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第6章 アナザージャパン編

第74話 水竜戦

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「貴様ら、何者じゃ? ここへ何をしに来た?」

 本殿の中でもコンと大牙の強さは圧倒的だった。出てくる敵を片っ端から倒しまくり、気がつけばボスの目の前だ。

 巨大な水竜の体はとぐろを巻いて重なっており、体長がどれほどあるのか、想像もつかない。ワニのような口の中は歯が幾列も並んでおり、キラリと光に反射して光る。頭には巨大な角が二本生えており、まるで大木が生えているかのようだ。体は水色の美しい鱗で覆われており、宝石のように輝いている。

「やっと会えたな。単刀直入に言うが、人間界に関わるのをやめて欲しいんだ」

水竜の眉がピクリと動く。

「ほぅ、どこでそんな事を調べたのやら……、悪いが辞めるつもりはない。我等、竜族の未来がかかっておるのだ。ここで引くわけにはいかぬ。分かったら帰るがいい」

「そうか、話し合いでなんとかなるのなら、それに越したことはないんだが……、引けないなら闘うしかないな」

「闘う? 我と闘うというのか? 面白い冗談だ。おい! 皆のもの! この無礼者を追い出してしまえ!」

 水竜は叫んだが誰も来ない。

「む? 誰かおらんのか?」

「すまんが、お前の部下は全て片付けた。後はお前だけなんだよ」

「なんじゃと?」

 水竜は辺りを見回したが人の気配がまるっきり無いことに気づいたようにヒゲをピクピクと動かした。

「ふんっ、不甲斐ない奴らめ! 仕方がない、我が自ら貴様らを屠ってやるわ!」

 水竜は怒り、角が光ると、稲妻が建物に落ちた。光に包まれ、辺りは一瞬にして燃え上がる。

 俺たち三人はバリヤーを張っていたため、被害はなかったが、凄まじい威力だ。突風が吹き荒れ、本殿が全て吹き飛んでいく。

「やれやれ、派手にやりやがって。よし、コン、大牙! 今こそお前等の実力を見せてくれ!」

「ワン!」

「ハッ、御意に」

 二人は左右に分かれ水竜を挟み込む位置につけた。

「まずは、これでも喰らえっ!」

 大牙がナイフをばら撒くように投げつけた。数えることも出来ないほどの大量のナイフがきらめく。銀色に光ったと思えば敵に届いているほどに速い攻撃だった。

「ん? なんだ、そんな小さなナイフなど、我に効くものか!」

 水竜の笑い声が響く。ナイフは水竜の鱗に全て弾かれあちこちに散っていった。

「ワンワンッ!」

 コンが走りながら放つ爪の攻撃だ。奴の部下であれば、即死といったところだが……、

「グハハハハハ! 蚊ほどにも効かんわ! 見ているがいい、攻撃とはこういうものを言うのだ!」

 水竜はまたも角を光らせる。空から稲妻が辺りに落ちまくり、爆発を起こしていく。

 幸い、皆は足が速かったこともあり、躱すことができた。が、直撃すれば丸焦げになってしまいそうだな。

「ならば、これはどうだ?」

水竜の口から水が吐き出される。それはまるで刃が付いているかのような形状に変形し、襲いかかってきた。

 大牙が身を伏せて躱すと、後ろにあった瓦礫がスパッと切り裂かれる。

「まだまだ行くぞぉ!」

 水竜は連続でその刃のような水を吐き出してくる。大量に吐き出される水の刃に、コンも大牙も躱すので精一杯のようだ。反撃に出ることが出来ないでいる。

「仕方ない。最初は力を貸すとするか」

 水竜の吐き出す水刃に合わせるように刀を振り抜く。水刃はただの水しぶきとなり、散っていった。

「ぬう? 貴様には特大の水刃を喰らわせてやるわ!」

水竜が大きく口を開け、大量の水を吐き出そうとした時、俺は既に水竜の喉元にまで移動していたのであった。

「残念だが、これで終わりだ。面白い芸だったが、打つ前にスキが大きすぎるな」

 刀で横に一閃すると、水竜の体の奥から湧き上がってきた水に頭部が押し上げられるように離れた。

「よし、今のタイミングを見ていたか? 次は実践だ。二人ともタイミングを見て飛び込んでみるんだ」

「ワン!」

「ハッ。今のでさらにレベルが上がりました! お任せください!」

「二人ともいい返事だ! よし、リザレクション!」

 水竜の首が繋がり、再び動き出す。

「ぬぅ? こ、これは?」

 水竜が呆けている間にコンが爪で切り裂く。先程は硬い鱗に弾かれていたが、今回は爪が勝ったようだ。水竜の体に大きな傷を入れることに成功した。

「拙者も!」

 大牙の投げるナイフはその傷口から奥深くまで刺さり、あっという間に水竜を絶命させる。

「良くやった! だがここからが本当の闘いだ!気合いを入れてくれよ!」

 今の攻撃でさらにレベルアップした二人。すでに水竜は敵ではない。俺のリザレクションのタイミングで何度も攻撃し、止めを刺していく。



 やがて、二人とも一撃で水竜を仕留められるようになってしまい、交代でレベル上げの作業になるが、二人のモチベーションは高かった。

 五、六時間経ったてもまるで意欲が衰えない。

「なかなか、やるじゃないか! 二人とも! よし、俺の祝福を与えるからそちらもレベルを上げて行こう!」

「ワンッワンッ!」

「よ、よろしいのですか? ありがたき……、幸せ!」

 コンは俺の周りをくるくる回りながら喜び、大牙は涙を流して喜んでいる。

「よし、我が戦士に聖なる祝福を……」

 俺の魔力を二人に分け与える。

「ワンッ!」

「おおっ! これが、大魔神さまの魔力! うおおおっっっ! 力が漲る!」

 どうやらうまく行ったようだな。

「よし、これから神聖魔法を少しレクチャーするから使って覚えてくれ! 実戦で戦いながら覚えるのが一番だからな!」

「ワンッ!」「ハッ!」

 俺たちはさらなるレベルアップを目指し、怒涛の周回へ突入していくのであった。
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