ガチャ召喚士〜ガチャを使って目指すは最強の王国〜

餅の米

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第三章 クリミナティ調査編

第40話 魔紙

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活気に満ちた大通りを歩くアルセリス、黒い鎧を身に纏い大きな身体が目立つのか他種族が混同するこの街でも彼は目立って居た。


リザードマンにエルフ、エルフの亜種であるダークエルフやドワーフ、ケットシーまで……ゲーム時代は対して気にしなかったがこうして見ると人間以外の種族が街にいるのは異様な光景だった。


「アルセリス様」


アルセリスの二歩後ろを歩くアルラの声に振り向く、彼女は何か言いたげな表情をして居た。


「どうしたアルラ?」


「アルセリス様は……何故そんなにも強いのかと、ふと疑問に思いまして」


どうしてそんなに強いのか……その問いに答えるのは容易では無かった。


ゲームをやり込んだからなんておいそれと言える筈が無い、とは言えこの力は努力で到底及ぶ領域では無い……アルセリスは腕を組む、確かに何故このアルセリスと言う人物は此処までに強いのだろうか。


やはり召喚士と言うジョブのお陰なのか……多種多様なジョブをカンストして居たが恐らくステータスがあるのなら召喚士の能力共有による影響が大きい……と言う事は皆んなのお陰と言う答えが正しかった。


「お前達仲間が居る……それが一番の理由だ」


「つまり守るべき存在……流石アルセリス様です!」


「あ、いや……まぁいいか」


目を輝かせ少し違う解釈をするアルラに訂正をしようとするが特に困る事も無くアルセリスは開いた口を閉じた。


そして歩みを進めようとしたその時、前方に魔力を感じた。


誰か来る……そう思った瞬間目の前にはシャリエルが現れた。


「セリス、ライノルドから召集よ」


杖も持たずに転移して来たシャリエル、魔法無効のローブを着て居る所為で仕組みが分からなかった。


ゲーム時代は主に装備でしか転移は出来なかった、だが彼女は今杖を使わずに目の前に現れた……仕組みを知りたかった。


「今の魔法はなんだ?」


アルセリスの質問にシャリエルは驚いた表情をする、恐らく意外だったのだろう……その反応を見る限りそれ程知られて居ない魔法では無い様子だった。


するとシャリエルは懐から一枚の魔法陣が描かれた紙を取り出す、そしてそれを破るとその場から消えた。


「魔紙、描くのに時間が掛る魔法陣とかを書き留めて破る事で瞬時に使える便利アイテムよ」


後ろから聞こえる声にアルセリスは手を叩き賞賛した。


「凄いな!そんなアイテムがあるのか!」


これもまたゲーム時代には無かったアイテム、興味深かった。


「そ、そんなに驚く?まぁ最近のアイテムでオーソドックスじゃ無いし、値段も張るから知らなくても無理はないわ」


「その魔紙は魔力が無い物でも使えるのか?」


「使えるわよ、魔紙って文字通り魔力が宿された特殊な材質で作られて居る紙だから魔法が使える人が魔法陣を描けば破くだけで赤ちゃんでも使えるわよ」


特殊な材質の魔紙……これは大量に確保しておきたかった。


第一位階の魔法を書き留められるとしたら……戦略の幅が大きく広がる事になる、わざわざ守護者や補佐を出さずともレア程度のキャラで大国との戦争に勝利する事も可能になる筈だった。


「値段と書き留められる階位を教えてくれ、ついでに買える場所もな」


「え、えぇ……良いわよ」


かなり食いついて来るアルセリスに驚きを隠せないシャリエル、だが初めての反応に少し誇らしそうだった。


「売り場は主に冒険者ギルドの道具売り場、5万レクスよ」


「ご、5万レクス!?」


あまりの高さに思わず声が大きくなってしまった。


5万レクス、分かりやすく言えば凡そ50万円程度だった。


この世界の通貨は何故か向こうの日本円の十倍……少し頭が痛くなってきた。


「アルラ、アウデラスに現在の所持金の確認を取ってくれ」


「了承致しました」


シャリエルに聞こえぬ様耳打ちで伝えるとアルラは少し距離を取り耳に手を当てアウデラスと通信を試みた。


「それにしてもかなりの枚数持ってるが結構な金持ちなのか?」


シャリエルの内胸ポケットからチラッと見えた大量の魔紙を指差す、やはり有名冒険者ともなるとお金には困らなそうだった。


「まぁそうね、私達グレーウルフは貴族の依頼も受けるからお金には正直困ってないわ……もしかして欲しい?」


そう言って魔紙を取り出すシャリエル、喉から手が出る程に欲しい……5万レクスなんて使いたくない、だがアルセリスと言う威厳あるキャラである以上他人から施しを受けると言う姿を仲間に見せたくは無かった。


「生憎俺はそんな紙が無くても大丈夫だ」


そう言いシャリエルに背を向け前を向く、本当は欲しいのだが……致し方無かった。


アルセリスの態度にシャリエルはつまらなそうな顔をする、そして本当の要件を思い出したのか急にハッとした表情になった。


「そんな話ししに来たんじゃないわよ!ライノルドから召集!早く転移するから捕まって!」


「お、落ち着け」


バタバタと魔紙を取り出しアルセリスの腕とアルラの首元を掴むシャリエル、そして口で魔紙を破ると足元に魔法陣が出現し一瞬にして城の広い中庭へと転移した。


雑に着地すると辺りを見回す、ライノルドだけで無く他の冒険者も数十名集まって居る様子だった。


「セリスにシャリエルとあ、ア……」


「アルラです」


名前を忘れるライノルドにアルラは冷たく言い放った。


「すまんアルラか!これで全員揃ったな、急な召集に応じて頂き感謝する」


アルラにジェスチャーで謝ると急に真剣な表情で何かを話し始めるライノルド、辺りの空気がピリついて居るのを確認すると作戦までの期間が短縮されたのだろう。


それにしても……周りの冒険者はアルセリスに敵意剥き出しだった。


「どう言う状況だ?」


「ん?何が?」


シャリエルに尋ねるが気配感知能力が著しく欠如して居るのか、何も分かって居ない様子だった。


その様子にため息を吐く、新参者が大きな作戦に参加したのが気に食わない……そんな所なのだろう。


実力も分からない新参がいるのは不安かも知れないが……器の小さい冒険者達だった。


「殺しますかセリス様」


「物騒だからやめとけ」


周りの気配に気が付いたアルラは辺りを睨み返す、その時身体に束縛魔法が掛けられた事に気が付いた。


だが一瞬にして敢えて力で破るとアルセリスは辺りを見回した。


「どうしたセリス?」


その様子にライノルドは話すのを止めた。


「いや、何処かの誰かが俺に束縛魔法を掛けたのでな」


そう言い魔道帽を被った出っ歯の男を見る、魔力の感じや質、使用された方向からして彼しか居なかった。


「いやー、新人が居たら挨拶来るの常識じゃん?無かったから少しお仕置きをねっと!」


そう言って再び魔法を発動する男、アルセリスの頭上に魔法陣が出現し頭上からデロデロとした紫の液体が降り注いだ。


「ばっ、あんたそれ毒魔法じゃない!?」


急な攻撃にシャリエルが防御魔法を展開しようとする、だがアルセリスはそれを制止すると毒を全て頭から被った。


その様子に辺りからは笑い声が上がった。


「はっはっ!俺は貴族直属のプラチナ冒険者でな、この程度で死ぬ奴は要らねーよ!」


「奇遇だな、俺も似たような事を思っていたよ」


毒に塗れたアルセリスの鎧は徐々に毒を吸収していた。


その様子に辺りの笑い声は止み、その代わりシャリエルやアルラが笑って居た。


「この程度の毒魔法で粋がれる奴なんぞこの作戦には要らないな」


そう言いゆっくりと男の方に足を進めるアルセリス、その威圧感に周りの冒険者達は続々と道を開けた。


「な、ど、毒魔法を喰らってないのか!?」


「生憎低レベルな魔法は効かない体質でな、それじゃあな」


「や、やめてくれ!!」


アルセリスの言葉に男は必死に懇願する、だがアルセリスの拳は男に向かって進む、そして目の前で止まるとデコピンをした。


「これに懲りたら新人を虐めるのは辞めて置け、全員がお前以下とは限らないからな」


「は、はい……」


男は腰を抜かしながらも安堵の表情を浮かべた。


「殺さないのですか?」


戻ってきたアルセリスにアルラは不満そうに尋ねた。


「なーに、もう始末済みさ」


アルラの言葉にアルセリスは心の中で不敵な笑みを浮かべ答える、そしてライノルドによる作戦の話しが始まった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「くそっ……恥をかかせやがってあの冒険者め……」


作戦の会議が終わり様々な冒険者が帰路に着く、そんな中出っ歯の男は路地裏からアルセリスの姿を除いていた。


あんな屈辱は初めて……仕返しをしなければならなかった。


「あの程度の毒が効かなかっただけで調子乗りやがって……次は最大出力だ……殺してやる」


男は両手に魔力を溜めて精神を集中させる、そして目を閉じ深呼吸をすると魔法を発動させる為に目を開けた。


だがそこはもう男の知っている景色では無かった。


荒れ果てた元々何か建物……街でもあったかの様な荒地、そのど真ん中に男は立って居た。


「なんだよ此処!?」


突然の事に男は困惑した、誰がどう言った経緯で何故此処に飛ばしたのか……そもそも此処は何処なのだろうか。


男は辺りを見回す、すると空で何かが飛んでいる姿が見えた。


「あれは……なんだ?」


目をよく凝らし男は空の物体を見る、するとそれは羽を持ち、こちらに近づいてきて居た。


男は咄嗟に杖を構える、そしてそれは正しい判断だった。


飛行物体は甲高く気持ちの悪い雄叫びを上げるとこちらに突っ込んで来る、男はそれを交わし防御魔法を張ると姿を良く確認した。


長い手足に白い身体、狂気じみた赤い瞳に縫い付けられた口、そして天使の輪っか……恐らく堕天した天使族の成れの果てだった。


「珍しいモンスターだ……だが恐るるに足らずだな」


男は手際良く自身に発狂無効の魔法を掛け闇の属性を付与すると天使から距離を取る、そして闇の玉を射出すると距離を取りつつ戦った。


威力を抑えつつも数を撃ち倒して行く、だが天使は一匹、また一匹と空から降ってきた。


「くそっ……やっぱりソロだとキツイな」


あまりの数に距離を詰められる、長い手足の攻撃を交わしながら打開策を探していたその時、不気味な天使族の群れの中に1人の美しい銀髪の女性を見つけた。


「くっ……そ!!」


男は地面に杖を突き刺し両手を付けると早口で呪文を詠唱した。


『悪しき魂よ、暗き世界で我を包め……!!』


呪文を唱えた瞬間禍々しい闇が男を包む様周りに出現し天使達を退ける、そしてある程度倒すと闇は消え去り男は血を吐いた。


「ったく……毒魔法専門だから闇魔法は慣れねーよ」


血を拭きながらも何とか立ち上がる、すると先程まで居た女性が手を叩き拍手しながら近づいて来た。


「お見事、低級とは言え20体ほどの天使を倒すとは思いませんでした」


「そうかよ……それでお前は?」


男は杖を構えると銀髪の女性から距離を取りつつ出方を伺った。


「私はリリィ・アクターズ、アルカド王国九階層守護者です」


「アルカド?階層守護者?」


リリィの言葉はいまいち理解出来なかったが恐らく何処か……ダンジョンなのだろう。


見たところ彼女は階層ボス、さっさと倒してダンジョンから抜け出したかった。


「何でもいい……死ね!!」


一気に片をつける、男は闇の玉を出現させリリィの逃げ場がなくなる程に敷き詰めると片手を上げる、そして下ろすと闇の玉は一気にリリィへ向け射出された。


「成る程、この程度なら私がですとも中級天使で倒せましたね」


その声がした瞬間、辺りは閃光に包まれた。


「な……にが!?」


あまりの眩しさに目を閉じる、すると首元に冷たい……刃物が当たる感覚があった。


あの闇の攻撃を切り抜け一瞬にして距離を詰めた……数秒と無いあの瞬間に、化け物の様な強さだった。


「どうするつもりだ」


「アルセリス様を侮辱した罪は重いです……たーーっぷり拷問して遊びますからね」


そう言い満面の笑みを浮かべるリリィ、アルセリス……聞いたことの無い名だった。


「アルセリス……だれなんだよそれは!俺は関係ない!助けてくれ!!」


「嫌です、天使達、私の部屋へ連れて来なさい」


リリィはそう言い指を鳴らす、すると空から大きい腕の天使が現れ男を担いだ。


「辞めてくれ!助けてくれ!!死にたく無い!!!」


「あぁ……その声……気持ちいいですねぇ」


連れ去られる男の悲鳴を聞き恍惚な表情をするリリィ、だが直ぐ正気に戻ると耳に手を当てた。


『アルセリス様、プラチナ冒険者 魔道士のデータとしては近接特化の中級天使で対処可能かと』


『そうか、ご苦労だったなリリィ』


『いえ……それでは私は拷問に』


そう言いアルセリスとの通信を切るとリリィはおもちゃを見つけた子供の様な表情で自室へと飛び去って行った。
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