ガチャ召喚士〜ガチャを使って目指すは最強の王国〜

餅の米

文字の大きさ
39 / 73
第三章 クリミナティ調査編

第39話 鬼の神と呼ばれた少女

しおりを挟む
ふと気が付けば眼前には白い天井が広がって居た。


身体中が痛む……ゆっくりと身体を起こすと何があったのか研究所は荒れ果て上に続く大穴が開いて居た。


「これは一体……」


記憶が曖昧だった、鬼人化を使ってミリィに斬りかかったまでは覚えている……だがその後の記憶が綺麗に無かった。


だが天井を見上げて居たという事は恐らく敗北したのだろう。


「お母さん……ハネス!」


自分が負けたという事はあの集落が襲われて居る……アルラは痛む身体を起こすと恐らく折れて居る足で踏ん張って跳ぶと穴をよじ登った。


「な!?まだ生きて居たのか!」


穴の後始末に追われて居る兵士はアルラが穴の中から姿を現した事に驚き尻餅をつく、報告される事を危惧してアルラは即座に兵士を気絶させた。


そして兵士をそれ程深く無い穴の下に放り込むと外れた肩の骨を入れ込み首の骨を鳴らす、酷く痛む……休めるものなら休みたかった。


だがハネス達の心配が尽きなかった。


アルラは足を引きずりながら集落へと向かう、だが国の中でも有名人のアルラは直ぐ様街の人々に姿を見つかり兵士に追われた。


「本当に……疲れる」


背後を振り向き地面に両手を当てる、そして魔法陣を発動させ火の壁を作り道を分断するとそのまま街の外へとスピードを上げて駆けた。


アドレナリンで痛みが緩和されて行く中アルラはずっと家族の、ハネスの身を案じて居た。


自分が新種のオーガを倒さなかったばかりに……刀の柄を握りしめて草原をかける中、集落に近づいて行く内に爆発音の様な轟音が響き渡って来た。


「お母さん……ハネス、どうか無事であって」


アルラは願う、だがその小さき願いも集落に着くと同時に儚く散った。


眼前に広がるは倒壊し至る所から火の手が上がる荒れ果てた街、少ないながらも居た集落の人々の死体も転がって居た。


「酷い……」


アルラの足取りは重かった、これ程に酷い有様……僅かな望みは捨てて居ないものの、分かって居た。


ゆっくりと足を進め倒壊した自分の家を呆然と眺める、倒れた家の下からは母の手がはみ出して居た。


必死に唇を噛み締め建物を退かせる、すると下には既に生き絶えた母の姿があった。


いつかこの世を去る事は知っていた……だがこんな形で見送る事も出来ずに……、 握り締める拳の爪が掌に食い込み痛々しい血が流れていた。


「あっれぇー?殺しきれてなかった?」


ミリィの声にアルラは後ろを振り向く、そこで見た光景にアルラは握り締めて居た刀を地面に落とした。


「あれ?あれれ?もしかして驚いちゃった?死んで無いとでも思ったの?こ の 子」


煽る様に刀に突き刺さった生きて居るのかすら分からないハネスを振り回すミリィ、その姿にアルラをずっと抑えて居た何かがぷつんと切れた。


「あぁ……ア゛ア゛ァ゛ア゛ァ゛ァ!!!!」


獣の様な雄叫びをあげるアルラ、そこにもう理性は無かった。


「なん……だよこの威圧感」


先程とは別人のアルラにミリィは困惑した、そしてその一瞬の隙に気が付けば左腕が宙を舞って居た。


「はっ?!反応できねぇよ!!」


あまりの速さに何が起こったのかすら分からないミリィ、白目は赤く染まりツノも大きくなったアルラの姿はオーガとも言えなかった。


「くそっ……がぁ!!!」


ミリィは何とか対抗しようと鬼人化を使うと全強化魔法を自身に掛ける、だが次の瞬間視界には自分の身体が映って居た。


「は?」


あまりに唐突な出来事にミリィは困惑する、全強化魔法を掛け、尚且つ鬼人化までした筈……それなのに肉眼で捉える事すら出来なかった。


ミリィの頭部はコロコロと転がり付き添いで来ていたアグネスの足元へと転がる、彼は恐怖のあまり腰を抜かし動けない様子だった。


「ば、化け物だ……」


「あれは……無理だな」


人間の域なんてとうに超えて居る……あれはオーガでも無い、もう神の域だった。


鬼の姿をした神……差し詰め鬼神化とでも言った所だった。


ミリィの首からは身体が再生される、だがもう戦う事はしなかった。


「あんな化け物勝てねーよ、私はほぼ不死身だがダメージすら与えられない自信がある……とんだ化け物を作ったな」


切り離された身体の服を取りに行こうとミリィは試みるが暴れ狂うアルラを見ると諦め裸のまま森の方へと逃げて行った。


1人取り残されたアグネスは必死にアルラへ呼び掛けるが時期に巻き込まれそのまま生き絶えた。


自分が……抑えられなかった。


もうミリィは消えた、アグネスも生き絶え……だが湧き上がってくる人間への憎悪が止まらなかった。


私という存在を生み出した人間、同じ母と言う同種族の人間を実験に使った彼らへの憎悪が、怒りが溢れて止まらなかった。


その後アルラはセルナルド王国から東に30キロ程行った先にあるサランテの森と言う広大な森林に微かだが残った意識で向かうと更地になるまで暴れ続けた。


そして一年経ち、少しずつ理性が戻り始めるもまだ視認した物体を攻撃するのは抑えられ無かった。


それ故に自分自身に束縛魔法を掛けた。


かつて森だった場所に光の鎖で自分を繋げ、一定距離離れると尋常では無い痛みを与える束縛魔法……それを使い20年の間森に縛られ続けた。


そして20年経ったある日、黒い鎧に身を纏った騎士と出会う。


その騎士に鬼神化のアルラは圧倒的な力で敗北し、やっと理性を取り戻す……これがアルセリスとの出会いだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...