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第9章 勇者RENの冒険
第209話 戦端
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戦いは始まった。だが、ニュートは動かない。オレの動きを見るつもりか?
二刀に分かれた刀の剣先を地面スレスレに落とし、脱力したように構えるニュートは、今まで戦ってきたどの相手よりも強力に見える。
だからといって仕掛けないわけにはいかない。どれほど相手が達人だろうが、オレは倒さねばならないのだ。
「おっと、先に動いたのはRENだ! あっという間に懐まで入り込んでいく~~~っ!」
「私の目にも消えたようにしか見えません! 恐ろしいスピードです!」
この速度ならばどうだ!?
分身体を残しつつ、素早く後方から仕掛ける。
「フンッ、この程度か?」
ニュートは冷静にオレの剣を弾いた。それも後ろを一瞥すらせずに。易々と弾いたのだ。
「ぬぅっ!」
さすが決勝まで残っているだけはあるな。だが、まだまだここからだ!
オレは体に身体強化の術を仕込んだ。獣人族の神から授かった技だ。この術を使えばオレのスピードは倍近くにまで跳ね上がる。
「これでどうだっ!!!」
さらに多くの残像を残しつつオレはニュートの左側方から攻め入った。全方位に残像を残しているため、どこから攻撃が飛んでくるかはニュートには分からないはず…………
「ほぅ? なかなかやるな……」
ニュートはオレの次の一撃もあっさりと弾き返した。
「速度を上げる術か? だが、いかんせん動きが直線的になりすぎるようだな。使いこなせば強力な術だろうが、今のオマエはどうやらそこまで使いこなしているわけではなさそうだ」
「何をっ!」
ニュートの言葉はオレの胸に突き刺さる。確かに術を授かったのはこのトーナメントが始まる前のこと。禄につきつめる余裕もあまりなかったのは事実だが、それをはっきりと言い切るニュートの眼は悔しいことに本物ということだろう。
「ふぅ、その程度の攻撃しかないようであれば……この勝負、先は見えたな」
ニュートは余裕たっぷりに言い放ち、こちらへ向かってゆっくりと動き出した。
ついに仕掛けて来るのか? 奴は試合を得る度に力を蓄えている。正直、今の奴の強さがどれほどのものなのか? オレには予測が難しかった。
計らせてもらおうか、天使の長を破った今の強さを……
ニュートはゆっくりと歩いていた。だが、その姿が突然消える。
むっ? 右かっ?
身を躱しつつ剣を下から振り上げ、かろうじて奴の振り下ろしに合わせることが出来た。
「ほぅ、グレンより得たこの達人級の一撃を躱したか! だが、これならどうだ?」
ニュートは両手を振り回すように剣の乱舞を放ってきた。
最初の一撃こそうまく躱せたが、次々に襲いかかってくる刃は隙間がなかった。オレの倍近い速度で攻撃が飛んでくる。
受け、躱し、受け、と凌いていくが、次を躱しきれずに腕に傷を負ってしまう。
くっ!? この程度……すぐにヒールでなんとかなるが……、ヒールを使う間もないのか!
絶え間ない攻撃の波はオレに回復をさせる余裕を与えない。
「そら! 本気を出さねば、すぐに終わるぞ? それともこの程度で終わりか?」
ニュートの攻撃には容赦は一切ない。その攻撃は恐ろしく計算しつくされたような攻撃だ。
連撃の中にも、力の強弱、スピードの速遅、ブラフか芯のある一撃なのか、これらが全て織り交ぜられ、剣の芸術とも言えるほどの動きだ。
まさかこれほどの使い手にまで育つとは……
その時、花道のほうから大声を上げる者がいた。
「REN~~~~~ッッッ! 思い出せッッッ!!! 我との特訓を! 冷静になるのだっ!!!」
耳にいやでも届くほどの大声量。ズールの声援は会場全体に響くほどの声だった。
「お仲間か? 随分とヌルい。対戦相手を倒せぬとは。その程度の覚悟しか出来ぬ者がオレに勝てるものか!? さっさと終わらせてくれるわ!」
ニュート攻撃に激しさが増す。
オレは剣戟の中、とっさにアイテム袋から小刀を左手にとり、ニュートの攻撃を真っ向から受け止めた。
「むっ? 貴様も二刀だと? 付け焼き刃の剣など通用せんぞ?」
ニュートは眉をしかめた。
だが、オレの二刀は技術こそ及ばぬものの、確かな手応えをオレにもたらしてくれた。
鍛冶の神、リズの作りし剣はまさに最高の一品だった。その剣はまるで空気を切り裂くかのように抵抗感がなく切り進むのだ。そのおかげもあり、剣のスピードでは僅かに勝ることが出来る。
さらにズールとの特訓で多刀との戦いに眼が慣れていたことも大いに役立った。ズールの六刀流のほうが、剣戟の緻密さでは一枚上手だったようだ。
オレには仲間がいる。そして、決勝を戦えるだけの力と技と武器を揃えてくれたのだ。負けるわけにはいかない。
「ぬ? オレの剣をここまで躱すとは……、なぜだ? 二刀流の剣の扱いではオレのほうが遥かに上回っているはず……」
ニュートに始めて走る動揺。このチャンスを逃すわけにはいかない。
オレはこのチャンスに素早く身体強化を合わせ、ニュートの攻撃をかいくぐり、奴の左腕を切り裂いた。
ブシューーーーーッッッ!!!
噴水のようにはね飛び散る緑色の液体。
「あーーーーっっっ! ここでニュートがRENの攻撃を被弾~~~~~ッッッ!!!」
「一瞬のスキを付きましたね!!! あれだけの激しい剣の雨の中、いったいどこにスキがあったのか、私にはまるで見えませんでしたが……」
ニュートは血を流しながらもニヤリと笑みを浮かべ、オレのほうをふり向くのだった。
二刀に分かれた刀の剣先を地面スレスレに落とし、脱力したように構えるニュートは、今まで戦ってきたどの相手よりも強力に見える。
だからといって仕掛けないわけにはいかない。どれほど相手が達人だろうが、オレは倒さねばならないのだ。
「おっと、先に動いたのはRENだ! あっという間に懐まで入り込んでいく~~~っ!」
「私の目にも消えたようにしか見えません! 恐ろしいスピードです!」
この速度ならばどうだ!?
分身体を残しつつ、素早く後方から仕掛ける。
「フンッ、この程度か?」
ニュートは冷静にオレの剣を弾いた。それも後ろを一瞥すらせずに。易々と弾いたのだ。
「ぬぅっ!」
さすが決勝まで残っているだけはあるな。だが、まだまだここからだ!
オレは体に身体強化の術を仕込んだ。獣人族の神から授かった技だ。この術を使えばオレのスピードは倍近くにまで跳ね上がる。
「これでどうだっ!!!」
さらに多くの残像を残しつつオレはニュートの左側方から攻め入った。全方位に残像を残しているため、どこから攻撃が飛んでくるかはニュートには分からないはず…………
「ほぅ? なかなかやるな……」
ニュートはオレの次の一撃もあっさりと弾き返した。
「速度を上げる術か? だが、いかんせん動きが直線的になりすぎるようだな。使いこなせば強力な術だろうが、今のオマエはどうやらそこまで使いこなしているわけではなさそうだ」
「何をっ!」
ニュートの言葉はオレの胸に突き刺さる。確かに術を授かったのはこのトーナメントが始まる前のこと。禄につきつめる余裕もあまりなかったのは事実だが、それをはっきりと言い切るニュートの眼は悔しいことに本物ということだろう。
「ふぅ、その程度の攻撃しかないようであれば……この勝負、先は見えたな」
ニュートは余裕たっぷりに言い放ち、こちらへ向かってゆっくりと動き出した。
ついに仕掛けて来るのか? 奴は試合を得る度に力を蓄えている。正直、今の奴の強さがどれほどのものなのか? オレには予測が難しかった。
計らせてもらおうか、天使の長を破った今の強さを……
ニュートはゆっくりと歩いていた。だが、その姿が突然消える。
むっ? 右かっ?
身を躱しつつ剣を下から振り上げ、かろうじて奴の振り下ろしに合わせることが出来た。
「ほぅ、グレンより得たこの達人級の一撃を躱したか! だが、これならどうだ?」
ニュートは両手を振り回すように剣の乱舞を放ってきた。
最初の一撃こそうまく躱せたが、次々に襲いかかってくる刃は隙間がなかった。オレの倍近い速度で攻撃が飛んでくる。
受け、躱し、受け、と凌いていくが、次を躱しきれずに腕に傷を負ってしまう。
くっ!? この程度……すぐにヒールでなんとかなるが……、ヒールを使う間もないのか!
絶え間ない攻撃の波はオレに回復をさせる余裕を与えない。
「そら! 本気を出さねば、すぐに終わるぞ? それともこの程度で終わりか?」
ニュートの攻撃には容赦は一切ない。その攻撃は恐ろしく計算しつくされたような攻撃だ。
連撃の中にも、力の強弱、スピードの速遅、ブラフか芯のある一撃なのか、これらが全て織り交ぜられ、剣の芸術とも言えるほどの動きだ。
まさかこれほどの使い手にまで育つとは……
その時、花道のほうから大声を上げる者がいた。
「REN~~~~~ッッッ! 思い出せッッッ!!! 我との特訓を! 冷静になるのだっ!!!」
耳にいやでも届くほどの大声量。ズールの声援は会場全体に響くほどの声だった。
「お仲間か? 随分とヌルい。対戦相手を倒せぬとは。その程度の覚悟しか出来ぬ者がオレに勝てるものか!? さっさと終わらせてくれるわ!」
ニュート攻撃に激しさが増す。
オレは剣戟の中、とっさにアイテム袋から小刀を左手にとり、ニュートの攻撃を真っ向から受け止めた。
「むっ? 貴様も二刀だと? 付け焼き刃の剣など通用せんぞ?」
ニュートは眉をしかめた。
だが、オレの二刀は技術こそ及ばぬものの、確かな手応えをオレにもたらしてくれた。
鍛冶の神、リズの作りし剣はまさに最高の一品だった。その剣はまるで空気を切り裂くかのように抵抗感がなく切り進むのだ。そのおかげもあり、剣のスピードでは僅かに勝ることが出来る。
さらにズールとの特訓で多刀との戦いに眼が慣れていたことも大いに役立った。ズールの六刀流のほうが、剣戟の緻密さでは一枚上手だったようだ。
オレには仲間がいる。そして、決勝を戦えるだけの力と技と武器を揃えてくれたのだ。負けるわけにはいかない。
「ぬ? オレの剣をここまで躱すとは……、なぜだ? 二刀流の剣の扱いではオレのほうが遥かに上回っているはず……」
ニュートに始めて走る動揺。このチャンスを逃すわけにはいかない。
オレはこのチャンスに素早く身体強化を合わせ、ニュートの攻撃をかいくぐり、奴の左腕を切り裂いた。
ブシューーーーーッッッ!!!
噴水のようにはね飛び散る緑色の液体。
「あーーーーっっっ! ここでニュートがRENの攻撃を被弾~~~~~ッッッ!!!」
「一瞬のスキを付きましたね!!! あれだけの激しい剣の雨の中、いったいどこにスキがあったのか、私にはまるで見えませんでしたが……」
ニュートは血を流しながらもニヤリと笑みを浮かべ、オレのほうをふり向くのだった。
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