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1章 モフモフの為に

3話 今度は寝床

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「グゥガ、これが鉄板なの?」


最初に準備したのは、バーベキュー用の道具です。
これは、僕の意見を皆に了承してもらうための作戦で、カカ様の話を踏まえての事でした。


「キノコに野菜にお肉の順位的に刺して、味を付けて焼くんだよカカ様」
「それだけで良いの?」
「そうだよ、生よりも美味しいから、きっとみんな納得してくれる」


みんなに美味しいをお届けし、その中で不安が出てくれば僕の作戦が決まる事になる。
その為の大盤振る舞いで、みんなお腹いっぱい食べてもらうとカカ様に伝えます。


「沢山食べるのは良いけど、狩りは毎日こんなには獲れないわ」
「そこは、みんなが来てから言ってほしい事だよカカ様」
「何か方法があるの?」
「うん、任せてよ」


クレーンゲームの中には、家畜を貰えるチケットが存在し、僕は既に手に入れています。
いつもは1発なんだけど、肉キュウが邪魔でちょっと失敗して、3回目で取る事が出来たんだ。


「でもね、これを使うのはまだまだ先で、きちんとお世話が出来る様になってからだね」
「じゃあ、それまではどうするの?」
「それは、僕が全て出す事だよ」


そう、僕は皆のおかげで20レベルにまで上がっていて、MPは1万に到達してて、業務スーパーならかなりのお肉が買えます。
更に、自動回復も助けてくれて、バーベキューセットも買えたんだよ。


「20キロのお肉は軽いよ」
「そ、それは凄いわねグゥガ」
「うん、だから心配はないけど、家畜用のエサはここで作らないといけない」


家畜はそれだけ沢山の食事をするので、僕は種を買って畑を作る事を提案します。
自給自足が出来る様になれば、この集落で食料が足りなくなることは無くなり、みんなの毛並みも良くなると言う事です。


「みんなに特製のクシとブラシを用意してあるから、だから堪能させてね」
「あなたもオスなのね、まだ成人してないのに、良い目だわ」
「そんなんじゃないよカカ様、僕は皆を綺麗にしたいだけさ」


モッフモフにするのはその為で、シャンプーも必要だし、まだまだ先は長いんだ。
そう言っている間にも、昼食を取る為にみんなが集まりだし、宴会の始まりです。


「おおグゥガ、約束を果たしたのだな」
「はい族長、どうぞ食べてください」
「ウム、楽しみだ」


族長から口にして、その美味しさを知らされると、集落のみんなが食べ始めます。
そして、カカ様とも話した問題が族長から振られ、僕がその解決策を提示したんだ。


「ふむ、畜産とな?」
「はい、やり方は僕が教えますので、それまでの食料は僕が用意します」
「そうか、グゥガは凄いのだな」


はははっと笑うだけで済ませて来る族長は、そのまま食事を進めるけど、普通は気にして問い詰めるモノだから、凄いだけで済んで僕はちょっと安心しました。
やりたい放題しても何も言われず、それでいてニャンコをメデれるとか最高です。


「じゃあ、皆さんにもう1つ、クシとブラシの使い方をお教えします」


ここでみんなに教えて、毛並みを良くしてもらう事にしました。
食事が良くなれば、僕が天国に登れると、心の声は言わずに妹たちをブラッシングしていきます。


「気持ち良さそうね」
「あれ貰えるの?」
「これから皆さんに配りますので、並んでくださいね~」


集落の皆さんが並び、一人ずつ渡して行き、その人たちの毛並みも確認した。
みんなやっぱりと言う感じで、ごわごわした毛並みで、僕は早く改善したくなったね。


「でも、それにはみんなが嫌いな事を勧める事になるんだよね」


まず無理だよねぇっと、僕は昼食の片付けを家族と一緒にするけど、水に濡れるのを嫌がって来ました。
手だけでもこれなのにっと、先は長そうとため息が出ます。


「でも、みんな手伝ってくれてありがとう」
「良いのよグゥガ」
「そうよ、この後ブラシって言うの、ウチたちにも使ってくれるのよね?」


姉たちの狙いはそれだったようで、僕もイヤではないので了承します。
にっこにこな二人とは違い、カカ様は普通に無表情で、この後どうするのかと聞いてきたよ。


「まじめだねカカ様」
「種族の存続が掛かってるのよ、当然じゃない?」
「それもそうだけど、さっき話した通り、僕が用意するだけだよ」


その言葉が良く分からず不安だったようで、集落の食料庫に出すように提案され、片づけを済ませた僕たちは族長の家の裏側に向かったんだ。
倉庫の中には、僕の使った香草に包まれた肉が少しと、フルーツが置かれていたよ。


「グゥガ、どう思う?」
「そうだねカカ様、とても深刻だね」
「さすがね、でも余裕だから平気なのよね?」


当然っと、ドカドカと空いてる棚に肉を出して行き、そのままだと悪くなるからカカ様が焦って止めて来たんだ。
でもね、僕の出した肉はしっかりと密封されていて、後は室温だけだったんだ。


「ここは涼しいから、このままで平気だよカカ様」
「グゥガがそう言うなら・・・でも、変わった葉っぱね」
「今後はこれに包まれてるから、食べない様にしてね」


ビニール製なので、ほんとに危ないと注意をしました。
でも、スキルで作っているので、そのビニールにも使い道があり、畑の肥料に変わるから、畑を作る時に使う事も伝えました。


「なるほどね、食料だけでなく、次も進めているわけね」
「うん、まだまだ先だけど捨てる場所とかも決めて、量が出来たら進めるよ」
「そうね、量は必要ね」


カカ様も納得だったけど、カカ様の視線は置かれたばかりのお肉に集中していたよ。
昼を食べたばかりなのにと、僕はツッコミたかったけど、姉妹たちも同じで涎まで垂らしているので、これが普通なんでしょう。


「それもまた可愛いんだけど、夕飯前にやる事があるんだよね」
「今度は何をするの?」
「糸を作るんだ」


みんなの毛繕いをした時に出た毛を編むことを説明し、それを使ってクッションを作る事にしたんだ。
ネコが丸くなって寝るあの状態を自分でも体験してみたいし、見てみたいと説明です。


「クッションの中にもみんなの毛を入れて、フワフワにして出来上がり」
「へぇ~器用ねグゥガ」
「肉キュウが邪魔だから、ちょっと下手なんだけどね」
「これで下手なの?」


シャム姉さんがクッションを触って、ウズウズしている感じで、寝転がる方を勧めます。
モミモミした後、シャム姉さんはクッションの上で、クルっと一周してから丸くなったんだ。


「このクッション良いわぁ」
「ズルい、アタシも欲しい」
「みんなの分も作るからね」


せっせと全員分を作り、カカ様は布も出せるのかと聞いて来て、大体の物は出せると教えます。
でも、僕が本当に用意したいのはベッドで、マットレスを出して布団を敷きました。


「これでオッケー」
「クッションと同じ感じね」
「そうでしょカカ様、これでみんなで丸くなって寝れるよ」


カカ様も獣化して寝ようと誘うけど、拒否して普通に人型で布団に入ってしまったよ。
寝る前に夕食が待ってて、まだ早いんだけど、みんなはお昼寝タイムになってしまいました。


「でも、これもまたニャンコだよねぇ」


僕には仕事があるのでそのまま寝かせて、料理の支度を始めます。
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