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第一章
5.それぞれの話、ソニアの家にて1
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ソニアの家に帰ると、ソフィア母さんはキッチンの隣りにある狭い小部屋で、ワラの詰まったクッションを抱えて、レースを縫っていた。小さなテーブルの上には、出来立てのレースのクロスがどっさり入った箱と、白い糸がたっぷり入った箱が置かれている。
「ただいま、母さん。ちょっと良いかな?」
「あら、どうしたの?」
小部屋から出てきた母さんは、マルチナに気がつくと、「まあまあ」とかわいらしい声を上げた。
「こんばんは。突然すみません。今日、ソニアとお友達になった『ルチア』と言います」
マルチナはお上品な笑顔で、お行儀よくおじきをした。
「いらっしゃい。初めて見る子ねえ。最近越してきたの?」
「ええ。慣れない町で夢中になって歩いていたら、ハデに転んでしまったんです。そんな時にソニアと出会って、手当てを受けるうちに意気投合! お泊りをさせてもらうことになったんです」
これはマルチナが考えたウソの話だ。ルチアという名前も、マルチナからもじってつけたらしい。
ソニアはちょっと無理がある話かなあと思ったが、母さんはあっさり騙されてくれた。
母さんが疑い深い人じゃなくてよかったね、マルチナ、とソニアは心の中で笑った。
「これ、泊めていただくお礼です」
マルチナは魔法で自分の部屋から呼び寄せたクッキーの缶を母さんに渡した。ソニアが見たことがないくらい豪華な花の絵が描かれたクッキー缶に、母さんも目をキラキラさせて喜んだ。
「まあまあ、ご丁寧にありがとう。とっても素敵ねえ」
「前に住んでいたところの名産品です。よかったら皆さんで召し上がってください」
母さんは缶をほれぼれとながめながら、「夕食の後に、あなたも一緒に食べましょう」と微笑んだ。
「それにしても、すごいケガねえ。お風呂から出たら、またちゃんと手当をしないと。それから、あなたのベッドは、ソニアの部屋に簡単なものを運ぶわね」
「ご親切にありがとうございます」
マルチナがそう答えると同時に、玄関のドアが開いて、エリアス父さんが入ってきた。
「ただいまあ。おや、ソニアの新しいお友達かな?」
「はじめまして、ルチアと言います。一晩泊めていただくんですが、よろしいですか」
「かまわないよ。私は明日の準備で何のお構いもできないが、ゆっくりしてくれ」
父さんが自室に消えていくと、マルチナがキョトンとした顔でソニアの方を見た。
「父さんは明日から船に乗るんだ」
「船乗りさんってこと?」
「うーん、船乗りと言えば船乗りかなあ」
「さあさあ、おしゃべりはそのくらいにして、ごはんの支度をするわよお」
母さんに背中を押され、ソニアとマルチナはキッチンへ向かった。
赤色の柄付きタイルで飾られたキッチンを見ると、マルチナは「すてきっ」と無邪気な声を上げた。
「あら、うれしいこと言ってくれるわねえ」
「本当にとっても素敵なんですもの。赤い花に、赤い木の実。春みたいだわ! この辺りはどこも青色のタイルばかりでしょう。飽き飽きしてたんです」
母さんはご機嫌にフフッと笑って、マルチナに赤いたてじま模様のエプロンを渡した。
「ルチアもお料理手伝ってくれるかしら?」
「あまりやったことはないけれど、それで良ければ」
「大丈夫よお。簡単なことをお願いするから」
マルチナは、モタモタと背中の後ろでリボン結びをした。
お屋敷に住んでるんじゃ、きっとお手伝いさんもたくさんいるはずだから、そりゃあエプロンなんてめったにつけないよね。むしろ魔法使いだっていうなら、料理くらい魔法でできちゃうのかもしれない。
ソニアはそう考えながら、懐中時計を首から外してポケットに入れ、青い花柄の刺繍が入ったエプロンを背中で手早く結んだ。
「今日は何を作るの、母さん」
「イワシの塩焼きと、干しダラを入れたコロッケ、それからちりめんキャベツのスープにしましょう。どれも父さんの好物だからねえ」
母さんの言葉に、急にマルチナの目が刃物みたいにするどくなった。
「……お父さまは、お手伝いされないんですか?」
声にまでトゲがある。
一体どうしたっていうんだろう。
ソニアは首を傾げた。
しかし母さんは少しも気に留めずに「そうねえ」とのんびり答えた。
「父さんは明日から大忙しだからねえ」
「お母さまとソニアだって、家事や別の仕事をして、忙しくしてるじゃないですか。さっきのレース、売り物でしょう。それなのに、お父さまだけ手伝わないのは、不公平だと思います」
全身から怒りがあふれているマルチナは、触ったらヤケドをしてしまいそうだ。ソニアは思わずたじろいでしまった。しかしやはり母さんは少しも気にとめずに、「フフッ」と笑って、マルチナの頭をなでた。
「ルチアは優しいわねえ。でも、父さんはいいのよ。明日からいやってほど料理を作るから」
「えっ、でもさっき、船乗りだって」
マルチナにキッとにらまれたソニアは慌てて顔の前で手をふった。
「ああ、さっきの話ね。言ったでしょう、『船乗りといえば船乗りだけど』って。父さんは船乗りの人たちの食事を管理する料理番さんなんだ」
ソニアの答えを聞くと、急にマルチナの顔が真っ赤になった。まるで茹でたタコのようだ。マルチナは長い髪をぐしゃぐしゃにして、自分の顔を隠した。
「ご、ごめんなさい! わたし、てっきり、うちのお父さまみたいに、なんにもしない人なのかと……」
虫のように小さな声だ。
家から何度も抜け出すくらいだから、お父さんのこともあんまり好きじゃないのかな。
ソニアがそう思ってチラッと母さんの方を見ると、母さんは優しい目でマルチナを見ていた。
「わたしは気にしていないから、大丈夫よ、ルチア。さあ、お料理を始めましょう。みんなで作ればあっという間にできちゃうわっ」
マルチナは消えそうな声で「……はい」と答えた。
しばらくは恥ずかしそうにしていたマルチナも、母さんがたくさん話かけていくうちに、すぐに元気になった。
着替えを済ませて父さんがダイニングルームに来ると、マルチナはすぐにお茶を持っていって、改めてあいさつをしていた。
気が強いのか弱いのかわからないが、悪い子ではなさそうだ。
父さんと笑顔で話すマルチナを見ながらソニアがそう思った時、母さんがそっとささやいてきた。
「良い子そうね、ソニアの新しいお友達」
ソニアは「そうかもね」と笑って答えた。
「ただいま、母さん。ちょっと良いかな?」
「あら、どうしたの?」
小部屋から出てきた母さんは、マルチナに気がつくと、「まあまあ」とかわいらしい声を上げた。
「こんばんは。突然すみません。今日、ソニアとお友達になった『ルチア』と言います」
マルチナはお上品な笑顔で、お行儀よくおじきをした。
「いらっしゃい。初めて見る子ねえ。最近越してきたの?」
「ええ。慣れない町で夢中になって歩いていたら、ハデに転んでしまったんです。そんな時にソニアと出会って、手当てを受けるうちに意気投合! お泊りをさせてもらうことになったんです」
これはマルチナが考えたウソの話だ。ルチアという名前も、マルチナからもじってつけたらしい。
ソニアはちょっと無理がある話かなあと思ったが、母さんはあっさり騙されてくれた。
母さんが疑い深い人じゃなくてよかったね、マルチナ、とソニアは心の中で笑った。
「これ、泊めていただくお礼です」
マルチナは魔法で自分の部屋から呼び寄せたクッキーの缶を母さんに渡した。ソニアが見たことがないくらい豪華な花の絵が描かれたクッキー缶に、母さんも目をキラキラさせて喜んだ。
「まあまあ、ご丁寧にありがとう。とっても素敵ねえ」
「前に住んでいたところの名産品です。よかったら皆さんで召し上がってください」
母さんは缶をほれぼれとながめながら、「夕食の後に、あなたも一緒に食べましょう」と微笑んだ。
「それにしても、すごいケガねえ。お風呂から出たら、またちゃんと手当をしないと。それから、あなたのベッドは、ソニアの部屋に簡単なものを運ぶわね」
「ご親切にありがとうございます」
マルチナがそう答えると同時に、玄関のドアが開いて、エリアス父さんが入ってきた。
「ただいまあ。おや、ソニアの新しいお友達かな?」
「はじめまして、ルチアと言います。一晩泊めていただくんですが、よろしいですか」
「かまわないよ。私は明日の準備で何のお構いもできないが、ゆっくりしてくれ」
父さんが自室に消えていくと、マルチナがキョトンとした顔でソニアの方を見た。
「父さんは明日から船に乗るんだ」
「船乗りさんってこと?」
「うーん、船乗りと言えば船乗りかなあ」
「さあさあ、おしゃべりはそのくらいにして、ごはんの支度をするわよお」
母さんに背中を押され、ソニアとマルチナはキッチンへ向かった。
赤色の柄付きタイルで飾られたキッチンを見ると、マルチナは「すてきっ」と無邪気な声を上げた。
「あら、うれしいこと言ってくれるわねえ」
「本当にとっても素敵なんですもの。赤い花に、赤い木の実。春みたいだわ! この辺りはどこも青色のタイルばかりでしょう。飽き飽きしてたんです」
母さんはご機嫌にフフッと笑って、マルチナに赤いたてじま模様のエプロンを渡した。
「ルチアもお料理手伝ってくれるかしら?」
「あまりやったことはないけれど、それで良ければ」
「大丈夫よお。簡単なことをお願いするから」
マルチナは、モタモタと背中の後ろでリボン結びをした。
お屋敷に住んでるんじゃ、きっとお手伝いさんもたくさんいるはずだから、そりゃあエプロンなんてめったにつけないよね。むしろ魔法使いだっていうなら、料理くらい魔法でできちゃうのかもしれない。
ソニアはそう考えながら、懐中時計を首から外してポケットに入れ、青い花柄の刺繍が入ったエプロンを背中で手早く結んだ。
「今日は何を作るの、母さん」
「イワシの塩焼きと、干しダラを入れたコロッケ、それからちりめんキャベツのスープにしましょう。どれも父さんの好物だからねえ」
母さんの言葉に、急にマルチナの目が刃物みたいにするどくなった。
「……お父さまは、お手伝いされないんですか?」
声にまでトゲがある。
一体どうしたっていうんだろう。
ソニアは首を傾げた。
しかし母さんは少しも気に留めずに「そうねえ」とのんびり答えた。
「父さんは明日から大忙しだからねえ」
「お母さまとソニアだって、家事や別の仕事をして、忙しくしてるじゃないですか。さっきのレース、売り物でしょう。それなのに、お父さまだけ手伝わないのは、不公平だと思います」
全身から怒りがあふれているマルチナは、触ったらヤケドをしてしまいそうだ。ソニアは思わずたじろいでしまった。しかしやはり母さんは少しも気にとめずに、「フフッ」と笑って、マルチナの頭をなでた。
「ルチアは優しいわねえ。でも、父さんはいいのよ。明日からいやってほど料理を作るから」
「えっ、でもさっき、船乗りだって」
マルチナにキッとにらまれたソニアは慌てて顔の前で手をふった。
「ああ、さっきの話ね。言ったでしょう、『船乗りといえば船乗りだけど』って。父さんは船乗りの人たちの食事を管理する料理番さんなんだ」
ソニアの答えを聞くと、急にマルチナの顔が真っ赤になった。まるで茹でたタコのようだ。マルチナは長い髪をぐしゃぐしゃにして、自分の顔を隠した。
「ご、ごめんなさい! わたし、てっきり、うちのお父さまみたいに、なんにもしない人なのかと……」
虫のように小さな声だ。
家から何度も抜け出すくらいだから、お父さんのこともあんまり好きじゃないのかな。
ソニアがそう思ってチラッと母さんの方を見ると、母さんは優しい目でマルチナを見ていた。
「わたしは気にしていないから、大丈夫よ、ルチア。さあ、お料理を始めましょう。みんなで作ればあっという間にできちゃうわっ」
マルチナは消えそうな声で「……はい」と答えた。
しばらくは恥ずかしそうにしていたマルチナも、母さんがたくさん話かけていくうちに、すぐに元気になった。
着替えを済ませて父さんがダイニングルームに来ると、マルチナはすぐにお茶を持っていって、改めてあいさつをしていた。
気が強いのか弱いのかわからないが、悪い子ではなさそうだ。
父さんと笑顔で話すマルチナを見ながらソニアがそう思った時、母さんがそっとささやいてきた。
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