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第1章 獣の檻
第18話 初夜 2
しおりを挟むはじめ驚いて抗おうとしていた手は、いつの間にかそっと渓青の手を握りかえしていた。手のひらから伝わる温もりが翠蓮を穏やかな気持ちにさせる。
たゆたうように渓青から与えられる心地よさを受け取っていた翠蓮は、その手がそっと離されて頬を優しげに撫でていっても、従順に反応し、むしろもっと触れて欲しいとさえ思った。
けれどもその手がゆっくりと体の線に沿って降りていって、胸のまろみに合わせて撫でられると、さすがに翠蓮は薄く目を開けた。それに気づいた渓青がそっと囁く。
「……触っても?」
「……もうすでに触れているではありませんか……」
翠蓮が小さく抗議すると、渓青はくすりと笑って言った。
「本当に触るとはこういうことですよ」
その瞬間、上衣の合わせ目から侵入してきた大きな手が、翠蓮の左胸を柔らかく揉み、形を変える様を楽しむように何度も往復した。
「……っあ!」
思わずあげてしまった声が、自分でも信じられないほどに甘ったるく溶けていて、翠蓮は咄嗟に口をつぐむ。そんな翠蓮の口を開けさせるように、渓青の舌がつんつんと翠蓮の唇をついばんだ。
「……この寝台には厚手の帳を二重におろしてありますから、声はお気になさらずに」
「……んっ! ……や、ぁ……っ」
渓青が唇を食んでくるせいで口が閉じられず、翠蓮は自分の声だとは思えないような甘い声を止められない。そうしているうちにも渓青の手はやわやわと翠蓮の胸を揉みしだいていて、時折指が胸の頂きを掠めた。
「すごいですね……私の手でも余りそうです……」
「ふ、ぅ……んっ……んぅ……っああ!」
いつの間にか上半身ははだけられ、目を開ければ灯明のぼんやりとした灯りの中に自分の胸がつきたての餅のように形を変える様がまざまざと映る。とてもではないけれどそんなものは直視できなくて目をつむると、今度はねっとりとしたものが乳首に絡みついて翠蓮はびくりと身を竦ませた。
「ひっ……や、あああっ!」
飴でもねぶるかのように乳首が熱くころころと転がされる。目を開けなくたって分かる、渓青が咥えているのだと理解して、翠蓮は恥ずかしさにもうなにも言えなくなった。
そこに全ての感覚が集まってしまっているのではないかと思えるほどに、びりびりとした刺激が体を駆け抜けていく。渓青の舌は乳首を舐め回したかと思えば押しつぶしたり、ちろちろと舌先で弾いたりと翠蓮が予想もつかない動きで翻弄してきた。そのたびに翠蓮は背をしならせ、脚をこわばらせて衝動に耐える。
もう止めて欲しいという気持ちと、これ以上されたらどうなってしまうのだろうという気持ちがない混ぜになって、翠蓮の心は千々に乱れた。
気がつけば左胸は執拗にねぶられ、右胸は渓青の指先でくにくにと弄ばれている。左右で違う刺激が交互に翠蓮を襲い、もはや喘ぐ声を抑えることなど頭から押しやられていた。
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