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第5話 間違ってないけど間違ってる
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「奥様、大丈夫ですか?」
優しくそう問いかけられて、私は力なく微笑んだ。
「さっきよりは、随分マシになったわ……」
そう言って侍女の春梅が差し出してくれた冷たい蜂蜜水を一口飲んだ。
まさかゲーム世界でまで風邪をひいて寝込むことになるとは思わなかった。
それも、原因が濡れたままヤッたこととか情けなさすぎる。
そう言えば、寝落ちする前の私も疲れきっていて体がだるかったから、あれも風邪だったのかもしれない。と、そこまで考えて私はあることに気づいた。
現実世界での私の体ってどうなってるんだろう。
一応、VRゲームをやる時は安全のために寝転んだ体勢を取っているから、多分ベッドの上のままだ。これが本当に転生で元に戻れないなら、一人暮らしのアパートでゲーム中に孤独死……とか報道されちゃうんだろうか。
そもそも疲れきって体調が悪いのを押してまでこのゲームをやったのは、その日超大規模アップデートが行われたからなのだ。
忙しすぎてアップデートの内容まではチェックしていなかったけれど、ものすごい楽しみでデータのダウンロードをしていたら……データが巨大すぎてダウンロードがいつまでたっても終わらなかった。
さすがクソゲー、アップデートまでクソ仕様とは。
で、終わらないダウンロードを待っているうちに寝落ちしてしまったのだ。
こんなことならアップデートなんて後回しにすれば良かった、と思うもののもう後の祭り。
ゲーム世界の時間の流れは現実世界とは違うけれど、きっと今頃私の体は腐り果てて、人の形にベッドが真っ黒になって、アパートの下の階の人が寝ている時に黒い液体が顔にポタリと垂れてようやく発覚するんだ、とやけに具体的な想像をしていたら涙が滲んできた。
「お、奥様っ! 大丈夫ですか⁉」
春梅が慌てて涙を拭ってくれた。春梅は金蓮の侍女で、よく気がつくし、背丈は金蓮と同じくらいだけど、とても可愛い顔立ちをしている。
でも、こんな彼女も犠牲者になっちゃうんだよね……
誰のって、そりゃあれしかいないでしょ。
あの、絶倫鬼畜男の!
ちょうど扉を開けて件の人物が入ってくる気配がしたので、私はそっちをキッと睨みつけた。
「ごめんごめん、金蓮。体調は大丈夫?」
へらりと笑った旦那様は、一応いつものモードに戻っているようだが、私は初めて旦那様の裏の顔を知った。
「……大丈夫じゃないです。あちこち痛いし、だるいし……」
「本当にごめんね。でももう大丈夫だから。ああ、ごめんもう仕事に行かなきゃいけないんだ。また明日」
それだけ言うと旦那様は急いで出かけて行った。忙しい時に立ち寄ってくれたのは少し嬉しいけれど、一体何がもう大丈夫なんだろう。
*
翌朝、ようやく体調が回復して沐浴をしてすっきりした私は、雨上がりの中庭を散策することにした。
楽しみにしていた牡丹がそろそろ咲きそうだと春梅が教えてくれたのだ。
扉を開けて回廊に出ると、厄介な人たちに出くわした。
「あら、金蓮さん。ご機嫌よう」
「……嬌児姐様、玉楼姐様、おはようございます」
「貴方、雨の日に出かけて暴漢に襲われて旦那様のお手を煩わせたそうね」
春梅がこそっと「そういうことになっています」と耳打ちしてくれた。確かに武松《ぶしょう》のところへ行っていた理由は隠さなければいけないものだから、そういうことになっていた方が助かる。が。
「無用心に出かけて。この西門家の妻ならばもっと自覚をお持ちなさい!」
ピシャリと嬌児姐様に言われて、若干ムッとするもここで揉め事を起こしてはまずい、と引き下がった。
「……申し訳ございません。注意が足りませんでした。以降気をつけます」
「……金蓮さんが、謝った⁉」
いや、そんなに驚くことないでしょうよ、と思ったけれど今までの金蓮の態度を知っていたならば確かに驚きだ。
金蓮は気が強くて攻撃的で、基本的に売られた喧嘩はきっちり買うタイプだ。
「と、とにかく! 旦那様がわざわざ貴方に用心棒をつけたそうだから、今後はお気をつけなさい!」
まるで気味の悪いものを見るような目でこちらを見ると、嬌児姐様と玉楼姐様は立ち去った。ちなみにずっと喋っていたのは嬌児姐様で、玉楼姐様は一言も発していない。あの人はいつもぽやんとしている不思議美人だ。
はぁ、と私は深い溜息をついた。
嬌児姐様の言っていた「用心棒」も気になるけれど、もっと気にしなければいけないのがこの姐様たちだ。
私、こと藩金蓮は、旦那様の妻である。
ただし、旦那様には私を含めて全部で五人の妻がいる。
これが私が――いや、現代日本人的感覚では旦那様を受け入れがたい理由だ。
先ほどの嬌児姐様は二番目の、玉楼姐様は三番目の妻だ。この他にあと正妻の月娘姐様こと「大奥様」、そして四番目の雪娥姐様がいる。
金蓮は、五番目の妻だ。
旦那様は四人も妻がいるのに、わざわざ金蓮に武大を殺させてまで、五人目の妻として迎えた。
もっと言ってしまえば、実はこの後に六番目の妻を迎えたりもする。
どんだけ好きものなの、旦那様。
そしてこのゲームは、攻略対象である旦那様を攻略する必要はないということは、以前に述べた。旦那様は放置していても金蓮とヤリに来る。
では一体、どの辺にゲーム的要素があるのか。
答えは簡単。
旦那様の寵愛を独り占めするために、他の妻たちを蹴落としていくゲームなのだ。
それは乙女ゲームではないと、声を大にして言いたい。
だから、乙女ゲームを求めていた人々はこのゲームを酷評した。
曰く、「開発元は頭おかしい」「設定が狂ってる」「発売ジャンル間違ってる」等々。
私も本当にそう思う。
だけど開発元はいたって真面目だった。
女性が主人公で、イケメンを手に入れることが目的なら、それは乙女ゲームである。そんな考えの元にこのゲームを乙女ゲームとして発売した。
間違ってない。
間違ってないけど――間違ってる。
多分、開発元以外の誰もがそう思った。
だから、私がこの西門家で生き残ろうと思ったら、あの姐様たちと渡り合っていかなくてはならない。ゲームプレイ中ならともかく、転生してしまった今となっては別に旦那様の寵愛は欲しくないけど、旦那様はほっといてもやってくるから必然的に姐様たちの恨みを買う。
ちなみに旦那様がやってくる理由は、金蓮が一番美人で体の相性が良くて床上手だからだそうだ。まったく嬉しくない。
なので私としてはさっさと旦那様と離婚して、尼になりたい。でも先日の件で意外と旦那様が嫉妬深いと言うことが発覚してしまった。
そして頼りになりそうな武松は、NTR属性持ちだというしょうもないことが判明した。見掛け倒しな奴め……
「金蓮!」
噂をすれば影、なのか中庭の向こうからなぜか武松が声をかけてきた。
いやいやいや、なんで武松がここにいる⁉
「西門慶殿が気を遣って、俺をお前の用心棒にしてくれた」
「はあぁっ⁉」
ようやく話が繋がった。嬌児姐様の言ってた「用心棒」と、旦那様の言ってた「もう大丈夫」はこういうことか!
何が大丈夫なのかさっぱり分からないけどね!
優しくそう問いかけられて、私は力なく微笑んだ。
「さっきよりは、随分マシになったわ……」
そう言って侍女の春梅が差し出してくれた冷たい蜂蜜水を一口飲んだ。
まさかゲーム世界でまで風邪をひいて寝込むことになるとは思わなかった。
それも、原因が濡れたままヤッたこととか情けなさすぎる。
そう言えば、寝落ちする前の私も疲れきっていて体がだるかったから、あれも風邪だったのかもしれない。と、そこまで考えて私はあることに気づいた。
現実世界での私の体ってどうなってるんだろう。
一応、VRゲームをやる時は安全のために寝転んだ体勢を取っているから、多分ベッドの上のままだ。これが本当に転生で元に戻れないなら、一人暮らしのアパートでゲーム中に孤独死……とか報道されちゃうんだろうか。
そもそも疲れきって体調が悪いのを押してまでこのゲームをやったのは、その日超大規模アップデートが行われたからなのだ。
忙しすぎてアップデートの内容まではチェックしていなかったけれど、ものすごい楽しみでデータのダウンロードをしていたら……データが巨大すぎてダウンロードがいつまでたっても終わらなかった。
さすがクソゲー、アップデートまでクソ仕様とは。
で、終わらないダウンロードを待っているうちに寝落ちしてしまったのだ。
こんなことならアップデートなんて後回しにすれば良かった、と思うもののもう後の祭り。
ゲーム世界の時間の流れは現実世界とは違うけれど、きっと今頃私の体は腐り果てて、人の形にベッドが真っ黒になって、アパートの下の階の人が寝ている時に黒い液体が顔にポタリと垂れてようやく発覚するんだ、とやけに具体的な想像をしていたら涙が滲んできた。
「お、奥様っ! 大丈夫ですか⁉」
春梅が慌てて涙を拭ってくれた。春梅は金蓮の侍女で、よく気がつくし、背丈は金蓮と同じくらいだけど、とても可愛い顔立ちをしている。
でも、こんな彼女も犠牲者になっちゃうんだよね……
誰のって、そりゃあれしかいないでしょ。
あの、絶倫鬼畜男の!
ちょうど扉を開けて件の人物が入ってくる気配がしたので、私はそっちをキッと睨みつけた。
「ごめんごめん、金蓮。体調は大丈夫?」
へらりと笑った旦那様は、一応いつものモードに戻っているようだが、私は初めて旦那様の裏の顔を知った。
「……大丈夫じゃないです。あちこち痛いし、だるいし……」
「本当にごめんね。でももう大丈夫だから。ああ、ごめんもう仕事に行かなきゃいけないんだ。また明日」
それだけ言うと旦那様は急いで出かけて行った。忙しい時に立ち寄ってくれたのは少し嬉しいけれど、一体何がもう大丈夫なんだろう。
*
翌朝、ようやく体調が回復して沐浴をしてすっきりした私は、雨上がりの中庭を散策することにした。
楽しみにしていた牡丹がそろそろ咲きそうだと春梅が教えてくれたのだ。
扉を開けて回廊に出ると、厄介な人たちに出くわした。
「あら、金蓮さん。ご機嫌よう」
「……嬌児姐様、玉楼姐様、おはようございます」
「貴方、雨の日に出かけて暴漢に襲われて旦那様のお手を煩わせたそうね」
春梅がこそっと「そういうことになっています」と耳打ちしてくれた。確かに武松《ぶしょう》のところへ行っていた理由は隠さなければいけないものだから、そういうことになっていた方が助かる。が。
「無用心に出かけて。この西門家の妻ならばもっと自覚をお持ちなさい!」
ピシャリと嬌児姐様に言われて、若干ムッとするもここで揉め事を起こしてはまずい、と引き下がった。
「……申し訳ございません。注意が足りませんでした。以降気をつけます」
「……金蓮さんが、謝った⁉」
いや、そんなに驚くことないでしょうよ、と思ったけれど今までの金蓮の態度を知っていたならば確かに驚きだ。
金蓮は気が強くて攻撃的で、基本的に売られた喧嘩はきっちり買うタイプだ。
「と、とにかく! 旦那様がわざわざ貴方に用心棒をつけたそうだから、今後はお気をつけなさい!」
まるで気味の悪いものを見るような目でこちらを見ると、嬌児姐様と玉楼姐様は立ち去った。ちなみにずっと喋っていたのは嬌児姐様で、玉楼姐様は一言も発していない。あの人はいつもぽやんとしている不思議美人だ。
はぁ、と私は深い溜息をついた。
嬌児姐様の言っていた「用心棒」も気になるけれど、もっと気にしなければいけないのがこの姐様たちだ。
私、こと藩金蓮は、旦那様の妻である。
ただし、旦那様には私を含めて全部で五人の妻がいる。
これが私が――いや、現代日本人的感覚では旦那様を受け入れがたい理由だ。
先ほどの嬌児姐様は二番目の、玉楼姐様は三番目の妻だ。この他にあと正妻の月娘姐様こと「大奥様」、そして四番目の雪娥姐様がいる。
金蓮は、五番目の妻だ。
旦那様は四人も妻がいるのに、わざわざ金蓮に武大を殺させてまで、五人目の妻として迎えた。
もっと言ってしまえば、実はこの後に六番目の妻を迎えたりもする。
どんだけ好きものなの、旦那様。
そしてこのゲームは、攻略対象である旦那様を攻略する必要はないということは、以前に述べた。旦那様は放置していても金蓮とヤリに来る。
では一体、どの辺にゲーム的要素があるのか。
答えは簡単。
旦那様の寵愛を独り占めするために、他の妻たちを蹴落としていくゲームなのだ。
それは乙女ゲームではないと、声を大にして言いたい。
だから、乙女ゲームを求めていた人々はこのゲームを酷評した。
曰く、「開発元は頭おかしい」「設定が狂ってる」「発売ジャンル間違ってる」等々。
私も本当にそう思う。
だけど開発元はいたって真面目だった。
女性が主人公で、イケメンを手に入れることが目的なら、それは乙女ゲームである。そんな考えの元にこのゲームを乙女ゲームとして発売した。
間違ってない。
間違ってないけど――間違ってる。
多分、開発元以外の誰もがそう思った。
だから、私がこの西門家で生き残ろうと思ったら、あの姐様たちと渡り合っていかなくてはならない。ゲームプレイ中ならともかく、転生してしまった今となっては別に旦那様の寵愛は欲しくないけど、旦那様はほっといてもやってくるから必然的に姐様たちの恨みを買う。
ちなみに旦那様がやってくる理由は、金蓮が一番美人で体の相性が良くて床上手だからだそうだ。まったく嬉しくない。
なので私としてはさっさと旦那様と離婚して、尼になりたい。でも先日の件で意外と旦那様が嫉妬深いと言うことが発覚してしまった。
そして頼りになりそうな武松は、NTR属性持ちだというしょうもないことが判明した。見掛け倒しな奴め……
「金蓮!」
噂をすれば影、なのか中庭の向こうからなぜか武松が声をかけてきた。
いやいやいや、なんで武松がここにいる⁉
「西門慶殿が気を遣って、俺をお前の用心棒にしてくれた」
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