上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!

まったりー

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4章 1年3学期

118話 パレード

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「すごい歓声ねアレシャス」
「そうだねシャルティル」


嫌な顔をして、シャルティルに返事を返した僕は今、屋根のない馬車で王都の中央通りを進んでいます。
それも仮面を外し顔を見せてて、もちろん顔は変えてるけど、転生前の僕の顔になってるんだよ。


「お母様の時と同じか、それ以上に感じるわ。さすがの人気ね」
「人気ねぇ~」


青髪も、今回はカツラではなく、顔を変えてる魔法のチョーカーを使い、ついでに変化させています。
手を振って民衆に応えていますが、王族のマリア様たちと一緒の馬車なので、とても落ち着きません。


「頑張ったのは皆でしょ、そっちに僕も乗りたかったよ」
「ダメよアレシャス、ここで仲良くしてないと、民衆に分かってもらえないわ」


後ろの馬車には、鬼神たちが乗っていて手を振っています。
その更に後ろには、レッドドラゴンに乗った、スライム騎士たちが手を振ってて、そっちは迫力がすごいので、喜んでいる子供たち見え、大人はかなりビビっていますよ。


「それはそうだけどさ・・・でもシャルティル、腕をつかんでくっ付くのは止めてくれるかな、公の場だよここは」


僕の腕に身体を付ける、シャルティルに注意をして、何とか引き剥がそうと少しだけ押すけど、公の場で突き飛ばすわけにもいかず、結局シャルティルはくっ付いたままです。
やれやれと思いながらも手を振り、近くでシャンティたちと、孤児院の子供もいるんだろうなぁっと、知られたら大変だよっと冷汗が出ます。


「レッドたちが知らせに行ってくれたから、きっと問題ないけど・・・まさかリビングウエポンたちが、サイラスたちを気に入るとは思わなかったね」


モンスターのみんなを集合させた時、そんな報告を受けたんだ。
レッドドラゴンたちの後ろには、数台の馬車が着いてるんだけど、そこにサイラスたちが乗ってます。


「アレシャスが見込んだ騎士たちよね」
「そこは喜ぶべきところだけど、他の問題も出てきたんだよね」


この襲撃で功績を納めたって事で、他にも数名が後ろの馬車に乗っていて、ラーツたちは勿論だけど、数名の冒険者とシーラさんたちもいます。
でも、学園の先生と生徒の数名が行方不明で、エメローネ様の話では亡命したらしいです。


「マリア様が純血じゃないからって、襲撃してきた国に付くなんて、どうかしてる」


ダンジョン科の教師は、半数以上が姿を消し、実家に呼び出された生徒も、同じくして家ごといなくなったんです。
ワイバーン以外にも、相手に力を与えてしまったのは痛手と、マリア様たちと悩んでるんです。


「そんな暗い顔しないでよアレシャス、今は勝利を喜ぶ時よ」
「そうだねシャルティル。これをみれば、マリア様が宣言した事がほんとだって分かるだろうね」


実力があれば、どんな種族でも歓迎する、このパレードはその宣言の良い宣伝だよ。
そんなことを言いながら、僕は今後の事を考えています。


「次があるのは確実で、今後はより厳重に警戒しないといけない。まぁそのための壁強化だったけど、他の強化も必要だね」


パレードが進む中、僕は更なる強化を計画します。
そして、馬車は城に入り僕はタキシードに着替えてるんですが、そっちが心配で悩んでしまってます。



「1年と3年、それと6年生の担任がいなくなって、校長まで消えてる。マリア様が教師を雇うと言ってたけど、敵にもダンジョン貴族がいるとなると、情報の漏洩を気にしないといけない」


学園を任せるのは、相当厳しい人選になるでしょう。
僕も頑張ろうと、蝶ネクタイを結びます。


「あら白騎士、似合ってるじゃない」


タキシードを着て会場に入ると、シャルティルがピンクのドレスを着て近づいてきました。
シャルティルが綺麗だったから、僕はちょっと照れて挨拶をしましたよ。


「シャルティル様も似合ってますよ」
「ありがと・・・でもこれから大変よ、今までの様にはいかないわ」


シャルティルが真剣な顔で言ってきたので、僕はジロジロ見て来ている人たちに視線を向けます。


「はは、見事に視線を逸らして来るよ」
「まあそんなものよ」


噂の白騎士の顔を覚えておこうとしている者から、成り上がり者と睨んで来てる者と、色々な視線を受け、やっぱり爵位なんて要らないと気持ちが固まるよ。
その感情が固まる中、マリア様が登場し壇上に上がると、さっきまでの圧力がなくなり演説が始まりました。


「皆様、この度はご苦労様でした。消息が分からない貴族たちは、捜索を継続しますが、最悪の事態を考え、これからは学園祭で行われる論文発表会は、入場制限を行います」


マリア様の答えに、みんなが動揺しています。
それは、ダンジョンヒューマンが敵に寝返ったと言ってるようなモノだからです。
そして、論文の内容は秘匿することになったんだ。


「詳細が外に漏れた場合ですが、処罰をしなくてはいけない者が出てくるかもしれません・・・それ以外は、今まで通り学園祭を開きます。他国の方ももちろん歓迎です」


相手の国が判明しているので、きっとそこと仲のよかった貴族は対象になるんでしょう、明らかに顔を青くした人がいました。
国境では、既に厳戒態勢を敷いているそうで、怪しい人は捕まってます。


「さて、重い話はここまでにして、今度はうれしいお話よ」


マリア様が手をたたき、功労者たちの名前が呼ばれ授与式です。
僕は既に貰ったのだけど、正式な形で貰うために再度並びます。


「ありがとう白騎士、これからもお願いしますね」
「はいマリア様」


僕から始まった授与式は何事もなく進み、体が大きくて会場に入れなかったレッドドラゴンたちも、マリア様はわざわざ外に足を運び、角に勲章を掛けて無事終わりました。
この光景は、映像で国中に流れていますが、学園祭の追加行事として、みんなは楽しんでいることでしょう。


「でも、料理はちょっと味気ないね」


授与式を済ませた僕は、テーブルの料理を食べ始めたんだけど、僕をチラチラみている貴族たちを遠めで感じながらがっかりです。
僕と話し、お近づきになりたいんでしょうが、僕の周りには鬼神たち5人が固めているので、かなりの勇気が必要で誰も近づけません。


「みんな、ここは良いからさパーティーを楽しみなよ」
「いえ、主君を守るのが我らの使命です」
「誰も来ないよ、誰かダンスに誘って来て」


僕は、遠目でレッドたちを目標にしている視線を確認しています。
それを聞いたレッドは、シーラのところに向かい、ブルーはエメローネ様です。イエローとブラックとピンクは十騎士のところですね。


「これで安心して食べれる」
「あら、誘ってくれないの?」


僕が肉にステーキタレをかけようとしたら、横からそんな声がして、驚いて振り向きました。
その声の主は、言うまでないけどシャルティルでしたよ。


「食事をしてからだと思ってたんですが、分かりましたよシャルティル様」
「よろしい、ではエスコートしてください」


シャルティルの手を優しく取り、僕たちは中央で踊りました。
鬼神たちも楽しそうにダンスをしていて、それからが大変な事になるとは夢にも思ってません。
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