94 / 132
3章 1年2学期
94話 やっと叶った顔合わせ
しおりを挟む
「君がアレシャスか」
「そうですけど、どうしたんですか?普通科の先生たちが僕の所に来るなんて珍しいですね」
「ちょっと話があるので来てくれるか」
ジャケンやケリーと同盟を結んだ後、僕は寮に帰る時に声を掛けられ、騎士科の建物の生徒指導室に案内されます。
部屋の席に座った僕は、教壇に集まる先生たちを見て、何やら嫌な予感がしていました。雰囲気からしても、あまり良い話ではなさそうなんだよ。
「君の事はサイラスたちに聞いていてな、少し気になっていたんだ」
一番前にいた剣術の先生である、ライオーン種のジャンガル先生は頬を爪でポリポリかき、聞きにくそうにしてきます。
僕を見たり他の先生を見てて、何やら落ち着かなかったね。
「ああもうっ!じれったいわねジャンガル、ワタシと変わりなさい」
今度は魔法実技の先生である、エルフのシャレール先生が出て来ます。
ジャンガル先生を押し退けて前に来るほどで、僕は少し後ろに身体を下げてしまったよ。
「あなた!どうして自分の功績を他人に渡したのよ、それを公表すれば今の立場が一転するわよ」
僕はまたその話なの?って思いました。そして僕は、ジャケンたちに言った話を先生たちにも言いました。
でも、先生たちは納得している感じで分かってくれた。
「もうっ!それならそう言いなさい」
「冒険を夢見るダンジョン貴族か、これは良いな」
「そうね、何だか怒ってしまって悪いことしたわ」
シャレール先生は、直ぐに謝ってくれて、僕は気にしていないと謝罪を受け入れたんだよ。
ジャンガル先生はライオンの顔で笑顔をしてきて、口がすごく大きくてちょっと怖いです。
「僕は体を動かすのが好きなんですよ、だから屋敷で籠もって生活なんていやです」
「確かにのう・・・じゃが、それだとこちらの計画が」
ドワーフのガージャ先生がそこまで言って口を押さえました。
先生たちは『やっちまった』って顔をしていますが、僕は見なかったことにしたかったけど、そう言う訳にもいかない。
「あの、今のって」
「き、聞かなかった事にしてくれんかのう?」
「いやいや無理でしょ」
「仕方ないわ・・・あのね、新しい女帝が決まったのは知ってるわよね?」
シャレール先生に言われて僕は頷きました。新しい国王は女帝様でマリア・ロード・ディクスルーテントと言います。
かなりの実力主義者で、それは今までの女帝も言っていたんだけど、その時は血筋で固めていてうわべだけのモノだった。
「それが違うって事ですか?」
「そうなのよ、マリア様は元冒険者で実力だけでのし上がったのよ」
初耳ですっと、僕は会ってみたい気持ちが出て来ました。
本当の実力主義で、国を立て直したいそうだから、シャレール先生たちは力が入っている様です。
「それがどうしたんですか?・・・って、何となく分かりました」
さっきの失言も踏まえ、僕は先生たちの思惑が分かってきました。
僕が実力があるから、それでのし上がるチャンスだって言ってるんでしょう。
「それだけじゃないぞアレシャス君!」
「ジャンガル先生?」
「今のダンジョン科担任どもはいかんのだ」
「そうなのよ、今年の学園祭はね、女帝様が見に来るのよ。今の学生たちの実力を確かめるためにね」
ジャンガル先生たちが鼻息を荒くして言ってきます。
ダンジョンの進展が無いから視察に見に来るそうで、タイミングが悪い事にエマルの論文を発表するから、バルサハル先生が評価されちゃうそうです。
「まぁそこは、ワタシたちも裏で動くけど、イヤじゃない!なにもしてないあいつが評価されるのってさ」
シャレール先生が腕を組んで怒っていますが、他の先生たちも頷いて怒っていた。
ダンジョン科の担任は、自分たちのダンジョンを良くするのに必死で、今回の事を報告すれば反省するだろうと言う話です。
「論文がまだ発表されてないのに情報が漏れていた事ですね」
「そうだ、だからこそ君を呼び考え直して貰おうと会いに来た。あの論文は君の功績だろ?」
「さすがですね」
嘘を言わず、僕は正直に答えます。ジャンガル先生たちはやっぱりって顔をして来て、僕をジッと見て来たよ。
でも、僕の気持ちは変わらない。これ以上説得されると、後ろのシャンティが前に出てきそうなので、そこは押さえておきました。
「すみませんが、僕は考えを変える気はありません」
僕の答えに先生たちはガッカリしてきました。でも、僕だってこのままでは駄目だと思うので、ちょっと先生たちに力を貸そうと考えます。
「でもですよ先生たち、僕が協力するというのは良い考えだと思います。皆さんの立場を逆転させる事に協力させてください」
僕の提案を聞いて、先生たちはみんな揃って『ほんとか!?』って顔をしてきます。
ダンジョンを発展させても、こちらではどうしようもない部分がある。先生たちにはそこを変えてもらえないかと提案します。
「ダンジョンが強くても、入る生徒が弱ければ意味ないですからね」
「それはそうだ、ダンジョンでモンスターが強くなったとしても、それと戦うのはオレたち騎士科や魔法士科の生徒だ。こちらが勝てなければ意味がない」
「そうですよジャンガル先生、今は何回も死に戻りを繰り返して倒せるレベルですが、今後はそれを越えてしまう。両方の力が均等で高め合う事が必要だと知らしめるんですよ」
僕はそこまで言って先生たちの横を通り、教室の机にミスリル素材の装備を一式出しました。
先生たちは驚き顔色を変えたよ。
「す、すごい装備じゃな」
特に目の色を変えたのは、装備関係を担当しているガージャ先生で、かなり鼻息が荒いです。
装備を持ち上げ頬ずりしそうだよ。
「先生たちは知ってると思いますが、ミスリル素材は魔力を通しやすいです。しかし同時に制御が難しく魔力を使いすぎてしまう」
「そうじゃ!これはそれに相応しい装備じゃ」
「そうですよガージャ先生。これを提供しますから、先生たちは使いこなせるように生徒を教育してください。そしてスキルだけじゃなく、武技も魔法も使えるようにしてくださいね」
僕はサイラスやラーツたちの事を話しました。
彼らはステータスの底上げをスキルでしていて頑張ってる。
「攻撃力があがるパワードアップやスピードアップと色々してる。他の人達は、僕のおかげだとか言うけど違うんですよ。僕は場所を与えただけで努力をしたのは彼らなんだ」
「なるほどな、オレたちが生徒を訓練する期間は長くて3年まで、そこからはダンジョン貴族と契約をして個人で腕を磨く。その3年間で育てた生徒が強くなれば、それだけ意見できる力を得られるってわけだ」
「そうね、ステータスアップのスキルは、魔力の伝達がカギだもの、その調節が自在に出来る様になるにはうってつけの装備と言う訳ね」
シャレール先生が補足を入れ、僕は頷きちょっと違う所を修正ですよ。
「それに、ちょっと今のうちに手を打っておきたいこともあります。皆さんは魔法や武技の使い方と覚え方に問題がるのを知らないでしょ」
先生たちが驚く中、僕は黒板に魔法文字を書き始めました。
それは魔法の特性に関することで、火や水と順に記載して6角形のグラフを完成させます。
「魔法の系統表ね」
「そうですシャレール先生、火を得意とする生徒はそればかりを強化してしまい、グラフのように偏ってしまう」
そこまで言うとシャレール先生は分かったようで、途中から口を開いて「苦手な系統が生まれてしまう」って答えてくれます。
僕はそれに頷き、更に得意な魔法の伸びも悪くなることを話しました。
「よく知ってるわねアレシャス君。苦手な系統は、大抵得意な魔法の相対する位置の魔法で、だからこそワタシの授業では、苦手な魔法を練習させてるの。でもねぇ」
「そうですよねシャレール先生。誰もが苦手な事はやりたくないですからね・・・そして、みなさんの様な他種族の意見を聞かず、得意な事しかやらない生徒ばかり、だから素質のある生徒しか成果が出ていないんです」
シャレール先生は、だからミスリルを使って練習するのでしょうっと、分からない感じです。
ミスリルは訓練課程であって目標ではありません。これを使う事は一番の早道で、とても過酷なモノなんだ。
「聞いた事ないけど、ワタシもそう思うわ」
「まてまて、どうしてそこまで急ぐんだ?」
「まぁそうじゃのう、まだアレシャス君の1年生と数名の2年生だけじゃし、そこまでする必要があるのか?」
「ありますよガージャ先生。これからダンジョンが良くなりすぎる予定です。そうすると、誰もが強いスキルや魔法や武技に頼り始める。そうするとどうなるか、先生方なら分かりますよね」
その言葉は、先生たちを納得させるのに十分でした。
そして、ここから僕の授業が始まりましたよ。
「そうですけど、どうしたんですか?普通科の先生たちが僕の所に来るなんて珍しいですね」
「ちょっと話があるので来てくれるか」
ジャケンやケリーと同盟を結んだ後、僕は寮に帰る時に声を掛けられ、騎士科の建物の生徒指導室に案内されます。
部屋の席に座った僕は、教壇に集まる先生たちを見て、何やら嫌な予感がしていました。雰囲気からしても、あまり良い話ではなさそうなんだよ。
「君の事はサイラスたちに聞いていてな、少し気になっていたんだ」
一番前にいた剣術の先生である、ライオーン種のジャンガル先生は頬を爪でポリポリかき、聞きにくそうにしてきます。
僕を見たり他の先生を見てて、何やら落ち着かなかったね。
「ああもうっ!じれったいわねジャンガル、ワタシと変わりなさい」
今度は魔法実技の先生である、エルフのシャレール先生が出て来ます。
ジャンガル先生を押し退けて前に来るほどで、僕は少し後ろに身体を下げてしまったよ。
「あなた!どうして自分の功績を他人に渡したのよ、それを公表すれば今の立場が一転するわよ」
僕はまたその話なの?って思いました。そして僕は、ジャケンたちに言った話を先生たちにも言いました。
でも、先生たちは納得している感じで分かってくれた。
「もうっ!それならそう言いなさい」
「冒険を夢見るダンジョン貴族か、これは良いな」
「そうね、何だか怒ってしまって悪いことしたわ」
シャレール先生は、直ぐに謝ってくれて、僕は気にしていないと謝罪を受け入れたんだよ。
ジャンガル先生はライオンの顔で笑顔をしてきて、口がすごく大きくてちょっと怖いです。
「僕は体を動かすのが好きなんですよ、だから屋敷で籠もって生活なんていやです」
「確かにのう・・・じゃが、それだとこちらの計画が」
ドワーフのガージャ先生がそこまで言って口を押さえました。
先生たちは『やっちまった』って顔をしていますが、僕は見なかったことにしたかったけど、そう言う訳にもいかない。
「あの、今のって」
「き、聞かなかった事にしてくれんかのう?」
「いやいや無理でしょ」
「仕方ないわ・・・あのね、新しい女帝が決まったのは知ってるわよね?」
シャレール先生に言われて僕は頷きました。新しい国王は女帝様でマリア・ロード・ディクスルーテントと言います。
かなりの実力主義者で、それは今までの女帝も言っていたんだけど、その時は血筋で固めていてうわべだけのモノだった。
「それが違うって事ですか?」
「そうなのよ、マリア様は元冒険者で実力だけでのし上がったのよ」
初耳ですっと、僕は会ってみたい気持ちが出て来ました。
本当の実力主義で、国を立て直したいそうだから、シャレール先生たちは力が入っている様です。
「それがどうしたんですか?・・・って、何となく分かりました」
さっきの失言も踏まえ、僕は先生たちの思惑が分かってきました。
僕が実力があるから、それでのし上がるチャンスだって言ってるんでしょう。
「それだけじゃないぞアレシャス君!」
「ジャンガル先生?」
「今のダンジョン科担任どもはいかんのだ」
「そうなのよ、今年の学園祭はね、女帝様が見に来るのよ。今の学生たちの実力を確かめるためにね」
ジャンガル先生たちが鼻息を荒くして言ってきます。
ダンジョンの進展が無いから視察に見に来るそうで、タイミングが悪い事にエマルの論文を発表するから、バルサハル先生が評価されちゃうそうです。
「まぁそこは、ワタシたちも裏で動くけど、イヤじゃない!なにもしてないあいつが評価されるのってさ」
シャレール先生が腕を組んで怒っていますが、他の先生たちも頷いて怒っていた。
ダンジョン科の担任は、自分たちのダンジョンを良くするのに必死で、今回の事を報告すれば反省するだろうと言う話です。
「論文がまだ発表されてないのに情報が漏れていた事ですね」
「そうだ、だからこそ君を呼び考え直して貰おうと会いに来た。あの論文は君の功績だろ?」
「さすがですね」
嘘を言わず、僕は正直に答えます。ジャンガル先生たちはやっぱりって顔をして来て、僕をジッと見て来たよ。
でも、僕の気持ちは変わらない。これ以上説得されると、後ろのシャンティが前に出てきそうなので、そこは押さえておきました。
「すみませんが、僕は考えを変える気はありません」
僕の答えに先生たちはガッカリしてきました。でも、僕だってこのままでは駄目だと思うので、ちょっと先生たちに力を貸そうと考えます。
「でもですよ先生たち、僕が協力するというのは良い考えだと思います。皆さんの立場を逆転させる事に協力させてください」
僕の提案を聞いて、先生たちはみんな揃って『ほんとか!?』って顔をしてきます。
ダンジョンを発展させても、こちらではどうしようもない部分がある。先生たちにはそこを変えてもらえないかと提案します。
「ダンジョンが強くても、入る生徒が弱ければ意味ないですからね」
「それはそうだ、ダンジョンでモンスターが強くなったとしても、それと戦うのはオレたち騎士科や魔法士科の生徒だ。こちらが勝てなければ意味がない」
「そうですよジャンガル先生、今は何回も死に戻りを繰り返して倒せるレベルですが、今後はそれを越えてしまう。両方の力が均等で高め合う事が必要だと知らしめるんですよ」
僕はそこまで言って先生たちの横を通り、教室の机にミスリル素材の装備を一式出しました。
先生たちは驚き顔色を変えたよ。
「す、すごい装備じゃな」
特に目の色を変えたのは、装備関係を担当しているガージャ先生で、かなり鼻息が荒いです。
装備を持ち上げ頬ずりしそうだよ。
「先生たちは知ってると思いますが、ミスリル素材は魔力を通しやすいです。しかし同時に制御が難しく魔力を使いすぎてしまう」
「そうじゃ!これはそれに相応しい装備じゃ」
「そうですよガージャ先生。これを提供しますから、先生たちは使いこなせるように生徒を教育してください。そしてスキルだけじゃなく、武技も魔法も使えるようにしてくださいね」
僕はサイラスやラーツたちの事を話しました。
彼らはステータスの底上げをスキルでしていて頑張ってる。
「攻撃力があがるパワードアップやスピードアップと色々してる。他の人達は、僕のおかげだとか言うけど違うんですよ。僕は場所を与えただけで努力をしたのは彼らなんだ」
「なるほどな、オレたちが生徒を訓練する期間は長くて3年まで、そこからはダンジョン貴族と契約をして個人で腕を磨く。その3年間で育てた生徒が強くなれば、それだけ意見できる力を得られるってわけだ」
「そうね、ステータスアップのスキルは、魔力の伝達がカギだもの、その調節が自在に出来る様になるにはうってつけの装備と言う訳ね」
シャレール先生が補足を入れ、僕は頷きちょっと違う所を修正ですよ。
「それに、ちょっと今のうちに手を打っておきたいこともあります。皆さんは魔法や武技の使い方と覚え方に問題がるのを知らないでしょ」
先生たちが驚く中、僕は黒板に魔法文字を書き始めました。
それは魔法の特性に関することで、火や水と順に記載して6角形のグラフを完成させます。
「魔法の系統表ね」
「そうですシャレール先生、火を得意とする生徒はそればかりを強化してしまい、グラフのように偏ってしまう」
そこまで言うとシャレール先生は分かったようで、途中から口を開いて「苦手な系統が生まれてしまう」って答えてくれます。
僕はそれに頷き、更に得意な魔法の伸びも悪くなることを話しました。
「よく知ってるわねアレシャス君。苦手な系統は、大抵得意な魔法の相対する位置の魔法で、だからこそワタシの授業では、苦手な魔法を練習させてるの。でもねぇ」
「そうですよねシャレール先生。誰もが苦手な事はやりたくないですからね・・・そして、みなさんの様な他種族の意見を聞かず、得意な事しかやらない生徒ばかり、だから素質のある生徒しか成果が出ていないんです」
シャレール先生は、だからミスリルを使って練習するのでしょうっと、分からない感じです。
ミスリルは訓練課程であって目標ではありません。これを使う事は一番の早道で、とても過酷なモノなんだ。
「聞いた事ないけど、ワタシもそう思うわ」
「まてまて、どうしてそこまで急ぐんだ?」
「まぁそうじゃのう、まだアレシャス君の1年生と数名の2年生だけじゃし、そこまでする必要があるのか?」
「ありますよガージャ先生。これからダンジョンが良くなりすぎる予定です。そうすると、誰もが強いスキルや魔法や武技に頼り始める。そうするとどうなるか、先生方なら分かりますよね」
その言葉は、先生たちを納得させるのに十分でした。
そして、ここから僕の授業が始まりましたよ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
124
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる