荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー

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最終章 平和

68話 戦いの始まり

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「どういうことですガンサリス!」


姫様が会議室に怒鳴りながら入ってきた、今の状況を知り、居ても立っても居られなかったのだろう、バイト様と、ほんのひと時しか一緒じゃなかったのに、あの人見知りの姫様が心配するとは、これは我が国は安泰かもしれないな。


「落ち着け娘よ」

「ですが父上!我が国の騎士であるガガザが、バイト様を暗殺なんて、ありえません!」

「そう言うが、今はそれが嘘なのか真実なのかも分からん、向こうは既に報復と言って、この国を囲んでいる、援軍を呼ぶにも、この状況では不可能なのだ」


国王様が言っているように今、外壁から500メートル離れた場所で、敵兵士が待機している、囲まれてしまい、他の街に陸からは、連絡が送れない状態だ、だから今、我々は外壁を守るので精一杯、まぁこれは、バイト様との作戦なんだがな、あまり多くの兵を集めていると、相手が作戦を止めてしまうと思ったからだ、なのでこれは作戦通り、もうすぐガガザが、あの乗り物で到着するだろう。


「バイト様はきっと裏切られたのです!あの国はずっとそうだったではないですか、バイト様の仇を撃つべきです」

「まぁ落ち着け娘よ、今相手は全軍がそろうのを待っている、今のうちにこちらも準備を整えるんだ、幸い食料はある、船を出し援軍を呼ぶのだ」


国王が、なかなかいい判断をしてくれた、こうやって指示を出すときは良いのだが、演説の時や他の街の者たちがいるとダメなのだ、それに相手はそれも予測しているだろうから、向こうの国から船が向かっていて、我々の船は沈められるのだろう、バイト様が対策を立ててくれたので、来ないだろうがな。


「国王様、それはしばしお待ちください、もう少しで」

「ガンサリス様!待ち人がまいられました」


俺が、国王の作戦を待ってもらうように言うと、そのタイミングで扉が開かれ、ガルガが入ってきた、いいタイミングだ。


「ガルガそのまま通せ、今は急ぎだ」

「そう言われると思い、既にこちらに向かってきています」


さすが私の護衛騎士ガルガだ、国王も他の者たちも、誰が来たのかと思っているが、それは直ぐに分かった。


「遅くなりましたガンサリス様」

「ガガザ!?あなたがどうしてここに・・・バイト様は、バイト様は無事なのですか!」


姫さまが、ガガザに突っかかっていった、ここまで心配する姫様は初めてだな、国王もすごく珍しいそうな顔をしているよ、いつもなら既に倒れているだろうな。


「姫様、バイト様は無事です、私も助けられました、この者たちに」


ガガザがそう言ったら、部屋にフェアリー殿たちが飛んできた、キラキラした金色の盾と、剣を持っているがオリハルコンではない、あの金属を見たことがないな。


「フェアリー様、どういうことなのですか、バイト様は一緒ではないのですか」

「バイトは無事だよ姫様、おいらたちの国が、バイトを暗殺しようとしてきたんだ、だからバイトが捕まえて、お仕置きをしようとしてる、みんなはこのまま守っていてほしいんだ」


ウクスルト殿がそう言ったので、国王は俺を見た、俺に判断してほしいのだろう。


「国王、ウクスルト殿の指示に従いましょう、バイト様なら信頼できます」

「そうか、ガンサリスが言うならそうしよう、皆防御を固め、時を待つぞ」


国王がそう言って席を立った、しかし姫様はすごく怒って俺を見ている、もしや俺がバイト様と、作戦を立てていたのを察知したのか?


「ガンサリス、あなたまさか、バイト様に好意を持っているのではないでしょうね」

「え?」


俺はそう聞かれ、少し姿勢を崩してしまった。俺は男だ、そう言った趣向は持ち合わせていない、確かにバイト様には可愛い所がある、だがそれは、しぐさが可愛いというだけで、そう言った気持ちは。


「やっぱり!バイト様を一番に思っているのはわたくしです、わたくしが先ですから、成人まで譲りませんよ、良いですね!」

「は、はぁ、了承しました」


俺の答えを聞いて、姫様が怒って退出した、そう答えるしかできなかったが、どうしたモノだろうか、俺にそう言った気はない、そう思っているんだが、何だろうかこの胸のチクチクは。


「はは、まさかな」


俺は独り言を呟いて作戦の指揮に向かった、後はバイト様が到着するまで、持ちこたえれば良いのだ。


「ガンサリス様!敵の魔法攻撃が予想よりも強力で、外壁がもうもちません」


俺が外壁の指令本部に着くと、既に攻撃が始まっていた、そして、まだ30分と経っていないのに、我が国の分厚い外壁が壊されそうだというのだ。


「さすがバイト様の兵器というわけか、直ちに魔法で修復だ、魔法兵はそれに集中すればいい、他の者は、敵が攻めて来た時に備えて待機、手の空いている者はMPポーションを運んでおけ」


俺は迅速に指示を出した、だがそれよりも早く、次の伝令が来てしまった。


「た、大変です!中央門が破られ交戦が始まっています」

「な!?外壁は囮か、直ちに援軍の兵を向かわせろ」


報告した兵が急ぎ走って行った、バイト様の指示で、兵を多めに配置していなければ、既に入り込まれていたな。


「早く、早く来てくださいバイト様」


陸での戦いでこれだけ苦戦するとはな、俺たちは海での戦いなら勝てる自信があった、いくら大きい船を作ってきても、船底はがら空きだからだ、そう俺たちは、水かきとエラを生やすことが出来る、水の中でも自由に動き、攻撃が出来るのだ、だが陸での戦いも、同じくらい自信はあった、この10年、兵士たちの訓練を強化し、平均レベルを30にまで上げた、情報では向こうは15前後、負けるはずがない、そう思っていた、だが結果は武器の差でこれだ。


「近づくことが出来なければ、レベルもないと言う事か、初級と中級魔法を連発する武器、全くバイト様はすごすぎる」


しばらく戦況は変わらないようで、報告では持ちこたえていると来た、最初門が危うかったが、フェアリー殿たちが参戦してくれて撃退出来た、だがそろそろ限界だ。


「ガンサリス様、ポーションがそろそろ無くなります」

「くっ事前に増やしていたのに1時間しかもたなかったか・・・外壁が無くなったら、あの攻撃がそのまま街を襲うんだぞ、もう少し持ちこたえろ」


俺は自分で言っていて、無茶だと思っている、何せ魔法で壁を修復しても、数分後に襲って来る敵の魔法でボロボロにされる、敵の攻撃ペースが早すぎるのだ、それに強力でもある、門での数分の戦いで死者も出たほどだ、正面から戦ったら30分ともたないだろう。頼む、もってくれ。


「ほ、報告!敵の後方から大軍が向かってきています」


俺の願いが届いたのか、伝達兵からそんな報告が来た、俺以外の兵たちがそれを聞き慌てだしたよ、普通その軍は敵の援軍だ、バイト様を攻撃した、5000の兵が着いたのだろう、だがそれはない。


「皆安心しろ、その大軍はバイト様の援軍だ、これで勝ったぞ」


俺はそう言って、部屋を飛び出していた、あの方の軍の強さをこの目で見たかったのだ、そして俺は、外を見て背筋が凍ったよ。


「何だあの鋼鉄の箱は!」


今、敵兵に向かって歩いているのは、緑の鎧を着て同じような顔をした、耳の長い者たちだ、しかしその向こうには鉄の塊が並んでいる、そして空には、あの空を飛ぶ乗り物が浮いているんだ、前進しているのは兵だけ・・・つまり、まだ本気で前進していないと言う事だ、だがこの戦法は良いのだろう、俺は変に思った。


「シールド兵が前衛で守って進軍か・・・だが」


俺はスキルを使い、遠くの戦いを見ている、バイト様は負けるのではないか、そう思ってしまった、何せ一列に透明な大盾を持った兵を立たせ、進軍しているだけなのだ、あれでは連発してくる魔法に対処できない、我が国の外壁をあれだけ破壊した武器が相手だからな、そう思ったのだ。


「す、すごいですねガンサリス様、盾にあのような付与が備わっているとは」


俺の心配は空振りに終わった、ガルガの言うように、盾には透明なフィールドを作れる付与がされていたらしい、盾兵を超えようとした魔法が打ち消された、そしていくら撃っても、それを超えることは出来ず盾も壊せない、どんどん接近していった、敵兵たちはあきらめたのか武器を変え突撃して行った。


「さすがに突撃されたら陣形は変えるようだな、盾兵の後ろの兵たちが槍を構えだしたぞ」

「そうですねガンサリス様・・・でも変わった槍ですね、二股で鋭利になっていません」


俺もそう見えた、恐らくだが敵兵を押さえつける槍なのだろう、その後ろにいる者たちは短剣を持っている、あれで攻撃する作戦なのだろう、だがあれでは数で押されかねない、俺はまた無用な心配をしてしまった。


「し、信じられない・・・俺は夢を見ているのか?」


数分後、敵兵士が盾兵のぶつかったんだ、だがその刹那、敵兵士が吹き飛ばされたのだ、そして二股の槍を持った兵士と短剣兵が、凄まじい速さで敵兵一人一人に襲い掛かった。


「ガンサリス様、あの者たちの強さは異常です、1人1人が私の数倍は強いですよ」


ガルガが言っているように、耳の長い者は一人で50人はなぎ倒している、そして同時に魔法の鎖で拘束もしているのが見えた、恐らくあの緑色の武器はそう言った物なのだろう、誰も死なせたくないという、バイト様の用意した兵だけはあるが、数時間防御に徹していた我々ですら、数名の死者を出させた敵兵たちを、ああもあっさりと。


「敵兵も立ち上がって応戦しようとしているが、あれでは到底敵わないだろう。数は1万といったところだろうが・・・それでも強すぎる、まさに神の兵士たちだ」


バイト様が到着して1時間、敵兵で動ける者はいなくなっていた、そして緑の者たちは撤退していったよ。


「まるで夢を見ているようでしたねガンサリス様」

「そうだなガルガ、後方にいたあの兵器たちの出番もないままに・・・だがハッキリした!バイト様は神に間違いない、あれほどの力を持っているのに戦いを好まず、平和を愛している」


神話では慈愛の神は女性だったが、そんな事は関係ない、バイト様が神なのだからな。
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