神よ願いを叶えてくれ

まったりー

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3章91番目の世界

64話 他の子

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昼からは自由にしていいと言って食堂を出た俺は、他の訓練生を教えることになっている、だが今俺の隣には何故かベルとナルの双子がついて来ている。


「そこの機体!遅れているからって魔力を多く流すんじゃない!まずは冷静になれ」


「は、はい!」


「そうだ!落ち着いたら魔力を一定で流すんだ・・・よしそうだ!出来てるぞ、その状態で走れ!遅れてもいいから魔力を意識するんだ」


遅れていた機体は魔力を一定にし、確実に距離を縮め隊列に戻れた。


「すごい!」


「何が違う?」


双子が質問を俺にしてきた。


「攻撃とは違うんだ、走るのに魔力の強弱は要らない、一定に流すことが大事なんだ、無駄がなくなり疲れにくくなる」


普通の人の感覚では分からないが機体が処理するのに少しのラグがあり、その時流している魔力を自動で溜めて使ってくれるから一定でいいんだ。

まあその量を上げればそれだけ早く動けるがな。


「なるほど」


「良く解った」


双子が頷いているので俺は二人を撫でた、分かったのならほめないとな、次の場所を見ていて俺は声を出した。


「ライフルを撃ってるそこの機体」


「はい、何でしょう教官」


「撃つ時一定だった魔力がぶれてるぞ」


「ですが、弾に魔力を通すとどうしても多くしないと」


まあ普通はそうだな、弾に直接流すからな。


「打つ時に込めるからそうなるんだ、魔力を通す場所をここにして貯めるんだ」


俺は銃口の少し手前に手を当てた。

通常弾はこれでいい、もっと威力を上げた弾にしたい時だけ直接にすれば良いんだ。


「なるほど、そうすれば一定のまま撃てる・・・でも必要ですか?敵はそんなこと考えない」


「そうだな、今攻めてくる奴らには出てきていないな、だが今後出てこないと何故言える」


機体の子が黙ってしまった、まあ気持ちは解るがな。


「100年前の敵を見ても奴らは強化してきている、いつ出てきてもおかしくはないぞ、それに備えるのが軍人だ」


「はい!解りました教官」


他の子も聞いていたのか魔力を溜め始めた。


「いつ撃つのかわからない」


「ほんと」


二人が見えるように魔力を目に集めて見だした。


「そうだぞ、二人も狙撃手だろ、これは覚えておけよ」


そう言って撫でた、すごく嬉しそうだな、俺が撫でてここまで喜んでくれる子はいなかったが、この2人は喜んでくれている。


「うん」


「任せて」


この子たちが他のメンバーに教えてくれれば訓練の時楽なんだがな。

アジーとかが覚えたら、俺でもダメージを食らう時があるかもな、そう思いながら次の場所に向かった。


「そこの機体!何故今フェイントに魔力を込めなかった」


ブレードで戦っていた片方の機体が俺の方を向いて言ってきた。


「え!込めてましたよちゃんと、何言ってるんですか」


「俺が聞いてるのはそこじゃない、何故通常の時とフェイントで魔力の込め方を変えたのかを聞いてるんだ、それじゃファイントだとばれるだろうが、そっちの機体に乗ってる者に聞いてみればわかる」


俺が相手の機体の方を見て聞いてみた。


「戦ってる時ブレードを避けなかったな、防ぐ事もしなかった、それは何故だ?」


「そ、それは・・・当ててこないとわかってたから、それに当たっても」


「そうだろう、あの魔力量では装甲にダメージは当てられんからな、そう言うことだ」


「はい、分かりました」


俺が元の場所に戻ると双子が言ってきた。


「なるほど」


「確かにわかる」


二人がブレードの打ち合いを見て、うんうん頷いている。


「初めからもう少し魔力を上げて戦っていれば、ダメージを当てられるからフェイントになるんだがな」


「そうか」


「うん」


二人が嬉しそうに見てきたが、それをやるのは短期戦や相当な魔力を持っている場合だ。


「だが効率が悪く、疲れやすいぞわかるな」


二人が頷いた、よしよしっと撫でた。

俺は夕食まで訓練場を見て回り、夕食の支度をしに食堂に行くと、ネティーアたちに怒られた。


「わたくしたちにも指導しなさいよ」


「そうだぜ訓練生ばっかずりぃぞ、なぁジェミー」


「わ、私は(撫でてほしい)です」


ジェミーの声は良く聞こえなかった、他の子たちが前に出てきて言ってきているからだ。


「いやいや、君たちにもちゃんと教えてるだろ」


厨房に向かいながらみんなの愚痴を聞き、料理を作り食事を楽しんだ。
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