レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野

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第9章 勇者RENの冒険

第158話 大盾

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 バッジは目を見開いた。すぐさま背中に背負った大樽から大盾を取り出し、目の前に迫るクインテットフレアーに向かって構えた。

「フンッ、この程度!」

 キュイジーヌの放った魔法はバッジの大盾にぶつかると、途端に爆発炎上し、巨大な炎の柱が上空にまで立ち上った。

「こ、これはーーー、バッジは大丈夫でしょうか? 炎の柱に飲み込まれてしまっておりますーーーっ!」

「直前に出していたあの大盾ですが、普通の盾ではキュイジーヌの強烈な魔法を防ぐことはできませんからね。まだ勝負がつくには早すぎますから、無事でいてくれて欲しい所ですね」



 まったく、解説の連中は好き勝手いいおるわい。ワシをバカにしておるのか? こんな初っ端から、くたばるワケがないじゃろうが。

 やがて爆風が晴れてくると、キュイジーヌの眉毛がピクリと引きつる。

「あら? せっかくボクが火葬場まで運ぶのを省略してあげようと思ったのに……、しつこい男は嫌われるよ?」

「はん! こちとら炎の前に立ち続けて300年。炎なら見た瞬間にその
性質がわかっちまうんでな。嬢ちゃんの火でワシを焼き尽くすことなんざ出来ねぇぜ?」

 ワシがとっさに出した大盾は魔石をはめ込む場所があり、そこに各属性の魔石をはめ込むという使い方が出来るようになっている。今回も、フレアーに対し、火の属性の魔石をはめ込んで、火の耐性を大幅にアップしたというわけだ。

 バッジが、一言いい返しただけでキュイジーヌの顔はさらに引きつる。

 なんて気の短い女じゃ。全く堪え性がなっとらん。そんなようでは鍛冶場に立つことはできんぞ。っと、いかんいかん。ワシはここに戦いに来たのではない。自分の使命を忘れるところじゃった。

 ワシが背中の大樽に手を突っ込むと、目の前のヴァンパイアが身構えた。

「そうビビるんじゃない。一つ聞きたいことがあるんじゃ……っと、これじゃ」

 ワシは樽から小さめの刀を一振り取り出した。その小刀は小さいながらも刀身が黒く、鈍い光を反射する。

「この刀に心当たりはないじゃろうか? ワシはこの刀の制作者を探してここへ来たんじゃ。正直な所、戦いなんぞ興味はなくてのぅ」

「フンッ! そんなみすぼらしい刀なんか知らないよ! 大体、ボクが武器に詳しいワケないじゃないか。いつだって自分の体一つで戦ってきたんだから」

「そうか……。ならば、戦うとするかの。なんでも優勝すれば一つ願い事を聞いてくれるそうじゃからの。ワシはこの刀の制作者に会いたいんじゃ」

「へ? そんなことが願い事? 頭おかしいんじゃないの? っていうかアンタだって鍛冶師なんでしょ? なら自分で造ればいいじゃないか!」

 キュイジーヌは驚いた顔つきでバッジを見つめた。

「お主が驚くのもわかるが……。この刀は特別製での。ワシゃあこの世界に長いこと剣を打ってっきた。だからわかるんじゃ。この刀は神以上の存在が造ったシロモノじゃとな……。今のワシにはこれほどの刀は打てん」

「本気で言ってるの? アンタ以上の鍛冶師がいるだって? そんな話聞いたこともないね!」

「そうか……、ならばここでお主を倒して次に進むのみじゃ」

 バッジはまた背中の大樽に手を入れた。

 ヴァンパイアを倒すには……、これじゃ。

 取り出したのは白く輝く剣。手に持っただけで自分ですら眩しく感じるほど、この剣は光をよく集め、白く反射するのだ。

「やっと本気ってわけね。 じゃボクも少しだけ本気をだしてあげるよ」

 キュイジーヌは氷の魔法を唱えた。今度は片手ではない。両手で10個もの氷塊が両手の上に出現する。

 バッジはそれを見ても動じることはなく大盾の魔石を素早く交換すると、白く輝く剣を握り、腰を低く構えた。

「バッジの取り出した剣ですが、白い輝きを放っているかのように眩しいですね!」

「あれはタダモノではないですよ! おそらくですが、悪魔やそれに類する種族に特効の付加がなされた剣ではないでしょうか。白銀とミスリル、それを混ぜて、さらに魔力を込められるよう加工、さらにいくつもの属性を付加エンチャントしてあるようですね。軽く見ても風属性と聖属性の加護が見て取れます。まさにヴァンパイアキラーと言っても差し支えない剣でしょう!」

「ヴァンパイアキラーですか! 市場価値でいうととんでもない金額になりそうですね! さ、対するキュイジーヌですが、こちらは魔法をなんと、10個も同時に詠唱しましたよ!」

「えぇ、考えられないことですが、キュイジーヌは多重詠唱が得意なんでしょうね。さらに融合魔法を先程は披露していましたから、今回はさらに威力がマシマシってことです。あんなの盾を持っていたとしても受けたくはありませんね!」



 「フフッ、じゃ君と戯れるのもこれでおしまいだ。これでも喰らえっ! ダブルクインテットコキュートス!!!」

 キュイジーヌの両手の上に現れていた氷塊が左右2つの大きな氷塊へ融合した。そして、それを同時に放つ。

「キュイジーヌの特大魔法が放たれた!」

「どうやら風魔法も融合してありますよ! 2つの氷塊が絡み合うように風魔法で操ってますね! 一つの氷塊へ変化していきます! そして先端はドリルのように尖ってます!」

「これほど巨大な氷塊、見たことがありません! 長さは優に20メルを超えているーーーッッッ!!!」



 どれ、この嬢ちゃんの魔法力。見せてもらおうか。

 バッジは落ち着いたまま、大盾の下部についていた尖った部分を地面に突き刺した。それと同時に魔力を込め、氷属性の耐性を引き上げるのだった。

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