意なのか、意図していないのか。
前者だとしたらとんだ堅物将軍ですし、後者なら父様の言葉通り天才的な動物的直感の持ち主です。なんとなく、後者な気がします。
「やあっ! だん、な、さまぁっ! も、いきたい、いきたいですっ……!」
そう訴えて、陰核にしゃぶりつく旦那様の頭に手を添えると、急に根元を齧られたまま舌先で思い切り転がされました。
「ああああっ! い、く……っ!」
がくがくと太腿が揺れたと思ったら、水音がして私は自分が潮を吹いてしまったことを知りました。そしてその吹き出た潮を……旦那様が飲んでるじゃないですか!
流石の私もこんなのは恥ずかしすぎます。
「嫌あっ! 旦那様、そんなもの飲まないでくださいっ!」
「……こっちのほうが、おいしい…………」
「~~~~っ!」
酔っ払いは本当に手に負えません!
旦那様を引き剥がそうとしても、太い腕でがっちりと腰を押さえ込まれていて、到底動かせそうにありません。こんな時は無駄に太い旦那様の腕が恨めしいです。
「……っあ、ん……旦那、様……そんなに、舐めたらまた……っ」
結論から言うと、舐められて、濡れて、いかされて、潮を吹いて、それを飲まれて、また舐められて……の最悪な繰り返しを私はこの後二回もさせられました。
辺境の鬼神は寝台でも鬼神だったということですね……。
そしてそれだけ「飲んで」満足した旦那様は……すっかり剥き出しにされた私の下半身に抱きついたまま眠ってしまいました。
どうしてくれましょう、このとんでもない酔っ払い。
敷布がびちゃびちゃで寝心地悪いですし、腰に巻きついてる腕が重いです。
でも私の力では引き剥がせないんです。
それに私の心は旦那様と離れたくないんです。
とりあえずこのままにして、明日の朝、青褪める旦那様でもみて溜飲を下げましょうか。
そう決めると、私は掛布を引き上げて旦那様の体を覆い、すっかりと乱れてしまった旦那様の焦げ茶の髪に手を差し込んで梳きました。
あ、意外と見た目に反して柔らかいんですね。つんつん跳ねてるのでもっと硬いのかと思ってました。将来、禿げないといいですね……。
それにしてもここまでやっておきながら、どうしてご自分の気持ちに気づかないんでしょうか。
私はそんな空回りしている旦那様も大好きですけど。
だから責任取って、早く諦めて下さいね、旦那様。
酒瓶をお持ちでしたので、おそらく清寧王様のところで飲んでいらっしゃるのでしょうが、それにしてももう夜更け近くなってしまいました。
もしかしたら今夜は清寧王様のところにお泊りになられるのかもしれません。
私も先に湯浴みを済ませてしまいましたので、いつでも床につける状態ではあるのですが、一体いつそれを決めるか少々悩んでおりました。
そんな時、とんとんとん、と表戸を叩く音がしました。
旦那様でしたら扉など叩かずにお戻りになられるので、こんな夜分に一体どなたでしょうか。
念のため護身用に懐剣を隠し持つと、手燭を掲げて玄関へと向かいました。
「どちら様ですか?」
「英凛さん、夜分にすみません。翔星です」
思っても見なかった方がいらっしゃいました。どうしましょうか、旦那様がご不在で私一人の今、翔星様と言えどお通しするのは些か不用心のような気がします。
そんな私の逡巡を読み取ったかのように翔星様は仰いました。
「実は……黄副将軍が酔い潰れてしまって……」
「えっ……⁉︎」
私は一も二もなく急いで表戸の鍵を開けました。すると確かにそこには真っ赤な顔で朦朧としている旦那様が、翔星様とその従者の方と二人掛かりでなんとか支えてられていました。とても重そうです。
「旦那様……!」
慌てて駆け寄りますが、うー……と微かな呻き声が聞こえるばかり。それにすごくお酒くさいです。一体どれほど飲んだのでしょうか。
「寝台の方へお連れしても?」
「ええ、お願いいたします」
翔星様たちを先導して旦那様の寝室へと向かいます。良かった、私一人でしたら酔い潰れた旦那様なんてとても運べません。玄関に転がしておくところでした。
なんとか旦那様を寝台に押し込めて、冷たい水に浸した布を額に乗せて、枕元に水差しと椀を置いて……と動き回って、ようやく翔星様にご挨拶が出来ました。
「こんな遅い時間にわざわざありがとうございました」
「いえいえ。洋嘉様のところから緊急の呼び出しがあったので、何かと思って慌てて駆けつけたら、すごーく疲れ切った顔の洋嘉様から「君の上司なんだから、責任取って持って帰って!」と言われまして」
「まあ……」
翔星様の清寧王様の声真似が思いのほか似てましたので、思わずくすりと笑ってしまいました。
「……それにしても、旦那様がこんな風になるまで飲まれるなんて珍しいです」
旦那様の額に乗せた布をそっと取り、もう一度冷たい水に浸して取り替えます。
「そうですね。私も酔い潰れたところは見たことがない気がします」
「私の父はしょっちゅうでしたけどね。その父をこうやって連れて来て下さるのが、いつもの旦那様の役目でした」
苦笑しながら昔の光景を思い出します。立てなくなるほど酔っ払っては、旦那様に背負われて帰ってくる父様。父様は細い方でしたので、旦那様は軽々と一人で運んでいらしゃいましたが。
私の大好きな「おじさま」の背中が、父様に奪われたことが悔しくて、私はよく怒っていましたっけ。そうしたら旦那様は父様を寝台に放り投げた後、必ず私も背負って下さるのです。
旦那様の背中は大きくて温かくて、安心した私はつい瞼が重くなってしまうことがよくありました。まあ、子供にはもう遅い時間でしたし。
でもそれを目敏く見つけた酔っ払いの父様が、「そこは俺の!」と割り込んできてよく喧嘩してました。本当にどうしようもない父様でした。
そんな懐かしい思い出に耽っていると、翔星様の顔が妙に赤いことに気がつきました。
「翔星様も飲まれていたんですか? お顔が……」
「あ、いえっ……これは、その……貴女のそんな格好を見るのが初めてでしたので……」
「すみません、こんなはしたない格好で」
もう湯浴みも終えてあとは寝るだけでしたので、寝衣の上に一枚羽織っただけの服装でした。髪も乾ききっていないので濡れ髪のままですし、人前に出るべき姿ではありませんでしたね。
「翔星様、今晩はありがとうございました」
「いえ、こんなことでしたら」
「旦那様の意識が戻られたらお伝えしておきますね」
「では、重すぎるのでもう勘弁してください、と伝えてください」
翔星様が冗談めかして言うので、確かにその通りですねと笑いながら、翔星様を見送りました。戸締りをして戻って来ると、まるで嵐の日に倒れた大木のように寝台に旦那様がうつ伏せになっています。
……どうしましょうね、これ。
服も着たままなので皺になってしまいますが、私では脱がせるなんてとても無理ですし。せめて腰の剣くらい外しておきましょうか。
そう思って旦那様に近づいた時でした。
「…………えいりん……水……」
地を這うような声ってこういうのを言うのでしょうか。いつもは低くて素敵な旦那様の声がしわがれて、ものすごく機嫌悪そうに聞こえます。
とりあえず椀に水を入れて差し出すと、のっそりと本当に熊のように起き上がった旦那様が水を一気に飲み干しました。鬱陶しそうに髪を結んでいた紐を解いて、普段はきっちりと着込まれている上衣の前を暑苦しそうにはだけます。
……旦那様、私の方が酔いそうです。
基本的に堅苦しいくらいに真面目なのに、酔うと野性味溢れる大人の色気がダダ漏れで、こちらがクラクラしてしまいました。傷跡の残る胸板がちらりと見えてるとか、もうどんなご褒美ですか。
旦那様が無言で椀を差し出すので、もう一度水をお注ぎして手渡すと、それも飲み干した旦那様がふと顔を上げました。わあ、目が据わってます。こんな旦那様見たことありません。
「英凛……」
「どうしました?」
「……さっきのは……翔星か……?」
「ええ。清寧王様に呼び出されて、わざわざ旦那様を送ってきて下さったんですよ。あとでお礼を言ってくださいね」
「……この格好で、あいつの前に……?」
旦那様が寝台に腰掛けたまま、寝衣姿の私の胸のあたりをじっと見つめています。
「仕方ないじゃないですか。もう夜も遅いですし、まさか翔星様がいらっしゃるだなんて思わなくて……きゃっ」
急に腰を抱き寄せられてびっくりしました。もう、本当に酔っ払いは何をするか分かりませんね。
「……こんな姿は、今後私以外の男には見せるな」
「…………!」
だ、旦那様、それは反則です……!
どうしましょう、不意打ちだったので顔が溶けそうに熱いです。例え酔っての言葉だったとしてもちょっと嬉しすぎて……。
「水……」
そうかと思ったらまた旦那様が呻くように仰いました。やっぱり酔っ払いの戯言でしょうか。はあ、と溜息をついて水差しを取ろうとしました。
するとその手が旦那様に掴まれて……気づけば寝台に押し倒されていました。
あまりのことに珍しく私の頭がついていきません。今、何が起きているんでしょうか。
「旦那様……お水を……」
「こっちの方が、水蜜桃みたいだ……」
酔って据わった目の旦那様の顔が近づいてきて、ぺろぺろと唇を舐められました。ええええ……酔うと旦那様ってこんな風になっちゃうんですか。いや、滅茶苦茶嬉しいんですが、普段との差異がとんでもなく激しすぎて……
「ひゃあっ!」
ぼうっとしていたら急に胸元に冷たいものをかけられて飛び上がりそうになりました。見れば旦那様が水差しで私の胸に水をかけています。ちょっと、ものすごく冷たいんですが!
「……おいしい…………」
「普通に飲んでください!」
ぴちゃぴちゃと音を立てて、胸元に垂らされた水が舐め取られていきます。寝衣もすっかり濡れてしまって、そこに染み込んだ水も吸われて。彷徨い始めた唇がぱくりと右の乳首に噛み付きました。
「っあ! ちょ、っと、旦那、様……っ」
冷たい水をかけられて寒さに立ち上がってしまった胸の頂が、ちゅうちゅうと吸われています。布越しでも旦那様に可愛がられていると思うと、今度は寒さのせいではなくジンジンと痺れてきてしまいました。
水がなくなればまたかけられて、もう寝衣の前面はすっかりと濡れて透けてしまいました。はだけられた谷間を舌が這い、臍に溜まった水も掬い取られて。不埒な旦那様の舌はどんどんと下へ降りていきました。
もっとも、私も止めるつもりは毛頭ありません。
こんなおいしい機会を逃す訳がないでしょう。
そうこうしているうちに旦那様は私の帯紐を咥えて解き始めました。あ、それ滅茶苦茶カッコイイです。まずい、鼻血出そうです。
晒された白い下帯も、腹を伝い降りていった水で濡れてしまっていて、下の毛が透けて見えています。そこへ旦那様は一切躊躇わずに吸い付きました。
「あ、ああっ! 旦、那様ぁ……」
いつもの旦那様だったら絶対に相当躊躇してからだと思うので、かなり酔われているようです。下帯の上から旦那様の鼻が当たって、もどかしい刺激に腰が思わず揺らめいてしまいました。
「っ! あっ……そこ……っ!」
下帯に染み込んだ水を吸っていた旦那様の口がふと止まったと思ったら、いきなり陰核が思い切り吸われました。流石にそんなことをされたら、もう声が止まりません。
「旦那、様っ……だん、那様ぁ……」
「……水が、溢れてきた」
「ひ、あああっ!」
ぐい、と下帯を脇に避けた旦那様が、ぺちゃぺちゃと割れ目を舐め始めました。それは、水じゃなくて、蜜です……っ。
「だんな、様ぁ……そこ、いいです……っ」
旦那様の舌が気持ちいところを舐めとっていくのに合わせて腰を突き出して、痺れが走るほどいいところを素直に訴えていたら、旦那様の動きが少しずつ変わってきたのに気づきました。
最初は本当に舐めているだけだったんです。だから、旦那様はこういうことはあんまり経験がないんだな、って思っていました。
でも、私が気持ち良さそうにした時の動きと場所があっという間に把握されていって、完全に私は翻弄されました。舐めて、差し込んで、吸って、舐って、転がして、噛んで……口付けて。
記憶のどこかにあった父様の言葉が蘇りました。
黄牙燎は戦場では天才的な勘を持つ武将だ、と。
旦那様は戦場を駆け回っている間に、敵の弱点と効果的な攻撃方法を、ほとんど動物的直感で一瞬にして見抜くそうです。そうしてそこに父様の軍略を乗せて、効率的に敵を壊滅させていく、と。
……私も完全撃破されそうです。
「あ、あっ! や、ああっ! 旦、那様っ! も、う、いっちゃ……!」
旦那様の口の中で器用に皮が剥かれ、すっかりと腫れ上がった陰核は先程から強弱をつけて吸われています。なのに達しそうになると、すっと舌が中へと差し込まれて溢れ出た蜜が舐め取られて、一時的に絶頂へと向かう波が途切れるのです。
これは故意なのか、意図していないのか。
前者だとしたらとんだ堅物将軍ですし、後者なら父様の言葉通り天才的な動物的直感の持ち主です。なんとなく、後者な気がします。
「やあっ! だん、な、さまぁっ! も、いきたい、いきたいですっ……!」
そう訴えて、陰核にしゃぶりつく旦那様の頭に手を添えると、急に根元を齧られたまま舌先で思い切り転がされました。
「ああああっ! い、く……っ!」
がくがくと太腿が揺れたと思ったら、水音がして私は自分が潮を吹いてしまったことを知りました。そしてその吹き出た潮を……旦那様が飲んでるじゃないですか!
流石の私もこんなのは恥ずかしすぎます。
「嫌あっ! 旦那様、そんなもの飲まないでくださいっ!」
「……こっちのほうが、おいしい…………」
「~~~~っ!」
酔っ払いは本当に手に負えません!
旦那様を引き剥がそうとしても、太い腕でがっちりと腰を押さえ込まれていて、到底動かせそうにありません。こんな時は無駄に太い旦那様の腕が恨めしいです。
「……っあ、ん……旦那、様……そんなに、舐めたらまた……っ」
結論から言うと、舐められて、濡れて、いかされて、潮を吹いて、それを飲まれて、また舐められて……の最悪な繰り返しを私はこの後二回もさせられました。
辺境の鬼神は寝台でも鬼神だったということですね……。
そしてそれだけ「飲んで」満足した旦那様は……すっかり剥き出しにされた私の下半身に抱きついたまま眠ってしまいました。
どうしてくれましょう、このとんでもない酔っ払い。
敷布がびちゃびちゃで寝心地悪いですし、腰に巻きついてる腕が重いです。
でも私の力では引き剥がせないんです。
それに私の心は旦那様と離れたくないんです。
とりあえずこのままにして、明日の朝、青褪める旦那様でもみて溜飲を下げましょうか。
そう決めると、私は掛布を引き上げて旦那様の体を覆い、すっかりと乱れてしまった旦那様の焦げ茶の髪に手を差し込んで梳きました。
あ、意外と見た目に反して柔らかいんですね。つんつん跳ねてるのでもっと硬いのかと思ってました。将来、禿げないといいですね……。
それにしてもここまでやっておきながら、どうしてご自分の気持ちに気づかないんでしょうか。
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だから責任取って、早く諦めて下さいね、旦那様。
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