異世界に飛ばされた人見知りの僕は、影が薄かったから趣味に走る事にしました!

まったりー

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2章 幸せ異世界生活

26話 脅威の香り

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遂に始まる、オレは煌びやかな鎧を纏い、聖剣と言う大きな剣を地面に刺し待っていた。
その先には、オレを信じてくれてる兵士たちがいて、召喚されたみんながいる。


「この中の何人かは命を落とすだろう、しかしこれは必要な事なんだ」


自分に言い聞かせ、遠くに見える敵軍を睨みつけた。
あいつらがいなければ、オレは国王として普通に統治していたのに、あいつらが攻めて来たのがいけない。


「アマギが国王を暗殺してくれたのに、あいつらのせいでそれも無駄になったんだ、生かしてはおかないぞ」


地面に刺していた剣を抜き、オレは空に掲げ宣言しようとした。しかしその時、鼻を刺激した香りに魅了され、その方向に顔が勝手に動いたよ。
そこには、この世界ではありえない乗り物が見え、オレは信じられなかったよ。


「あれは、ワゴン車か」


まだ遠くに見えるが、それは確かに走っていて、こちらに向かってきていた。
まだ遠くなのにその香りは鼻に入り、オレの心がそれに誘われる。


「風に乗ってるんだろうが、ほんとにあれはそうなのか?」


信じられないが、段々と見えて来るそれの看板にその名が記されていて、オレはどうしても動く事が出来なかった。
ワゴンカレー屋と書かれていて、その車は、あろうことか戦場の真ん中に止まったんだ。


「こちらに来るんじゃないのかよ」


今開戦したら、敵とぶつかる場所がそこで、オレは宣言する事が出来なかった。
そんな時、ワゴン車が形を変え、お店の準備が始まった。


「ほんとに、ほんとにカレーが食べられるのか?」


信じられなかったが、香りは店が開かれた事で更に増して来て、オレたち召喚された者たちは、ノソノソと歩き出してしまった。
他の兵士が声を掛けるが、待機を良い渡してオレたちはその店に向かった、そして信じられない人物に出会ったぞ。


「あ、アマギ!?」
「いらっしゃい出光、先生もご無沙汰ね」
「ご無沙汰じゃないぞ、どうしてこんな所でこんな事してる」


何が何だか分からないが、他の奴らは既にカレーを受け取り、涙を流して食べていた。
そんなに美味しいのか、それとも向こうの事を思い出しているのか、もう戦える状態じゃないのは分かったぞ。


「もしかして、オレたちを止めに来たのかアマギ」
「そうね・・・でもその前に食べなさい、美味しいわよ」


アマギから皿を受け取り、オレはゴクリと唾を飲んだ。
カレーが大好きと言う訳じゃないが、オレは手を止める事が出来ず、スプーンで一口食べたんだ。


「う、美味い!?」
「そうでしょ、それはねアタシの大好きな人が作った、この世で最高のカレーよ」


食べる勢いを止められず、俺は最後まで食べ終えてしまい、先生も隣で安心した表情を見せた。
オレの目から、みんなと同じ様に涙が流れ、戻って来れたと感じたよ。


「聞かせてくれアマギ、どうしてここに来た」
「止めに来たって言ったでしょ出光」


アマギはそう言って、車の奥でライスを皿に乗せてる男に視線を向けた。
そいつは、オレの大嫌いな男で、こちらに来てなくて安心していた奴だった。


「どうして多々良がここにいるんだ!」
「彼が助けに来たのよ出光、いい加減理解しなさい」
「何をだよアマギ、教室にいるのかいないのか分からない、陰険なアイツに何が出来る」


アイツは影が薄くて、教室にいるかも分からないのが普通で、それなのに名前だけは誰もが知ってるんだ。
そして一番ムカつくのは、いつの間にかアイツに助けられている事だった。


「今現在、戦争を止めてるでしょ」
「オレのプライドを傷つけたあいつがそうしたいなら、オレは今すぐにでも宣言するぞ」
「出来るモノならしてみれば良いわ・・・だけどね、まずはマサヨシの話を聞いてあげて」


アマギの頼みだから、それ以外の意味も意思もないが、オレは車の前まで向かった。
誰もが泣いてカレーを食べる中、オレはアイツを睨み威嚇したよ。


「そんなに睨まないでよ出光君」
「ふんっ!話があるならサッサとしろ、オレは戦争を始めないといけなんだぞ」
「戦う理由がないでしょ?」


こいつは知らないんだと、オレは城で聞いた報告書を思い出し、こいつに話した。
街が襲われ住民は奴隷にされた、これで黙ってられるわけがない。


「まぁ、お前ならコソコソしてるだろうけどな」
「その街に行ったことあるの?」
「それはないが、報告に間違いはないだろう」
「じゃあ、襲撃して来た国の事は調べたの?」


調べたに決まっているが、襲撃してきたのは事実だ。
しかし、報告された事が間違いだとこいつは引かなかった。


「それなら、お前はオレの敵だ」
「そんな考えだから戦争を始めちゃうんだよ出光君、今どうして戦いが始まらないと思ってるのさ」


陣を組み、にらみ合いをしてしばらく経つが、オレが宣言しないからだと言ってやったぞ。
しかし、多々良は敵が攻めてこない理由になってないと言って来たぞ。


「確かにね、宣言は君がするかもしれないけど、それは相手も同じだよ」
「じゃあ何か?お前は向こうが攻める気がないと言いたいのか」
「うん、だってその街は健在で襲われてないからね、手を出さなければ始まる事はない」


言い切る多々良は、オレが見た中で一番自信を持ってる感じだ。
学校で数回しか見た事のない多々良は、いつもビクビクしててイラっとさせて来たんだ。


「お前変わったか?」
「そう見えるだけで、僕は変わってないよ」
「どうでも良いが本題に入れ、殺すぞ」


剣を多々良に向けてビビらせようとしたが、表情を変えないから更にイラっとした。
喉に突き付けてるのに、表情を変えないからゾッとしたぞ。


「お前、ほんとにあの多々良か?」
「そんな事はどうでも良いんだよ出光君、こんな戦いは止めるんだ」
「何を言い出すかと思えば、お前の指図は受けない」
「じゃあ、カレーはもう食べれない」


そこに焦点を置いて来るかと、みんなが一斉に注目して来た。
食べるのをやめただけでなく、それは困ると言った顔だ。


「これが狙いか多々良」
「そうだね、戦争をしないと誓うなら、僕は君たちが食べたくても食べれなかった料理を提供する」
「食べ物で釣るとか、卑怯だな多々良」
「そう思ってくれても良いけど、みんなはかなり引かれてるみたいだよ」


アマギと一緒にいる先生までもが、止めようって顔をして来た。
オレを孤立させる良い作戦だが、オレは国王として引くわけにはいかない。


「この戦いは、既に始まってるんだよ」
「それを止める事が出来るのは君なんだ、軍を撤退させてよ」
「くどいぞっ!」
「じゃあ、君は負けて大変な事になるけど、それで良いのかな?」


みんながオレよりもこいつに付くという事は分かっていたが、オレは頭を縦には振らない。
それを見て、多々良は暗い顔をしてきて、いつもの顔だなっと笑ってやったよ。


「その顔だよ多々良、お前にはそれが似合う」
「やっぱりそうなんだね出光君、とても残念だよ、君は一人になってしまった」
「元から頼んでない、ここにいる奴らは先生も含め、生きる為にオレについていただけだ」


いなくなってせいせいしたと言ってやったが、その言葉は召喚された奴らだけの話じゃなかった。
多々良は、国の兵士たちにも手を付けていて、オレがこの場で宣言をしても動かないと言って来たよ。


「ブラフだっ!そんな事あるわけねぇ」
「剣を掲げて宣言して見れば良いよ、もう誰も動かない」
「言われなくても」


俺は剣を空に掲げて大声で戦いの合図を送った。
しかし、遠くの陣からは進軍の声も音もしなかったよ。


「多々良、何をしやがった」
「君たちの国を占領したんだ」
「なっ!?」


王都を取ったとか言われても、ここからでは分からない。
しかし、兵士たちの戦意を喪失させるには十分だったようだ。


「君たちがここに来たせいもあるけれど、同時に元の世界に戻ろうとしてるとも言いふらしたよ」
「なっ!?」


戻れるのかと、生徒たちの目つきが変わり、多々良は戻れる日にちを口に出して来た。
そんなはずはないが、それまでは休戦しようと提案され、ここで戦っても勝てないと思ったオレは、了承して撤退したんだ。
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