ガチャ召喚士〜ガチャを使って目指すは最強の王国〜

餅の米

文字の大きさ
66 / 73
第四章 暗黒神編

第66話 フェンディルvsグレイアス

しおりを挟む
「少し……様子見過ぎたな」


倒れ込むアダムスをそっと抱え魔力を少し分け与えるフードを深く被った男、突然の出現にグレイアスは咄嗟に臨戦態勢へ入った。


「貴様……誰だ」


「フェンディル、お前を倒しに来た」


そう言いフェンディルはフードを取ると背中に携えていた斧を右手に持つ、そして地面にゆっくりと柄を付けた。


「聞いた事の無い名だな、お前人外か」


「まぁそうだな、人では無い……そんな事より、戦いは始まってるぞ?」


そう言い地面を斧の柄で小突くフェンディル、すると一瞬にして地面に亀裂が入った。


グレイアスは一瞬驚きを見せるもその場から姿を消す、アダムスの時と同じ手法……魔法の類いなのかは分からないが姿が見えないのは厄介だった。


一先ず崩壊しかかっている床の残骸を一つ蹴り上げグレイアスが姿を消しているだけと仮定し行けそうな範囲に投げ込んで見る、だが残骸は壁に当たると木っ端微塵になった。


「厄介だな」


何処から来るか分からない、気配探知の魔法も無駄のようだった。


フェンディルは少し呼吸を整えると斧を力強く地面に叩きつける、すると城は音を立てて崩れ始めた。


「うおっ、めちゃくちゃするなアンタ」


突然姿を現わすグレイアス、消えた場所と同じ所に彼は立っていた。


崩れ落ちる天井を軽々と弾きながらその場で睨み合う両者、城が崩れ去ってもなおその場を動かなかった。


「強いなアンタ、全く情報が無いのが不思議なくらいだ」


そう言い周りの瓦礫を蹴り飛ばし自身の周りを動きやすくするグレイアス、姿を消す……転移の可能性は無さそうだった。


ただの予想に過ぎないが転移魔法ならば自身の周りを動きやすくはしない筈……六魔クラスになれば魔力量も桁違い、いつでも使える筈なのだから。


「腕を一本やられたが十分だろ、行くぞ」


そう言い構えると魔法で身体能力を上げるグレイアス、フェンディルが斧を構えようとした時には既に目の前に迫っていた。


(早いな)


咄嗟に柄で拳をガードするもあまりの威力に少し身体が宙に浮く、その間にグレイアスは再び距離を詰め着地を狙っていた。


肉弾戦が得意の様子、だが一つ気掛かりだった。


何故姿を消さないのか、姿を消し攻撃すれば勝ちはグッと近づく筈、自分の様なこの世界では強い部類の敵と戦うなら尚更……解せなかった。


斧をグレイアスの進行方向に投げ動きを遅らせると着地し斧を引き寄せる、姿を消すには特定の条件がある……その可能性の方が高そうだった。


「ふぅ……本気で行くぜ」


そう言い姿を消すグレイアス、フェンディルは耳を澄まし気配を感じ取ろうとするがその時、背後から鋭利な物で斬りつけられる傷を負った。


咄嗟に背後へ斧を振り下ろすが感触は無い、ふと前を見るとグレイアスが姿を現していた。


元の場所からまた動いて居なかった。


「どうした?何が起こったか分からない……か?」


笑いながら言うグレイアス、ふと後ろを振り返ると冒険者達がゾロゾロと歩いて来て居た。


「うわっ、何だよこれ……」


崩れ去った城を見て驚く冒険者達、もうそろそろ良さそうだった。


「決着をつけよう」


そう言い斧を構える、その言葉にグレイアスは笑った。


「望むところだ」


拳を構え待つグレイアス、こちらから行くしか無さそうだった。


グッと足に力を入れ一歩踏み出そうとする、だがまたグレイアスは姿を消した。


だがフェンディルは迷わずにグレイアス目掛けて駆け抜けると彼が消えた地点に斧を振り下ろす、すると何かを切り裂く感覚があった。


「ちっ、バレたか」


右の腕2本をその場に落とし後ろに下がるグレイアス、やはり姿を消せるのは立ち止まっている時だけの様子だった。


「強い力にも裏がある……と言う訳か」


少し拍子抜けの力にため息を吐く、六魔と戦闘……と言う任務をアルセリス様から承った時はワクワクして居たのだが少しガッカリだった。


「六魔とは皆この程度なのか?」


斧を腰に戻し尋ねるフェンディル、その姿を見てグレイアスは可笑しそうに笑って居た。


「お前は六魔の事を何も分かって居ないな、六魔はカルザナルド様から直々に力を分け与えて頂いた者達だ……この程度の訳が無いだろ?」


そう言い残った最後の腕で何処からとも無く金色のワイングラスを取り出し赤い血液の様なドロドロとした液体を注いで行くグレイアス、そして少し揺らせば零れ落ちる程に注ぐとそれを口元に運んだ。


飲ませるとマズイ……そう分かって居たが背後の冒険者達に圧倒的強さを見せつけアルカド王国と言う名を広める任務を全うして居ない以上仕方がなかった。


それに闘いは嫌いでは無い……相手が強くなるのは大歓迎だった。


「これガ……真の力ダ!!」


液体を飲み干しそういい捨てると辺りの空気が変わる、息苦しく寒気がする様な気がした。


地面は揺れグレイアスを中心に2メートル範囲の瓦礫が浮き上がる、先程とは比にならない程に強くなって居た。


気付けば切り落とした全ての腕は再生し、少し人間味の残って居た肌色の肌は灰色に変わり完全なる魔人と化して居た。


「さア、魔神と化した俺ノ力に絶望シロ」


そう言い捨て不気味な笑みを浮かべるとグレイアスはゆっくりと構えた。


「これは……余裕を持つ暇は無さそうだ」


そう言い背後の冒険者達の方にアダムスを放り投げると彼らを守る魔法障壁を張る、そして斧を再び手に取ると震える大地を強く踏み締め、一歩足を運びフェンディルは笑った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...