レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野

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第6章 アナザージャパン編

第62話 逮捕

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「ちょっとそこのアナタ。止まりなさい」

 なんだろう? 目の前にはグレーのパンツスーツを着たお姉さん。しかもボインだ。整った顔立ちだが、目尻がやや上がった綺麗系美人だ。

 こんな美人が俺に話しかけてくるワケがない。どうせ、後ろにいる人に話しかけているんだろう。

「アナタよ、アナタ! アナタに話してるの! ちょっといいかしら?」

 お姉さんはぐいっと顔を寄せてきた。黒縁のめがねを指で押し上げながら。

「お、俺ですか?」

「えぇ、そうよ! やっと返事してくれたわね」

「な、なんでしょう? どこかでお会いしましたっけ?」

「アナタ、そこで能力を使ったでしょう? 現行犯よ。ついてきてもらうわ」

 スーツの内ポケットから取り出したのは、ドラマで見かけた警察手帳だ。

「へ? な、なななんのことでしょう?」

「あら? とぼけるのね? アナタから発せられた妖力がさっきのお店のくじに残っているはずよ。そこまで証拠を揃える前に自白してくれると楽なのだけど……」

 完全に俺の負けだ。でもまさか、日本で魔法がバレるなんて!

「驚いているようね。アナタがやったことは犯罪行為。じゃ、来てもらえるかしら?」

「はい……」

 取りあえず、ここは頷いておくしかない。まさか日本で捕まってしまうなんて……。

 俺はお姉さんに促されるまま、いかにもな黒いセダンの車に乗せられてしまうのだった。



「さ、着いたわ。降りてちょうだい」

 お姉さんに言われるがまま、降り立ったのは警察署。江戸川区で捕まったというのに墨田区の警察署だ。

 はぁ、とため息をつく。

「ほら、早く行きなさい。って、あいつらは!!」

 お姉さんの目つきがさらに鋭くなった。振り向くと、ワンボックスカーの中から数人の男達が素早く降りてきた。

 そして、なんと、魔法を使ったのだ! 男達は次々と炎や氷を浮かべこちらに飛ばしてくる。

「あ、あれは……?」

「体を車に寄せてっ! 伏せてなさい!」

 お姉さんは俺を庇うように、覆い被さってきた。

 わわっ、柔らかいのが二つもくっついて! ふ、ふがっ、いい香りだ……。

「大丈夫。すぐに応援が来るわ」

 お姉さんの抑える力が強まる。

 あぁ、こんなに柔らかいなんて……幸せ……。

 お姉さんも手から火の玉を出して飛ばし応戦するが、多勢に無勢。

 男達の魔法が次々に車に当たり、燃えだしてしまった。

「しまった……、車が!」

 激しく炎上する車。止まない攻撃。焦るお姉さん。

 そして、至福のひとときを満喫する俺。

 だが、幸せな時間とは短い。

「きゃあ!!」

 敵の放った氷の塊がお姉さんの腕に刺さる。

 お姉さんのスーツが血に染まっていく。

 こりゃいかん。すぐに手当しないと。ヒール! もちろん無詠唱だ。出来る男は黙って仕事をこなすのだ。

「え? うそ? わ、私、怪我をしたはずなのに……」

 お姉さんの目が驚きに開いた。

「あいつら一体何者なんです? なんだか打ちまくってますけど……」

「奴らは妖術集団、関東妖激団の連中よ! 妖術の力で政府や警察を攻撃するの」

「あ、じゃあ、テロリストみたいな感じなんです?」

「そうよ! あいつらの好きになんてさせないんだから!」

 お姉さんの目が真剣だ。

 ここは一丁、俺が解決してやるか! お姉さんはいい人そうだし。

 ってか、さっきから見てるけれど相手の魔法……、レベル低いよなぁ。こんなんじゃオークはおろか、ゴブリンだって倒せるかどうか怪しいぞ?

 バリヤーを俺とお姉さんに張る。

 キィン、キィン! と甲高い音が鳴り、奴らの魔法は通らない。

「えっ? な、なに? この白い膜は? 結界とも全然違う……」

「じゃ、ちょっと片づけてきますね」

「え! ちょっと待ちなさい! 危ないわよ!」

 男達にウィンドカッターをとにかく弱めに放つ。敵はモンスターじゃない。生身の人間なのだ。この程度の魔法でも簡単に切り刻まれ、戦闘不能に陥っていく。

「なんて脆い連中だ。こんなんで国家を相手どろうなんて無理だろ?」

 数人いた男達はみな手足を切られ、バタバタと倒れ、出血に苦しんでいる。

「あ、ついでに車の火も消しておくか」

 ポーションの水なら出し放題だ。ザバザバとポーション水を降らせるとあっという間に火災も収まった。

「良し、じゃ後はお任せしますね?」

 お姉さんは口を大きく開けたまま、動かない。

「もしもし? お姉さん?」

「え? えぇ、わかったわ」

 奴らの攻撃が止んだことにより、応援の部隊が次々に到着した。

そして、奴らを取り押さえ、署に連行していく。

「よし、じゃあ署でお話聞かせてもらうわ」

 お姉さんはどこかよそよそしいような雰囲気になってしまった。

 驚かせちゃったかな? ま、やっちゃったものは仕方ないか。

 俺はお姉さんについて署へ入っていくのだった。


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