91 / 219
第7章 聖魔大戦編
第90話 勇者パーティの力
しおりを挟む「さて、皆さん。レベリングの旅はいかがでしたか?」
王女が皆に声をかけた。
だが、勇者一行は椅子に腰をかけたまま動かない。ただ空を見つめるようにボーっとしていた。
「はっ、問題なく、皆が人類最高峰と呼べる、7000台に引き上げて参りました!」
敬礼をしながら後ろに控えていた兵が答えた。
「それはそれは。皆さんのように勇敢な兵がいたからこそ、これだけの戦力を作ることが出来たのです。ご苦労さまでした」
「はっ! ありがたき、幸せ!」
兵達は敬礼をし、下がっていった。
応接の間には勇者一行と王女、それから王女の側控えが残る。
「さて、優秀な駒が揃ったところで……、魔界へいってもらおうかしらね。手はずはどうなっているの?」
「はっ、準備は滞りなく、進んでおります。明日には、北の森からダンジョンへ突入させることが出来ます」
「結構。では、予定通りに。この勇者達には精々、お腹いっぱいに食べさせておきなさい。明日には死んでしまうかもしれませんしね」
王女は顔色一つ変えずに淡々と述べた。
勇者達を見る目も、蔑んだような見下すような目つきだった。
俺は豪華なシャンデリアが取り付けられている天井に小さな穴を開け、このやり取りの一部始終を見ていたのだ。
だが、勇者RENがふと顔を上に向けた。
まずい、俺の位置がばれてるのか?
「鼠がいるようね。やっておしまいなさい!」
王女は側控えに守られながら下がっていく。そして……、
「そこだっ!」
RENの手のひらが光り、天井まで一筋の光が走った。その光は激しくうねり、稲妻のように天井を貫く。
ガッシャーーーン!
シャンデリアが地上へ落ちるとキラキラとガラス片が舞い、光りを反射している中、俺の体が地面へ着くのであった。
「これはこれは……、見覚えのある男じゃないか。以前はお世話になったなぁ。だが、俺は強くなったぜ! 今度こそ、貴様の首が宙を舞うときだ!」
RENが先ほどのボーッとした生気のない表情から一気に殺気溢れる顔へ変貌を遂げた。
目は吊り上がり、口が裂けそうなほど三日月に開いている。
「どうやら、話し合い……、なんて出来そうにないな」
「ったりめぇだ!!」
RENが襲いかかってくる。勇者の剣はすっかり元通り……どころか、パワーアップしてやがる!
一回りも太くなった剣を軽々と振り回し、俺のホーリーソードと打ち合っていく。だが、ホーリーソードを軽々と切り裂くほどにRENの剣は強化されており、俺は一気に壁際に押し込まれていった。
「俺のホーリーソードがやられる……だと?」
「くっくっく、レベルアップも果たし、剣もパワーアップしたぜ? 後は魔族の首を上げるだけなんだよ? クヒャヒャヒャヒャ!」
笑いながらもすぐに打ち込んできた。俺はとっさに、アイテム袋から愛用の刀を取り出し、鍔競り合いの形になる。
「ぐぅ! な、なんだ? この力は!」
以前とは比較にならないほどの強烈な力で俺の背中は壁に押し込まれた。
「今までの俺だと思うなよ? 装備一式、全てに強化付与魔法が施され、貴様の力を凌駕したのだ!」
RENが力を一気に爆発させた。俺の体は刀ごと吹き飛ばされ、壁を貫いて、後方にあったホールにまで転がっていった。
「くっ、今までのRENとは大違いだ。これほどに強くなっていたとは……」
目の前に勇者一行が現れる。
「REN。俺にもやらせろ。雑魚モンスターには飽きてたんだ。ちょうどいい遊び相手じゃないか」
今まで静観していたFina1が前に出てきた。
「ケッ、まぁいい。ただし、やばくなったところで俺は助けねぇぞ?」
「誰にモノを言っている? 俺が奴に負けるとでも?」
RENは戦闘に参加しないのか。正直、全員でかかってこられたらやばかっただろう。だが、一人なら……。
Fina1が瞬時に姿を消した。
「速い!」
かろうじて剣で防いだ。いつのまにか、Fina1の手には赤く、大きなソードが握られていた。とても目で追える早さではない。RENよりさらに一段速く感じる。その分、RENのほうが攻撃が重い、そんな感じだ。
「そら、まだまだいくぞ」
Fina1は無表情のまま、俺に連撃を仕掛けてくる。
だが、スピードの予測さえ出来てしまえば、どうということはない。
スピードに慣れてきた俺はその連撃を躱しきる。
「ほぅ、俺のスピードに着いてこれる奴がいたのか」
やっと表情が変わる。Fina1は感心したように頷くと、また連撃をしかけてきた。
「っく! いつのまに!」
Fina1は左手にショートソードを持っていた。二刀流になったことで、放つ連撃は倍。それまでよりもはるかに多い刃が俺に襲いかかってくる。
「くっ、速すぎる!」
咄嗟に、刀を右手で持ち、左手にホーリーソードを出す。
これでどうだ?
絶え間なく続くFina1の連撃をなんとか弾き返していく。
「ほぅ、やるじゃないか! それならば」
Fina1の体に赤いオーラが噴出する。
「こ、これは?」
Fina1の体を覆い尽くしたオーラが一瞬にして消え、俺の体を通過し、背後に抜けていく。
「ぐふっっっ」
口から赤い液体が漏れ出す。
その後になって、俺は体を切られたことに気付いた。お腹に赤く線が入ると、血が噴き出す。
慌ててヒールを使ったが、危ない所だった。もう少しで本当に死んでしまう所だったかもしれない。
「ほぅ、しぶとい奴だ……」
Fina1は振り返りながら淡々と口を開く。そして、その目は俺を見下すような冷たい視線となっているのだった。
20
あなたにおすすめの小説
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~
ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆
ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる