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第4章 突撃! 魔界統一編 後編
第49話 救出
しおりを挟む(ノーラ視点)
「うぅ……、貴様等……」
私は元魔王城の広場で四人の副官級の男達に囲まれていた。
「……というわけだ。大人しくしてもらおうか」
舌舐めずりをしながら私を見下してくる獣人の男。牛の頭を持ち、大きな体はギッシリと筋肉で覆われ、大斧を腰に構えているがそれを触る気配はない。
その獣人の隣に黒い霧が出ており、そこには捕らえられた宰相の姿が写っているのであった。
げっそりと痩せこけ、青白い肌に成り果ててはいたが、まだ息をし、その首には剣の白刃が当てられていた。
宰相の首から一筋の血が垂れ落ちていく。
私の目の前の男たちは宰相を人質にとり、私が助けに来るのを待ち構えていたのだ。
「まんまと罠にかかってくれてご苦労様。大将たちはこれから出陣するから、ここは俺が取り仕切らせてもらっていてな。
グフッ! たっぷり時間をかけて楽しませてもらうとするか!」
「き、貴様~~っ!」
「おーっと、まずはその剣を捨ててもらおうか。言ったとおりにしねぇと宰相様の命がなくなっちまうぜぇ?」
「わ、わかった」
最悪の展開。最悪の選択。そうとわかっていても私には抵抗できなかった。
武器を放り投げると、奴の部下がそれを拾い、回収されてしまう。
「グッフォッフォッ! ざまぁねぇな! 元六大将ともあろう者がよぉ! あん? どうだ? いつも俺たちを蔑んだ目で見やがって! これからアンタは俺等のオモチャなんだよぉ!」
高らかに笑う獣人の男。
そして、私の腹に奴の蹴りが刺さると、立っていられず、地面に蹲る。
頭を足で擦りつけるように踏まれ、ツバまでかけられた。
「まずはその立派な角から折らせてもらおう。魔族の象徴なんだろう?」
「や、やめろ……、それだけは……」
「くぅ~~~、たまらねぇぜ! いつもお高くとまるオメェからそんな声がきけるとはな! だが、許してはやらねぇがよ!」
獣人の男は大斧を手に持った。
だめだ……、やられる。
私の中を絶望が渦巻く。
その時だった。
「やめるのじゃ!」
「あん?」
一斉に男達が振り向く。そこにいたのは、魔王レイ様だった。
「ノーラ! 無事か!?」
「レイ様! 何故ここにっ! こ奴らは宰相をわざと生かし、人質に!」
「へっへっへ、そういうことだ。こりゃあ、オモチャが増えちまったようだな!」
部下どもも下品な笑いを浮かべる。
「まさか、元魔王様を俺の言いなりに出来るなんてとんだサプライズだぜぇ!」
レイは剣をその手に取った。
魔王の剣。それは刀身が光沢のある黒色だった。そして、使い手の魔力を吸うと、黒いオーラを纏い、様々な状態異常を付与する伝説の剣であった。
「おーっと、その剣をこちらに渡してもらおうか! へっへっへ、まさか伝説の宝剣が手に入るとはな。これからは俺が剣もろとも可愛がって……あぇ???」
レイの剣は獣人の男の顔に真っ直ぐに刺さっていた。
「ぐっ、ぐわあああっっっ! か、顔があぁ。溶けるぅ!」
顔から毒が湧き上がるようにボコボコに変形し、獣人の男は倒れた。
ヒクヒクと蠢きながら、体が紫に変色し、やがて息絶えた。
「こ、このぉ! 宰相ゲッケがどうなってもいいってのかよ!?」
「このアマ! ただじゃ済まねぇぜ!」
「皆でマワしてやっからよぉ!」
激昂する獣人の男たち。
「そのゲッケがどうしたというのじゃ?」
「あぁ~ん? ……なんだ? おい! おかしくなったのか? 何も写ってねぇじゃねぇか! 地下牢の連中は何してる……って、んん?? 誰だ? あのジジィ。やたらガチムチな体しやがって……」
黒い霧には白い髭を生やした男が写っていた。
「お? 写っておるのかのぅ? こりゃあ、面白い魔法じゃあ。ソウ様にお教えして差し上げねばのぅ」
白ひげの男は笑顔で黒い霧をベタベタと触りだし、フムフムと納得したように調べ始めた。
「あん? てめぇは誰だ! おいジジィ! 聞いてんのか!」
「全く五月蠅いのぅ。これだから最近の若いモンはセッカチでいかん。よし、こんなもんでいいか。エリアヒール!」
声高にジジィが叫ぶと周りにいた者たちが起き上がった。
「おっ? あんだ。いるじゃねぇか……って、何ぃ!!!」
起き上がったのは、宰相を始め、元魔王軍の近衛騎士団の者たちであった。
「ば、ばかな! 奴らは立てねぇように足の健を切ってあったはずだ! そんなはずはねぇ!」
「おおーい、閣下! こちらは終わりましたぞい! そちらも遠慮なく終わらせて構わんぞな」
「へ? えーと、人質が……」
滝のような汗をダラダラと流し、目を丸くする獣人達。
「人質がいなくなったようじゃな。それで? 妾を相手にどう頑張ってくれるのかの?」
「う……うそ……」
「に、逃げ……ガフッ!」
「貴様等を逃がす妾だと思うたのか? 随分と舐められたものじゃのぅ」
「ひ、ひえぇぇぇっ!」
獣人の叫び声が木霊した後、静けさが訪れるのだった。
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