神さまに捧ぐ歌 〜推しからの溺愛は地雷です〜【完】

新羽梅衣

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一番星は泡沫を泳ぐ

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 「りつ、」
 「ん?」
 「ありがとう」


 アイドルになってくれてありがとう。
 神さまでいてくれてありがとう。
 僕に出会ってくれて、好きになってくれて、ありがとう。

 今までで一番の幸せ。もうこの先不幸なことしか起こらないんじゃないかって怖いぐらい。

 手を伸ばして、律の頬に触れる。
 僕の手に擦り寄ってくる、そんな行動ひとつで幸福がまたひとつ積み重なる。


 「紡、愛してる」


 そう告げて落とされたキスの味を、僕はきっと忘れることがないだろう。

 馴染むのを待っていた律が動き出す。中を擦られる度、声が漏れるのを抑えられない。

 今、僕は律と繋がっているんだと思うと、痛みよりも感動が勝った。時折、前立腺に当たってびくんと身体を捩る僕を確認した律は、そこに狙いを定める。


 「んぅ、ッア、……りつ、」
 「つむぐ」


 喉仏にキスをされて、興奮が募る。


 「きもち、いい?」


 ちゃんとできてるかな。
 初めてだし、男だし。

 律も気持ちよくなってくれているか不安で聞いてみると、がっと腰を掴まれて奥深くまで突き入れられて、ぐりぐりと押し潰される。


 「アァッ、」
 「ッ、最高だよ」


 こんな律、見たことない。
 ぺろりと舌なめずりをして、目を爛々と光らせながら僕の反応を伺う姿はまるで獣。

 今この瞬間は自分だけが律の瞳に映っていて、僕だけが求められている。律の時間を独り占めしているのは僕だけだ。少しの優越感と恐れ多さに目眩がする。

 憧れて恋をした、かけがえのないひとが僕で気持ちよくなっている。その事実だけで胸がいっぱいで、感動して、絶頂してしまいそう。


 「りつ、ッあ、……ふっ、んぅ、りつ、」
 「つむぐ」
 「ぼく、も、だめ」
 「ん、俺も」


 自分の所有物だと刻みつけるような激しいピストンにベッドが悲鳴を上げる。前を扱かれて、頭の中がチカチカと点滅した。

 繋いだ手を離してぎゅっと抱き締められたから、僕も首に手を回して彼に縋り付く。その刹那、頭の中が真っ白になった。僕が絶頂するのと同時に、ゴム越しに熱いものが出されたのを感じた。

 妊娠なんてできないのに、中に出したわけじゃないのに、それを腹に馴染ませようとゆるい動きで僕を揺する。本能的なその行動に頭の中が沸騰しそう。まだまだ敏感な中は興奮が直結して、律のものを締め付けた。


 「紡、」


 お互いに呼吸が整わないまま、唇を重ねる。今なら死んでもいい。そう思えるぐらい、幸せだった。

 律のものが引き抜かれて僕の中からいなくなる。もう何も入っていないのに、熱を孕んだそこはまるで違う生き物になったようで違和感がある。


 「紡、」
 「ん」
 「ありがとう」


 部屋にリップ音を響かせて、何度もキスを贈られる。柔らかい笑みで僕を見つめるのは、いつもの律。

 思考も身体もどろどろに溶かされて、ぼんやりしている僕に降ってきた感謝の言葉。お礼を言うのは僕の方だ、そう思って口を開こうにも律の唇で塞がれる。


 「りつ」
 「眠いでしょ、寝ていいよ」


 頭を撫でられると、一気に倦怠感と眠気が襲ってくる。ああ、もう駄目かも。重たくなる瞼に抵抗できそうもない。

 クリスマスプレゼントを当日中に渡せなかったのは残念だけど。でも、いいんだ。だって、日付の変わった今日は――。


 「律のおかげで最高の誕生日だ……」
 「……は?」


 これまで生きてきた中で一番幸せな誕生日を噛み締めながら、僕は微睡みから夢の世界へと旅立った。

 少しして、ぽかんと口を開いて暫く放心していた律が気を取り直す。幸せそうに眠る僕を起こすに起こせなくて悶々としていたことなんて知らず、朝までぐっすりと夢を見ていた。思い描いていた以上の幸福がそこにはあった。


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