トップアイドルα様は平凡βを運命にする【完】

新羽梅衣

文字の大きさ
30 / 81
夢現

しおりを挟む
 
 僕はただ、息つく暇もないぐらいに次から次へと与えられる快楽を享受するだけの生きものに成り下がってしまったみたい。

 僕の入口を翠の舌が埋め尽くしてる。奥へ奥へと誘おうとする中の動きに逆らわず、翠はじっくりと進んでいく。舌先で柔壁を押されると、指とは違った感覚に頭がおかしくなりそう。


 「ああっ、……も、やだッ、」
 「陽?」


 何度目の絶頂を迎えたか、分からない。自分ばかり気持ちよくなっているのが翠に申し訳ない。すっかりキャパオーバーしている僕の涙ながらの必死の訴えにようやく翠は唇を離した。


 「ごめん、やりすぎたね」
 「ッ、……ばか」
 「そうだね、陽のことになるとバカになっちゃうみたい」


 ぽそりと呟いた言葉に怒るわけでもなく、翠は蕩けた笑顔でそれを認める。宥めるように頭を撫でられたら、どんなことをされても許す以外の選択肢はなさそうだ。

 息を整えていれば、カチャカチャとベルトを外す音がして、いよいよだと期待に震える。もう、ずっと欲しかったんだ。早く、一思いに……。


 「んッ、」


 ぴとと翠の熱い雄芯が当てられて、馴染ませるように入口を擦られる。ひくつく後孔の中からはどろりと蜜が溢れ出した。


 「……挿入れるよ」
 「んぁッ、」


 あんなにたくさん慣らされたというのに、それを上回るほど翠のモノは大きくて、少しの痛みを伴ってゆっくりと中を進んでいく。


 「……やば」
 「もう、……挿入った?」


 やがて、動きを止めた翠にそう問いかければ、奥歯を噛み締めて必死に耐えていた翠が無理に口角を上げる。


 「……まだ、半分」
 「……ッ、うそ」
 「見てごらん」


 促されるがまま、視線を落とす。ずっぽりと僕の中に収まっているのは、確かにまだ半分だけ。長大な雄芯が自分にちゃんと挿入っているのを目で確認したら、実感が更に湧いてきて、きゅと中を締め付けた。その瞬間、翠が息を飲む。
 

 「ッ、ごめん」
 「ンン、……あぁッ」


 余裕のない表情をした翠が謝罪の言葉を残して、僕の足を掴んでベッドに押し付ける。次の瞬間、翠が一気に僕の身体を貫いた。

 ぶわりと広がる、翠の香り。
 目の前に火花が散ったかのような、止まらない絶頂にびくびくと震えが止まらない。

 奥の奥まで翠で満たされている。ずっとずっと、待ち望んでいた。ぎゅうと締め付けるそこは、喜んで歓迎している。再び視線を送れば、どくどくと脈打つ熱いものが自分の中に収まっているのを改めて確認できた。
 
 ――翠がここにいるんだ。
 ひとつになれたことが嬉しくて、腹を撫でる。初めてが翠でよかった。そう、心から思う。


 「んッ、あっ、」
 「ッ、」
 「……すいッ」


 最奥を突かれる度、今までに感じたことのないほどの快感に襲われる。広い背中に爪を立てながら必死に名前を呼べば、僕の頬を翠が撫でた。

 大きくて、優しくて、少し骨張った男らしい手。この手に触れられるのが好きだ。思わず擦り寄れば、慈愛に満ちた表情の翠が口付けを落とす。


しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

やっぱり、すき。

朏猫(ミカヅキネコ)
BL
ぼくとゆうちゃんは幼馴染みで、小さいときから両思いだった。そんなゆうちゃんは、やっぱりαだった。βのぼくがそばいいていい相手じゃない。だからぼくは逃げることにしたんだ――ゆうちゃんの未来のために、これ以上ぼく自身が傷つかないために。

人気アイドルが義理の兄になりまして

BL
柚木(ゆずき)雪都(ゆきと)はごくごく普通の高校一年生。ある日、人気アイドル『Shiny Boys』のリーダー・碧(あおい)と義理の兄弟となり……?

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

オメガはオメガらしく生きろなんて耐えられない

子犬一 はぁて
BL
「オメガはオメガらしく生きろ」 家を追われオメガ寮で育ったΩは、見合いの席で名家の年上αに身請けされる。 無骨だが優しく、Ωとしてではなく一人の人間として扱ってくれる彼に初めて恋をした。 しかし幸せな日々は突然終わり、二人は別れることになる。 5年後、雪の夜。彼と再会する。 「もう離さない」 再び抱きしめられたら、僕はもうこの人の傍にいることが自分の幸せなんだと気づいた。 彼は温かい手のひらを持つ人だった。 身分差×年上アルファ×溺愛再会BL短編。

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!

ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!? 「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??

処理中です...