レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野

文字の大きさ
40 / 219
第4章 突撃! 魔界統一編 前編

第40話 新生魔王軍!

しおりを挟む


「えぇい、もうヤケクソだっ」

 若者はまたドラゴンに突撃していき、思いっきり足をパンチでなぐりつけた。

「グワアアアアッッッ!!」

 ドラゴンは足を痛がる素振りを見せたのだ。

「えっ?? うそっ? 効いてる……のか!」

 若者は自分の拳を見ながら驚きに目を開いた。

「だが、倒すのはまだキツそうだな」

 ドラゴンの首をサッと切り落とし、倒れたところに再度、リザレクションを唱える。

「さぁ、もう一度だ。殴ってみろ!」

「はいっ!」

 明らかに力が湧き出ており、元気に返事をする若者はまたドラゴンに突っ込んでいく。

 目を見張るとはこのことだろう。若者の動きは別人のように速くなっており、そのパンチは風を巻き起こし、ドラゴンへ突き刺さった。

「グギャアアアアアッッッ!!!」

 ドラゴンの足の骨が折れ、今までにない苦悶の表情を浮かべる。

「良し、まだまだ行くぞっ!」

「は、はいっ!」

 繰り返すこと三十回。若者はメキメキと腕を上げ、最早、ドラゴンは敵ではなくなっていた。

 若者はすでに俺の手伝いも必要なく、一撃でドラゴンの頭にまで高くジャンプしパンチを放つ。

 ドゴォォォォッッッ!!

 凄まじい爆砕音と供に、ドラゴンの頭は弾け飛び、絶命した。

「やった! やりましたよ! ソウさま! 一撃でドラゴンを倒しましたよ!」

 若者は破顔して喜んだ。

 うむうむ、強くなるって楽しいんだよな。

 他の村人たちはポカーンと口を開けたままその様子をみていた。

「どうだ! 誰だって強くなれる! 自分たちの村を自分たちの力で守ろうという気概のある者は他にいないか!?

「お、俺もやるぞ。俺だって村を支えてきたんだ! これぐらい、やってやる、やってやるぞぉ!」

 リーダーの男が吠えた。それに答えるように他の村人たちも立ち上がってくる。

「そうだ! 誰もがドラゴンを素手で倒せるようになれば、敵の襲撃など恐れるに足らん。立ち上がれ、村人よ! 今こそ、その手に力を握るのだっ!」

 俺の激励に応えるように村人たち全員が立ち上がった。

 女性や子供達までもがやる気に目を滾らせ、ドラゴンを睨み付けたのだ。

 もちろん、皆が最初は酷い目に遭った。踏み潰される者、噛みつかれる者、爪で引き裂かれる者。

 次々と死ぬ村人に大忙しでリザレクションを連発するのであった。

 だが、ドラゴンを倒すのも五匹目ともなれば誰も死ななくなり、十匹目となれば、俺が手を貸すこともなく、村人たちだけでドラゴンを仕留めるに至った。

 そして……、

 俺たちは場所を移動し、さらに山深くへ入っていく。そして山の合間にダースドラゴンの巣を見つけると、村人たちの目が血走った。

「ヒャッハー! 俺が一番のりだぜぇ!」

 先頭を駆け抜けるのはリーダーだ。村人たちの面倒見がよかったリーダーの面影は最早なく、一匹の狩人に変貌した彼は真っ先にドラゴンを殴り倒す。

「アタイだって、男なんかに負けてらんないよっ!」

 村で一番の若い少女が素早くジャンプし、ドラゴンの首へ突撃すると首の骨がへし折れた。そのまま首の肉に噛みつき、食い破っていく。

「やれやれ、若いもんはこれだから……」

 長老と呼ばれた男はレベルアップにより、長い髭の下に強靱な筋肉の鎧を身に纏っており、ドラゴンへ空中回転をしながら回し蹴りを華麗に当てるとドラゴンは山肌へ激突し絶命した。

 ピンと伸びた背筋はもはや、老人の面影はない。一流の格闘家の佇まいを備えているのだった。

「ん~、なんだかやりすぎちゃったかな? ま、いいか。そら、エリアリザレクションだ! ドラゴンどもがまた起き上がるぞっ! 撃滅せよ!」

「「「応っ!!!」」」

 俺の号令に村人の興奮がより高まり、ドラゴンの虐殺が繰り広げられていくのであった。



 そうして、ドラゴン狩りを繰り返すこと数千回が過ぎた。

 ドラゴンたちは涙を流しながら逃げ惑う。それを一方的に倒しまくって数日が経っていた。

 村人達は皆、少年少女ですら、パンチ一発でドラゴンを絶命させるに至る。

「よし、みんな、仕上がってきたな」

「はっ、皆のレベルが6000を超え、もうほとんど上がらなくなってきております!」

 ボサボサ髪の若者は敬礼をしながら答える。

「よし、じゃ皆集まってくれ」

「せいれーーーーつ!!」

 リーダーが大声を上げると、皆が横一列にビシッと並ぶ。

「みんな、よく頑張った! これでこの村の者は誰もが戦士だ! お前達、戦士を縛る者などだれもいない!」

 村人たちは誰もが涙した。だが、涙を拭う者はだれもいない。ただ俺の前で気を張って立ち、顎から涙が落ちている。

「村を襲ってきた者がいたらどうすればいい?」

「蹂躙するのみであります!」

 リーダーがはっきりと答えた。

「村に軍隊が攻めてきたらどうする?」

「全員、俺が殴り殺してやる!」

 村の若者が目を血走らせながら握りこぶしを挙げる。

「村にモンスターの集団が来たらどうする?」

「全部、アタイが噛み殺してやる! 焼き肉パーティーだ!」

 村の少女が舌舐めずりをしながら叫ぶ。

「よし! お前達には恐れるものなどなにもない! 立ちはだかる者全てを蹂躙しつくすのだ!」

「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」」」

 こうして、新生魔王軍中枢にあたる部隊が今、誕生したのであった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

処理中です...