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第1章 獣の檻
第25話 初夜 終
しおりを挟むそのまま蜜壺や陰核を執拗に嬲られつづけ、翠蓮は二度も気をやるはめに陥った。翠蓮が茫然として四肢を投げ出し、荒い呼吸を整えていると、かちゃりとなにか金属音が聞こえる。疲弊しきった翠蓮は頭さえ動かすのが億劫で、視線だけを渓青の方へとめぐらせた。
すると渓青はさきほどの狎具を革帯のようなものに通し、それを腰のあたりに取りつけていた。
なるほど色んな道具があるものだ、と翠蓮が妙に感心していると、渓青が翠蓮の脚を大きく開かせ、その先端をどろどろに蕩けきった秘部へと押しあてた。
「……冷たくはありませんか?」
「いえ……」
磁器でできているはずなのに、なぜ人肌のように温いのだろうと翠蓮は不思議に思う。すると渓青が、「温石で温めておきましたから」と種明かしをした。なにからなにまで手際よく準備されていて、翠蓮は気恥ずかしくなった。
「……失礼、いたします」
何度か秘裂を往復させて翠蓮から溢れ出たぬめりをまとわせると、渓青はそれを慎重に挿しいれてきた。文字通り体が開かれる感覚に、思わず翠蓮はぐっと下腹部に力を入れてしまう。
「力を抜いてください」
「無、理……っ」
渓青は仕方ない、というようにため息をつくと手を伸ばし、翠蓮の陰核をきゅっと摘みあげた。さっきまで弄ばれていたそこは赤く色づきぷくりと膨らんでいて、びりびりとした快感が翠蓮の脳を焼く。
翠蓮が嬌声をあげて背をしならせた隙に、その偽りの男根は徐々に奥へと進んできた。ゆさゆさと小刻みに揺さぶりながらも、渓青は陰核や乳首などを苛み、翠蓮の意識を逸らす。
ふいにそれらの刺激が止められた。翠蓮は助かったと思いながら大きく息を吸い、呼吸を鎮めようとするが、そうすると体内にあるものをまざまざと感じてしまうことに気づいた。さきほど渓青に何度も絶頂を迎えさせられた翠蓮の弱い箇所に、狎具がぴたりと吸いついたように貼りつき離れない。
「渓、青っ……」
「ほら、言ったとおりすべて入りましたでしょう?」
そう言われて翠蓮が慌てて自分の下腹部を見やると、たしかに翠蓮の恥骨と渓青の硬い下腹部がもう少しでくっついてしまいそうなほど近い。今日はいったい何度自分の体に裏切られるのだろう、と翠蓮は思った。自分の体なのに渓青のほうが知りつくしているようだ。
こめかみを伝いおちた汗を渓青が優しく拭う。じっとしているだけなのに体の奥がじりじりと焦げつくような心地がした。
「今日は初めてですから、奥はまだそれほど感じませんでしょう?」
そう言いながら渓青がこつこつと奥を軽く穿つ。たしかに突かれている感触はあるが、あの弱いところのように痺れが走るような感覚はなかった。
「そのうちこちらでも感じられるようになりますよ」
渓青はそう笑ったが、そんなのはちっとも嬉しくない、と翠蓮は思った。ここまで辿りつくだけでも精一杯だったのだ。これ以上乱れてしまったら自分はどうなってしまうのかという思いのほうが強い。
渓青は感じないのだから気楽なものだ、と思いながら渓青を見上げて、それがとんでもない思い違いだったことに翠蓮は気づいた。
たしかに渓青は表面上は笑みを浮かべたままで余裕だし、翠蓮のように呼吸を荒くすることも嬌声をあげることもない。
けれども合わせた肌はうっすらと汗ばんでいるし、体温もさきほどより高い気がする。そしてなによりもその目が雄弁に物語っていた。
その黒い瞳は、間違いなく情動の色彩を浮かべていた。
渓青が「男」として自分に興奮している、そう悟った瞬間に、翠蓮はなにか恐ろしい間違いを犯してしまったのではないかと思った。
翠蓮は「宦官とは男ではない」と思っていた。
男性器を切除しているのだから、男としての本能を失った、男と女の狭間にいる「宦官という生き物」だと認識していた。後宮で妃嬪たちの相手をするのは、命令されて仕方なく奉仕しているのだと考えていた。
けれどもどうだ、目の前にいる渓青は間違いなく、翠蓮という「女」に「男」として欲情している。
冷静に考えれば分かることだったのだ。男性器を切除したからといって、性対象が女から男に急に切りかわることはないだろう。体は変化しても、考え方まですぐに塗りかえられることはないのだから。
そう理解した途端に渓青が「男」に思えて、翠蓮はこの先の自分が不安になり恐ろしくなった。
その不安を、この先へ行為を続けることの恐れだと、渓青は思ったのだろう。片手で翠蓮の手を握ると、額へそっと口づけ、頬や首筋を優しく撫でた。
「ひどくはしませんから、ご安心ください」
そうではない、と言おうとして翠蓮は諦めた。おそらく今感じている不安は、男である渓青に説明してもきっと伝わらないだろう。それにここまできて今さら止めることもできない。握られた手をきゅっと握り返して、了承の意を伝えた。
渓青はそれを契機に、挿れたものをゆっくりと動かしはじめた。それは偽物であるはずなのに、翠蓮からは直接見えないせいで、本当に渓青に抱かれている心地になる。
秘部からは聞くに耐えない音があがりつづけていた。渓青は浅く抜き挿しを繰り返して、翠蓮の弱点を的確に責める。たまらず翠蓮は渓青の背に手を回して縋りついた。何かに掴まっていないと耐えられないほど気持ちが良かったからだ。
けれどもそうすると渓青の汗ばんだ胸板に胸がやわく押しつぶされ、乳首が擦れ余計に感じる。渓青が首筋を舐めあげ、耳元で掠れた声で囁いた。
「翠蓮、様……」
「渓青っ……渓、せっ……!」
渓青が目尻を優しく舐めて、翠蓮は初めて自分が涙を流していたことに気づいた。それはいろいろな感情が溢れてやまないことへの涙なのか、耐えられないほどの快感に歓喜している涙なのか自分でも分からなかった。
ただ、翠蓮は嬉しかった。
あんなに悲惨な目に遭い、汚された体の自分に渓青が欲情してくれていることが。
体中を埋め尽くす歓喜と快感の渦の中で、翠蓮は渓青の腕にしっかりと抱かれて果てを迎えた。
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