神さまに捧ぐ歌 〜推しからの溺愛は地雷です〜【完】

新羽梅衣

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カーテンコールに花束を

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 【side R】

 JTOの収録を終えた後、すぐに紡と一緒に家に帰りたかったけれど、とある計画のためにスケジュールを詰め込んでいるせいでテレビ誌のインタビューとCM撮影の仕事が残っていた。

 今はインタビューは終えて、ハウススタジオでのCM撮影中。表情はにこやかに取り繕いながら、内心早く帰りたいと急いていた。これまでは空虚な家に帰ることを憂鬱に思っていたのに、紡がいるというだけで全くの別物になってしまう。


 「律さん、顔」
 「分かってる」


 スタッフさんがセットを変えている間、つかの間の休憩。パイプ椅子に座ってスマホをチェックしていれば、楠木さんに叱られる。

 眉間に皺が寄っていることは自覚していたけれど、そろそろイライラも溜まってくる。どうして今日に限って、二時間も予定より遅れているんだ。

 今頃、よく頑張ったねと紡をどろどろに溶けるほど甘やかして、優勝をお祝いしていたはずなのに。計画が全て狂っている。

 時計を見れば、もう少しで日が変わる。俺の帰りを健気に待つ紡はまだ起きているだろうけれど、今日はかなり疲れたはずだ。ソファで寝落ちる前にベッドに入るように連絡すれば、すぐに『待ってるよ』と返信が来た。


 「はぁ~~」
 「律さん?」
 「早く紡に会いたい」
 「漏れてますよ、抑えてください」


 綺麗にセットされたメイクや髪型が崩れてしまうことも忘れて、机に突っ伏してもごもご言う。『律の顔が見たいから』なんて、可愛すぎるだろ。

 最近やっと一緒にいても緊張することが減ってきて、こうやって素直になってくれるのが嬉しくてたまらない。帰ったらすぐに抱きしめてキスをしよう。そう決めた俺は表情を引き締めて、セットに足を進めた。


 深夜二時を過ぎた頃、ガチャと音を立ててドアが開く。それを聞きつけた紡がリビングからひょっこりと顔を覗かせて、俺を見つけるとぱたぱたと駆け寄ってくる。その顔があまりにも嬉しそうだったから、たまらずぎゅうっと抱きしめた。


 「ふふ、おかえり」
 「ただいま」


 何度もしたありきたりなやりとりも、紡となら毎回新鮮で嬉しくて、心が弾む。背中に回される腕に幸福感で満たされた。

 お風呂に入ったからか、少しぽやぽやしている紡をベッドに押し込んで、手早くシャワーを浴びた。寝ていたらそれでいい。無理に起こすつもりはなかった。

 音を立てないように寝室に入れば、布団で顔の半分を隠した紡と目が合った。健気に待っていてくれたことにきゅんと胸が鳴る。

 寝ててよかったのに、なんて無粋なことは言わない。代わりに「ありがとう」と言えば、宝石のように輝く瞳が甘く蕩けた。紡の体温で温められたベッドに潜り込めば、紡が口を開く。


 「今日の僕、どうだった?」


 わくわくと、褒められるのを待つ子犬のような紡が可愛くてたまらない。


 「最高だったよ。頑張ったね、紡」


 まろい頬を撫でれば、照れながらもその手に擦り寄ってくる。嗚呼、俺の恋人が可愛くてどうにかなってしまいそう。元々人前に出るのが苦手なタイプなのに、あんな大勢の前で愛の言葉を伝えられて興奮しないわけがない。


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