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第4章 突撃! 魔界統一編 前編
第44話 激突! 鬼神vs大魔神
しおりを挟む拳と拳が交錯する。だが、奴の拳は俺のバリヤーにより、顔の前で防がれた。俺の拳はしっかりと奴の腹に突き刺さる。
「ぐおっ!!」
目を見開き、苦悶の表情を浮かべるエルガ。
俺はこのスキを見逃さず、拳を突き上げ、エルガの顎を上に向かって放った。
スパァァァン!!
風を切る音が鳴り、エルガの動きが止まる。
腹に突き刺さるように前蹴り四発を一息に放つと、奴の体は数十メルほど吹き飛んだ。
後ろに控えていた兵たちに動揺が走る。
だが、エルガは立ち上がった。ガクガクと震える足を平手で一打ちし、口から血を一筋垂らしながら、俺を見て、ニヤリと笑う。
「どうだ? 俺はお前のお眼鏡には適ったかな?」
「あぁ、合格だ! まさか、たった一回の攻防でここまでやられるとはな」
地面にベッと血を吐き出し、エルガはまた襲いかかってきた。
俺はエルガの僅かな体の動きから次に来る攻撃を予測し、バリヤーを局所的に展開する。
左前蹴り、右上段突き、右ハイキック、そのまま後ろ回し蹴りか。
悪くない連携だ。
後ろ回し蹴りをバリヤーで防ぎ、右足へローキックを放つ。そのまま、パンチのラッシュを打ち、十発ほどエルガの肉体へ当てていくと、また数メルほど吹き飛んだ。
だが、奴はまた立ち上がった。
「ゴフッッ」
大量の血を吐き出し、それでも尚立ち上がるエルガ。
すでに足に力が入っていない状態でもエルガの闘気は衰えを知らなかった。
次々と俺の攻撃を喰らいながら、吹き飛ばされながらもエルガは立ち上がる。
何がエルガをここまで……。
「フム、実力の差はわかってもらえたと思うんだが……」
「あぁ、嫌になるほど身にしみたわ。だが、俺にも負けられない理由がある」
エルガの目は死んじゃいない。
「うーん、まいったなぁ。お前ほどの男に対して手は抜くことは出来ない。純粋な武術の腕前だけで言えばお前は俺よりも遙か高みにいる。そんな気概のある人材はなんとしても欲しいんだが……、何か理由でもあるのか?」
「貴様には関係のないことよ!」
肩で息をしつつも俺に視線をぶつけてくる。さすが六大将を任されているだけはあるな。
ってか、これほどの人物が魔王レイを裏切るなんて考えにくいんだが……。
その時、後方にいた兵たちが割れ、間から見覚えのある男が現れた。
「おいっっ! エルガっ! お前なら勝てると思って連れてきてやったというのに! なんたるざまだっ! もっと全力でやれっ! あの敵をなんとしても倒すのだっ!」
そんな下らないことが聞こえてきた。大声を出していたのはモートンだった。そして、一人の女性を前に跪かせ、首に剣の白刃を当てていた。
まるで絵に描いたような小悪党だな。
「ちっ、モートン……。男の勝負を邪魔しおって……」
モートンの前にいる女性は手足に枷を嵌められ、目と口に猿ぐつわをされ、自由に身動きが取れない状態だ。
憎悪の目つきでエルガはモートンを睨む。
「おーっと、下手な動きはするんじゃありませんよ? 私の手が滑ってしまうかもしれませんからね! ヒャーッハッハッハッハ!」
「やれやれ、あの女が魔王レイを裏切った理由なのか?」
モートンの態度には呆れるほかない。
「フンッ、裏切り者と罵りたければ罵るが良い。我は忠誠よりも娘を選んだ。それだけだ……」
「そうか。ならばお前を縛る鎖、解いてやる」
「な? 勝手なことをするな!」
「お、おおおお、おいっ! 早くあいつを倒せ! エルガ! わかってるんだろうな!」
モートンは女の首に白刃を食い込ませていく……が、その首が白い膜でカバーされ、刃を弾き返した。
「な? なななんだっ! 何が起こった? くっ! このやろぉーーー!」
モートンは剣を振り上げた。しかし、その瞬間、モートンの腕が振り上げた勢いそのままに上にすっ飛んでいく。
「あひぇっ?? こ、これは……」
俺の風魔法は前にも見せたはずなんだがな……。学ぶ頭すらないとは。
「ここまでじゃ、外道め!」
モートンの真後ろにはいつの間にか長老が立っていた。そして、華麗に宙を舞い、回転しながらの蹴りがモートンの首を捉えた。
「ぐひぇ!」
首の骨が折れ、ズンと倒れ込む。
長老はすぐに女性の枷と布を外し、その女性の口にポーションを流した。
「う……、あぁ……。わ、私は……ここはいったい……」
「もう、安心ですじゃ。我らが大魔神、ソウ様が助けて下さったのじゃ」
エルガはヨロヨロと覚束ない足取りながら、娘のそばへ走った。
「お、お父さん!」
「モナ。無事だったか!」
お互いに涙を流しながら無事を確かめるようにギュッと抱きしめ合った。
「よし、長老。一旦、引き上げだ」
「ははっ! 仰せのままに」
「その前に……むぅぅん!」
魔力を集め、エリアリザレクションを使う。
「エルガの兵達に罪はないだろう。モートンを逃がしてしまったのは俺の失敗だったがな」
ドウムに殺された兵達は全て蘇えらせ、俺は長老と供に、村へ帰るのであった。
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