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1章 異世界転移

10話 のんびりと邪魔者

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「はぁ~空が青いなぁ亜生奈」


エブラルタ船団を出てから1週間が経った、俺と亜生奈は今釣りを楽しんでいる、俺がずっと釣りをしているから亜生奈もやってみたいと言い出した、最初は泳いだり船の上を走り周ったりしてたんだが、今は俺をマネてのんびりしているよ。


「おとしゃん引いてるの」

「お~う」


亜生奈に言われ、ゆっくりリールを巻いている、今はスキルが効いてないようで、普通に魚が釣れる、俺が無心だからって理由ではないぞ、釣りを楽しむ為にしているからだ。


「おとしゃん、また来たの」

「またか!?俺の釣った魚がそんなにうまいのか?ったく!『サンダー』」


これで3度目になる、俺が魔法を放った対象は大きなサメだ、1週間で3回ではなく1日でこの回数だぞ、かなりの確率だろう。

俺だってずっと釣りをしているわけではないのに、まったくやめてほしい。


「まぁこのサメも美味いから良いんだけどな、収納収納っと」


サメの血が流れると、他にも寄ってきそうなので、いつもサンダーで倒し収納にしまっている、4メートルくらいあるので人も食べるんだろう。俺は食べれないかと思い、鑑定して見たら美味いと出たんだ、解体して食べたがマグロみたいで美味かったぞ。


「平和が一番なの~」

「そうだな・・・さて、そろそろお勉強の時間だぞ亜生奈」

「はいなの!」


元気よく返事をして亜生奈が船の中に入って行った、あれだけ勉強が嫌いだったのにどうしてなのか。それはメナーサちゃんに手紙を書くからだ、勉強を終わらせた後にその時間を作った、だから早く勉強をしたいと言うほどになった、とても助かってるよ。


「じゃあ送るぞ亜生奈」

「うんなの、ホロホロ頑張るの!」

「ホッホー」


召喚獣のホロホロが飛び立ち、亜生奈が手を振っている、なんとも言えない気分だ。あれから何度も手紙のやり取りをしている、メナーサちゃんは元気になり、ヨースドの手伝いをしていると言う話だ、だから亜生奈も俺のマネをしているのかもしれない、手伝いをしてるつもりなんだろう。

料理とかを手伝ってるから、そんなことしなくても良いんだがな。


「さて、そろそろ来るな」


亜生奈に船の中に入ってもらい、俺は船のエンジンを止めた、エリアサーチで襲撃者が見えたからだ。

不用意に動くと遠くから攻撃されそうだからな、こうすれば動けなくなったと思い込み近づいてくる。


「しゃしゃー!船が故障とは運がねぇな」

「かかか!俺たちに出くわしたんだ、それだけでも運がねぇよ、さぁ持ってる物を全部出しな」


3隻のカヌーのような乗り物に乗った海賊だった、これだと長距離移動は出来ないだろう、と思っていたんだが鑑定したら半魚人とでた、恐らくカヌーを自分たちの足の水かきで漕いでるんだろう、顔にも少し鱗が見えた。


「あいにくだけどそれは出来ない、話をするのなら、情報料として多少融通しても良いぞ」

「あん?何を言ってるんだこいつ、頭いかれてんのか?」


そう言ってボウガンを向けてきた、お前たちの格好の方がいかれてると思う「何処の世紀末だよ」とか思うくらいのイレズミだらけでボロボロの服だ、半魚人はそこら辺気にしないのだろうか。


「お前たちこんな事は止めろ、自分たちで作物を作り育てるという考えはないのか?何故強奪をする」

「ひゃひゃっ!その方が簡単だろうが、弱い者から取る当たり前だ」


先頭のヤツが変な笑い方をして言ってきた、バカ確定だな、話は聞けそうもない。


「相手をするのも面倒だ『サンダー』」


俺は3人に向かって雷魔法を放った、だが少しピリっとする程度に抑えたよ、サメに何度か使ったことで手加減の程度を理解したんだ、このまま逃げてくれよ。


「な、なんだ今のは」

「次はほんとに当てるぞ、死にたくなければ逃げることだ『サンダー』」


もう一度魔法を放ち少し強めに痺れさせた、さすがに怖気づいたようで逃げていったよ。


「はぁ~うっとうしいなまったく、拠点を見つけたら壊すかな」


そう思って俺も船の中に入ってお茶を楽しんだ、探すことはしないで接触したらその時だ。

俺としては戦うのはあまり亜生奈に見せたくない。


「どうするのおとしゃん」


海賊の襲撃から4日後、船団を遠目で見える様になって俺たちは今、問題の船団に接触しようか悩んでいる。それと言うのも船団の進行方向に海賊船が陣取ってるんだ、それもかなりの数でほとんどが半魚人と出ている、乗り物もサメやシャチと強そうな奴らばかりだ。


「きっと今話し合ってるんだと思う、なるべく被害を出したくないだろうからな、船団の方は」


海賊は出来るだけ強奪したいだろうが、それでもやり過ぎると、本体であるエープル大船団が黙ってない、だから今それの交渉をしているはずだ、まだ戦いが始まってないから俺は迷っている。


「でも悪い奴らなの、おとしゃん倒してなの」

「亜生奈、ただ倒すだけではダメなんだ、こういったのは引き際が肝心だ、それ次第で俺も参加するよ」


戦いが始まれば交渉決裂だろう、その時は俺が参加する、しかしやり過ぎると海賊だけじゃなく船団にも警戒されるんだ、まず情報を掴むためにも船団に接触しておくべきかな。


「だからと言って、船で近づくとこの緊張時では危険だな・・・亜生奈、空を飛ぶのは平気か?」


俺は船をしまって、空を飛んで船団に向かうことにした、そうすれば海賊には気付かれない、乗り込んだ船団には警戒されるだろうが、戦いになったら軽く抵抗するから、その力がそのまま参戦すると交渉をすれば、何とかなるだろう。

それでも警戒されたら、あの船団とはそれまでの間柄になるってだけだ。


「平気なの、でもおとしゃん、どうやって飛ぶの?」


亜生奈を抱き上げると不思議がってるよ、まぁ何も装備してないのに空を飛ぶなんて出来ないもんな、普通は。


「魔法で飛ぶんだ亜生奈『フライウイング』」


俺の飛行魔法は背中に翼が生える、天使の翼の様できれいなんだがこれはただの飾りなんだ、実は魔法で浮いている、4枚の翼で飛ぶわけじゃないんだよ。

俺としては翼が出ないでほしいんだが、どうしてもこうなる。


「すごいのおとしゃん!天使さんなの」


亜生奈が嬉しそうだから、今回はまぁ良いかなとか思いながら船を収納した、そしてそのまま見つからないように低空で船団の端っこの船に向かったよ。


「誰も見てないの」


船の下から甲板を覗いているが誰もいない、恐らく海賊の事で戦闘の準備をしてるんだろう、エブラルタ船団でも銃火器はあった、恐らくそっちに行ってるんだ。


「今なら乗り込んでも問題ないな、あとは誰と話し合うかだ」


船団の真ん中のブリッジを見ながら俺は呟き低空で向かった、まずはそこだ。


「何者だお前!」


甲板に上がりブリッジに続く階段を上ったんだが、途中で銃を持った者たちが数名待っていたんだ、まぁ見張りはいるよな。


「勝手に入らせてもらってすまない、俺は健吾という旅人なんだが、この船団が海賊に襲われそうなのを見てな、少しでも手助けできないかと思ってここに来た、交渉はどうなっている」


仕方ないから穏便に聞いてみた、亜生奈は俺に抱き付いて怖がっている。片手を挙げ、なるべく敵意がないように見せてるが、相手は銃を向けてきたままだ。

出来れば銃を向けるのを止めてほしいが無理だろうな。


「素性が分からない者に話すはずないだろう!」

「まぁそうだな、海賊が攻撃してきたら俺もこちらに参加する、そのことを上の者に伝えておいてくれ」


これ以上いると亜生奈が心配なので、それだけ言って階段を降りて行った、さてどう出るんだろうな。


「亜生奈平気か?」

「うんなの、おとしゃんと一緒なら平気なの、でも怖かったの」


亜生奈が強く抱き付いてきた、怖い思いをさせてしまったな、俺から離れると危険だからいつも抱っこしているが、残酷な場面は出来れば見せたくない、護衛の召喚獣を出すことも考えるかな。
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