レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野

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第3章 エルフの国にて

第31話 隠し部屋の攻防

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 黒マントの男の眼が赤く光り、そして、その眼はミーナを捉えていた。

「その女の体をいただくとしましょう!」

 赤く光った眼からビーム状の光線が飛び出しミーナへ迫る。

「きゃっ!」

 バシュ!

 しかし、そのビームはミーナの前であっさりと弾かれた。

「な、何が起きた? ワタシの光線が弾かれただと……?」

「万が一を考えてミーナにもバリヤーを貼っていたんだ。しかし、ミーナの体をいただくだと?」

「くっ!」

 翼を大きく伸ばしたかと思うとフロアーの出口へ向かって飛び跳ねた。

「この場は見逃してあげましょう! ですが、最後には我らがヴァンパイア軍が貴様らを滅ぼすのです! さらばーーーっ!!」

 ここまで俺を怒らせておいて、逃げようというのか……。つくづく雑魚の考えは許しがたい!

 が、出口の手前で見えない壁に顔面からぶつかり、ズルズルと落ちてくる。

 バカが。出口にも逃げられないようにバリヤーを貼っているに決まっているだろうが。

「さて、ミーナの体を乗っ取って、何をするつもりだったんだ? さては、如何わしいことを考えてやがったな!」

「え? ワタシは彼女の体を人質にこの場から逃げようと……」

 俺は奴が言い終わる前にホーリーソードで体を一閃していた。

「ぐふっ、み、見えなかった……だと?」

 体がゆっくりとズレ落ちていく。そして、奴の体は倒れ込んだ。

「フンッ、こんなスケベ野郎は生かしておけぬ。女の体を乗っ取るなんてうらやま……けしからん!」

 俺はミーナのほうへ向かって歩き出した。

「ソウッ! 後ろっ! アイツがっ!」

「何っ!」

 振り返ると体から血は流しつつも、切り離された胴体がまた繋がって、立ち上がる奴の姿があった。

「わ、ワタシは不死の男、ノスフェル。これくらいでは死ねないんですよ」

 男はニヤリと口角をあげた。

「ほぅ、それは丁度いい。レベル上げにでも利用させてもらうとするか」

「へ?」

 ノスフェルに風魔法を当て、すぐにホーリーソードで切り刻む。

「ぐあああああっっっ!」

 風魔法のレベルを確認すると、上がったのはわずかに30程度であった。

 うーん、アイツ、口うるさいくせに経験値も持ってないんだな。ここでレベル上げするより、他を当たるか。

 奴の体を見ると、またくっつき始めている所だった。

「ダークファイアーの上位版ってのを試してみるか。ヘルファイアー!」

 凄まじい炎の柱が下から突き上げるように現れ、黒い雲がかかり、稲光が辺りを照らす。炎の直径は十メートルを超え、渦巻くように天へ向かって吹き出した。

「ぐわぁぁぁぁぁぁっっ!」

 ノスフェルの体は消し炭すら残らず、一瞬で燃え尽きた。

「よし、ここでターンアンデッドだ」

 辺りを聖なる光が包み込む。そして、奴の邪悪な意識体が照らされて、黒い霧のようにはっきりと見て取れた。

「ふ、不死であるワタシが……、消されるだと……、まさか、お前は伝説の聖者だとでも言うのか!?」

 ノスフェルは最後の言葉を残すと、聖なる光がさらに強くなり、辺りを包み込んでいく。

 黒い霧が晴れるように霧散すると辺りはまた静けさがもどってくるのであった。



「ソウ……、さっきの魔法って……」

「あぁ、ヘルファイアー? それともターンアンデッド?」

「どちらも神々が使ったと言われてる、伝説の魔法じゃない! どうして、ソウが……」

「あぁ、ハーデスから加護をもらってね。ヘルファイアーはダークファイアーから育てたんだ。いやー苦労したよ」

「いや、苦労とかそういう問題じゃ……」

「それより、ほら、虹色の箱がまだ残ってるよ! 中を確認しようよ!」

 強引にミーナの手を引いて、宝箱を開け直す。

 恐らく、この虹色に光る箱は金色に輝く箱よりも上位ランクのものなんだろう。うーむ、楽しみだ!

 中に入っていたのは……、

「これは……、白いローブか」

「何か、効果があるのかしら? ただのローブってわけじゃなさそうだし」

「よし、着てみてよ、ミーナ」

「えっ? 私が?」

「うん、だって、大きさも色もミーナが着たら丁度よさそうな感じだし。ほら、光沢があって綺麗なローブだからミーナに似合うんじゃない?」

「え、あ、ありがとう。着てみるわ」

 そのローブは白く神々しい魔力を辺りに放ち、ミーナが着るとその体型にフィットするように大きさを変えた。

「お? 自動で大きさが変わる装備だったのか。でも俺が似合うデザインでもないし、ミーナが装備して正解だな」

「そ、そんなに似合ってる?」

 ミーナは笑顔でローブの感触を確かめつつ、ヒラリと一回転した。

 あぁ、なんだこの可愛すぎる生物は! くっ、尊い! 尊すぎる!

「あぁ」

 俺は言葉が詰まってしまった。

「あ、やっぱり機能があるみたい。ほら!」

 ミーナはローブの中から一振りの剣を取りだした。

「こいつは、魔法の剣か!? いくつ取り出せる?」

「アイツ確か、投げつけて、また出してたわよね。えーと、」

 ミーナは剣を投げつけ、さらにローブから剣を取り出した。

「すごいわ! これ。いくらでも出てきそうよ!」

 両手で何度も剣を取っては投げ、取っては投げていく。それでも何も消耗する気配すらない。

「こりゃあ、相当レアなアイテムだな! ゲットできてよかったよ!」

「でも、いいの? こんなすごいアイテム。私が貰っちゃって……」

「もちろんさ。ミーナにももっと強くなってもらいたいしね」

「ありがとう! ソウ!」

ミーナは頬を紅潮させて、俺の腕に捕まって喜んでくれるのであった。

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