神さまに捧ぐ歌 〜推しからの溺愛は地雷です〜Ⅱ

新羽梅衣

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春を追いかけて

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 リーダーシップをとるのが苦手な僕を見つめる三人。その視線にうっと詰まりそうになりながら、まずは他のグループ同様に自己紹介から始めるべきかと、緊張しながら口を開いた。


 「えーと、改めまして吉良です。他の人に選ばれたかったとか考えてることは各々あると思うんだけど、このメンバーに決まったからには優勝目指して一緒に頑張りましょう」


 よろしくお願いします、と頭を下げれば、「お願いします」と小さな声が返ってくる。


 「琴くん、お願いします」
 「は、はい、天宮琴です。前回のJTOを観て、吉良さんに憧れたので選んでいただけて嬉しいです。精一杯頑張ります、よろしくお願いします」


 目線は定まらず、誰かと目が合った瞬間に下を向いてしまう引っ込み思案なところに親近感。だけど、そんなところもかわいいと思わせるぐらい、圧倒的にかわいい。

 じいっと観察したくなってしまうほどのかわいさは罪であり、才能だ。生の天宮琴を見たら、きっと誰だって目が離せなくなる。


 「じゃあ、次は皇くん」
 「皇紫音です、よろしくお願いします。……琴」
 「っ、」
 「俺と一緒で嫌だったらごめん。……でも俺はお前と頑張りたいって思ってる。今度こそ、一緒に」
 「……いやじゃないよ」
 「そう、それならよかった」


 泣きそうな顔をする琴くんとは対照的に、穏やかな微笑を浮かべる皇くん。

 このふたりの関係が気になって仕方ないのだけれど、なんだか気軽に触れてはいけない話題のように感じられてもごもごしていれば、隣からまっすぐな視線が飛んでくる。

 その行動に、ん? と首を傾げる。

 いやいや、僕じゃなくて他の二人に向かってしてほしいんだけど。そう言おうとしたところで溌剌とした声に阻まれた。


 「神代弾、十九歳。好きな人は紡さん、貴方です」
 「…………は?」
 「貴方に会うためだけにこのオーディションに応募しました。東雲律を超えて、紡さんに好きになってもらえるよう、全身全霊をかけて頑張ります」


 いきなり何言ってくれてんだ、とか。誰が好きな人を言えって言ったんだ、とか。普通に自己紹介できないのか、とか。

 文句は山ほど浮かんでくるけれど、こんな公の場で堂々と宣言されたことに開いた口が塞がらない。

 バカと天才は紙一重というけれど、もしかしてそれなのか? 凡人には理解できない行動に現実逃避したくなる。

 白目を剥いてしまいそうな僕とは対照的に当の本人はキラキラと瞳を輝かせて、さっきまでとはまるで別人のよう。嗚呼、大型犬のようにブンブンと振っている尻尾の幻覚が見える。

 どうしよう、これからに不安しかない。煌めいた光線をまっすぐに浴びせられながら、僕は神さまに懺悔した。

 ……ごめん、律。
 僕、こんなつもりじゃなかったんだ。


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