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1章 転生

6話 3レベルまで

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「長かったぁ~」


2レベルから3に上がるまで1月が掛かり、旅商人さんが訪れる日まで掛かってしまいました。
それでも、2レベルで新たに作れる品が多かったから、僕としては丁度良かったけど、ゲームとして見ているからか、ちょっとだけ停滞化していたんだ。


「大麦ごはんに麺にビールに焼酎と、極めつけのミソとショウユが出来たのは良かったなぁ~」


小麦と大麦で調味料が出来たのはほんとに助かっていて、パンに味噌を付けて食べるととても美味しかった。
お酒が大人たちに人気なのは言うまでも無いけど、畑の野菜をおつまみにした時は、とても楽しい経験でした。


「まぁ、お酒を飲んでてちょっと困ったけど、ミドリたちのおかげで助かったし、3レベルで出来る事も増えるから楽しみだね」


いつもの様にミドリたちを起こして、僕たちは畑に向かいます。
今日は、新しく作成できるようになった、トウモロコシが待っているんだ。


「っと言うか、今更だけどさ、麦以外も作成できてるのは何でかな?」


小麦のパンを作っている時から、他にも必要なのにと思っていて、ミソやショウユなんて、発酵の時間をすっ飛ばしてる。
出来るんだから良いかと放置していまして、今回もトウモロコシを蒸かすだけでなく、ポップコーンやコーンフレークにしたんだよ。


「キャラメル味のポップコーンとか、絶対みんなを虜にするよね」


塩味ももちろんあって、それを煮詰めれば塩が取れるかもしれない。
村長に聞いてからだけど、また1つ村の暮らしが良くなりそうで嬉しかった。


「まぁ、作成時間が3時間になったけどね」


作成する欄は変わらず5個で、このままだと作れない物も出て来るから、そこは話し合って優先順位を決めるんだ。
その為にも、畑仕事を済ませて村長の家に向かったんだけど、モロコシとポップコーンは凄い人気になって、それどころじゃなくなったよ。


「これは、コーンフレークは出せないかな」


他にも、コーンスープとかが作成できて、ある程度穀物を使っていれば、僕のスキルで製品が作れるのが分かりました。
とは言え、穀物の使われてる頻度が少ないと時間はそれなりに掛かり、大量には作れない事を村長に報告しましたよ。


「ミソの主原料は大豆なので、5時間も掛かりますし、コッペパンと麺を組み合わせれば、1時間で焼きそばパンが500個出来ます」
「なるほどな」
「お酒は、タルが手に入るので優先してましたけど、やっぱり食事は欲しいでしょ?」
「それはそうだが、酒は今回ジューネに買わせるつもりだから、なるべく多めに頼む」


ビールと焼酎は売れると、村長はやる気を見せていて、僕に多めに作る様に言って来たよ。
作成の量は、僕たち子供が2人は入れる大きさのタルだから、1つ作ればまだまだ余裕はあるけど、次のレベルでやっぱり作成枠が欲しいと願ったね。


「なんにしてもだ、アオのおかげで作物も豊富だし、言う事なしだぞ」
「あれは、枯葉を敷き詰めただけです」
「それを試したのが良いんだ、最初の一歩がどれだけ難しいと思ってるんだアオ」


確かにそうかもっと、僕は話しを切り上げて商人さんを迎えに行きます。
あれ以上褒められたら、僕は赤くなりすぎて倒れてしまいそうだったからで、褒め過ぎないでと心の中で叫んだよ。


「ひ、人が沢山いるぅ~」
「ふむ、今回はどうやらジューネだけではないようだな」


村長の後ろに隠れて、僕はその人たちを見たけど、どうやら護衛の人みたいで革の鎧を着ていたんだ。
あれが異世界定番の冒険者なのは、村長が言ってたから理解したけど、珍しくないらしくて握手を求めに村長が近づいて行ったよ。


「僕、ちょっと離れてようかな」
「まったく、アオはいつもどおりね」
「ミドリ~」


村長が冒険者さんたちの傍に向かってしまったので、次に隠れるのはミドリの後ろだったんだけど、やれやれって顔されても僕はそのままでした。
商品の査定は村長に任せ、僕は冒険者さんたちが欲しそうにしてる品を見ていたよ。


「やっぱり、みんなお酒が好きだね」
「アタシ、あれ嫌いよ」
「ん、臭い」


子供たちはミドリの意見に賛成みたいで、僕に作るなとか言ってきます。
代わりにコーンスープを要望して来たから、新しいコーン入りのキッシュを出してあげたんだ。


「ホカホカ」
「おいし~の」
「ですです」


皆が満足してくれたようで、作る品をコーンスープからキッシュに変更するほどだった。
ほんとは、ピザとかも作れるんだけど、時間も余計掛かるし後回しだ。


「それで、護衛を付ける程に目立ってるのかジューネ?」
「そうではなく、馬車を増やすために雇っただけです、これで前よりも沢山買えますよリーナさん」
「そうだったか、それなら前回の品は相当高く売れたんだな」
「勿論ですっ!!」


凄く人気になり、早く次の品をとせがまれるほどだったらしく、だからこその3台の馬車だったそうです。
それならばっと、村長もとっておきを出すと言い出して、僕たちは倉庫に移動したんだ。


「さて、何を追加で出そうかアオ」
「やっぱりお酒ですよね村長」
「ああそうだな、後人気だったのは・・・やはり食料だが、目立っているのは予想できるんだ」


これ以上は出したくない様で、お酒の新作を出すまでで留めたよ。
っと言う事で僕が出したのは、大麦で作れる有名なお酒の【ウイスキー(100瓶】です。


「こ、これは!?」
「ウイスキーって言います」
「そっちじゃない!この入れ物はなんだ」


タルではない、1リットルのビンの入物に村長は驚いていて、ガラスと言うモノだと教えました。
容器の方も価値があると、商人さんにも満足してもらえそうで、僕も笑顔になったんだ。


「じゃあ持って行くが、アオはまだ顔見せしないのか?」
「すみません、怖いです」
「そうか、信用できるヤツだから、次は自己紹介をしてやってくれよな」
「努力します」


初対面ではなくなったけど、僕はまだまだ怖くて声を掛けれません。
初対面な冒険者も付いているので、次に同じ人達なら恐らくっと、僕はミドリの後ろに隠れてしまったよ。


「アオ、アタシが付いてるわよ」
「ありがとうミドリ、頼りにしてるよ」
「任せなさい、どんな奴でも倒してやるわ」


そこまでは求めてなかったけど、ミドリの迫力を止める事はしないで、僕たちは瓶を両手に持って運んだんだ。
旅商人さんは、村長の時と同じ様に驚いていて、これは売れるとかなりのやる気を見せて来た。


「では、ワタシたちは出立します」
「イヤ待ってくれジューネ、今回は1泊して行かないか?」
「えっ!?」
「売り上げも良かったし、お礼も兼ねてな」


良いのかと旅商人さんは心配して来たけど、村長は余裕の表情で頷いてた。
冒険者さんたちは、集まって棚ぼたと喜んでいて、遠慮はしなさそうでした。


「村長ったら、アオがいるのに」
「良いんだよミドリ、これは作戦なんだ」


それと言うのも、隣の村にも支援を始めた事から、羽振りを良くして更に情報を得ようとしてるのが村長の考えで、僕はそれに賛成でした。
周囲の村の状況は聞いていたけど、街の事はそうでもなくて、冒険者さんたちが酔った時に聞く算段なのが、村長の笑顔で分かったね。
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