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夢現
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「……あァッ、そ、こ……」
「うん、ここだね」
「ア、だめ……、ッ、また、……ふぁっ、」
「陽、気持ちいいって言ってごらん」
「ッん……、きもち、いいッ」
的確に感じる場所を探し当てた翠は、ぐっぐっと優しい力を込めてそこばかりを苛めてくる。気づかないうちに指は二本に増やされていた。バラバラに動くのも、的確に一点を狙われるのも、どちらも気持ちよくておかしくなりそう。
行き過ぎた快楽は涙に変わるらしい。目元に唇を落とされながら、涙に濡れた声で言われたことをそのまま口にすれば、「これが気持ちいいということだ」と初心な身体は教えられた通りにインプットしていく。
一際強く押されて、びくりと淫らに大きく跳ねた身体は、上手に快感を逃す方法を知らなくて、僕の雄芯はいとも簡単にとろとろと白濁を吐き出した。ずっと絶頂が続いているような感覚。身体はもう力が入らない。
……指じゃ、足りない。
もっと、もっと欲しい。翠が、欲しい。
いっぱい中を突いて、僕で気持ちよくなってほしい。
翠の子種を僕だけに注いでほしい。
そして、僕の項を噛んでほしい。
その行為に意味がなくても、番になれないなんて分かりきっていても、翠の所有の証を刻んでほしかった。
「すい、」
「ん?」
「……もう、いいから」
これ以上慣らさなくたって大丈夫なことぐらい、自分でよく分かっている。指を抜かれたせいで、物足りない。そこを埋めてくれる、大きくて熱いものを求めてひくついている。
快楽だけを求める淫乱と化した僕の頭は、正常に機能していない。力の入らない手で臀部を掴み、恥部を開く。女性器でもない穴から、どろどろと蜜が溢れているのが丸見えだ。けれど、翠に挿れてもらうことしか頭にない僕にとって、そんなのはほんの些細なことだった。
「……いれて」
「……ッ」
蚊の鳴くような声で懇願する。翠と早くひとつになりたい。中が疼いて、腰を揺らす僕を、翠は燃えるような瞳で見下ろしている。翠だって興奮していることは、その瞳を見ればすぐに分かる。だけど、待ちきれない僕に与えられたのは、期待していたものとは違っていた。
「っん、……な、んで、ッあぁ……」
少し柔らかくて、ぬるりとした感触が蟻の門渡を襲う。肉厚な舌は余すことなくゆっくりと、僕の恥ずかしいところを這っていく。やだやだと頭を振りながら半ば責めるように疑問を投げかければ、口元を淫靡に光らせた翠が笑った。
「陽の初めてをちゃんと全部味わわないと」
「っ、なに……、それ」
「もったいないでしょ」
「ッんん……」
喋っている余裕があると思われたのか、ぢゅと音を立てて蜜を吸われる。指よりも柔らかい舌先がぐにぐにと僕の中に入ってこようとしている。
ぐちゅぐちゅと、絶え間なく聞こえてくる音。抑えていた指先から徐々に力が抜けていく。
「うん、ここだね」
「ア、だめ……、ッ、また、……ふぁっ、」
「陽、気持ちいいって言ってごらん」
「ッん……、きもち、いいッ」
的確に感じる場所を探し当てた翠は、ぐっぐっと優しい力を込めてそこばかりを苛めてくる。気づかないうちに指は二本に増やされていた。バラバラに動くのも、的確に一点を狙われるのも、どちらも気持ちよくておかしくなりそう。
行き過ぎた快楽は涙に変わるらしい。目元に唇を落とされながら、涙に濡れた声で言われたことをそのまま口にすれば、「これが気持ちいいということだ」と初心な身体は教えられた通りにインプットしていく。
一際強く押されて、びくりと淫らに大きく跳ねた身体は、上手に快感を逃す方法を知らなくて、僕の雄芯はいとも簡単にとろとろと白濁を吐き出した。ずっと絶頂が続いているような感覚。身体はもう力が入らない。
……指じゃ、足りない。
もっと、もっと欲しい。翠が、欲しい。
いっぱい中を突いて、僕で気持ちよくなってほしい。
翠の子種を僕だけに注いでほしい。
そして、僕の項を噛んでほしい。
その行為に意味がなくても、番になれないなんて分かりきっていても、翠の所有の証を刻んでほしかった。
「すい、」
「ん?」
「……もう、いいから」
これ以上慣らさなくたって大丈夫なことぐらい、自分でよく分かっている。指を抜かれたせいで、物足りない。そこを埋めてくれる、大きくて熱いものを求めてひくついている。
快楽だけを求める淫乱と化した僕の頭は、正常に機能していない。力の入らない手で臀部を掴み、恥部を開く。女性器でもない穴から、どろどろと蜜が溢れているのが丸見えだ。けれど、翠に挿れてもらうことしか頭にない僕にとって、そんなのはほんの些細なことだった。
「……いれて」
「……ッ」
蚊の鳴くような声で懇願する。翠と早くひとつになりたい。中が疼いて、腰を揺らす僕を、翠は燃えるような瞳で見下ろしている。翠だって興奮していることは、その瞳を見ればすぐに分かる。だけど、待ちきれない僕に与えられたのは、期待していたものとは違っていた。
「っん、……な、んで、ッあぁ……」
少し柔らかくて、ぬるりとした感触が蟻の門渡を襲う。肉厚な舌は余すことなくゆっくりと、僕の恥ずかしいところを這っていく。やだやだと頭を振りながら半ば責めるように疑問を投げかければ、口元を淫靡に光らせた翠が笑った。
「陽の初めてをちゃんと全部味わわないと」
「っ、なに……、それ」
「もったいないでしょ」
「ッんん……」
喋っている余裕があると思われたのか、ぢゅと音を立てて蜜を吸われる。指よりも柔らかい舌先がぐにぐにと僕の中に入ってこようとしている。
ぐちゅぐちゅと、絶え間なく聞こえてくる音。抑えていた指先から徐々に力が抜けていく。
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