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5章 2年1学期

123話 新学期に向けて

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楽しそうにしているシャルティル様を見て、私もうれしく思って後ろを歩きます。
ここは学園の中で、私はシャルティル様の専属メイド、しっかりしなくちゃいけないんです。


「でも、姫様が楽しそうにしてるのは、見てて飽きませんね」


学園が楽しみで、昨日はずっとお話をしました。
その内容のほとんどは、アレシャス様の事だけど、それでも楽しい時間だで、それはこれからも続くのが嬉しく思う事でした。


「ねぇエミリー」
「シャルティル様どうぞ」


言われる前に、私は教科書を渡して、シャルティル様はパラパラとページをめくります。
最後までめくり終わると、シャルティル様はつまらなそうにして本を返してきます。


「お母さまと見た奴と同じね」
「そうなんですか?」
「ええ、この先をアレシャスは知ってる。これは授業はつまらなそうだわ」


ポイントも限界があると、シャルティル様は残念そう、早く放課後になって欲しいと、まだ授業も始まらない朝からこれです。
アレシャス様に会うのが楽しみなのは分かりますけぉ、それはしっかりと授業を受けてからです。


「私も、しっかりとメイドとして仕事をしなくてはいけませんね」


部屋で朝食の支度を頑張るのですが、今までよりも、更に良い品にしようと頑張るんです。
それと言うのも、アレシャス様からの品が届くからで、それを無駄に出来ないんですよ。


「料理も教わりたいですね」


私以外のメイドがいないのも問題で、私だけでは荷が重いと思うけど、私は頑張るんです。
それもこれも、信用できる人が少ない事がいけないんです。


「でも、私が信用してもらえてる証でもあるわ、頑張ろ」


料理を作りながら、それを盛り付けて運びながら、自分に言い聞かせます。
私が頑張れるのは、料理を美味しそうに食べてくれるシャルティル様がいるからで、あの笑顔を見ると、今までの努力が報われたと思えて嬉しいんです。


「エミリーは、ほんとに何でも出来るわね」
「そんな事はないですよ」
「そんな事あるわよ、これからもよろしくね」


無垢な笑顔でお礼を言われ、私はとても胸がいっぱいになります。
もう抱きしめたくなるのですけど、それは流石にできませんし、何よりシャルティル様の心は、アレシャス様に向いています。


「私でも思うけど、アレシャス様はほんとにカッコいいので、気持ちはわかるのだけど、競争率が高そうだよね」


まだ学園では会えてませんけど、あんな男性がいたら、きっとみんなが注目します。
そう思っていたのだけど、そうでもないみたいで、ダンジョン科の建物に向かう際に出会ったアレシャス様は、メイドと2人で歩いてました。
嬉しそうにシャルティル様が走り出したのを、周りが不思議に思っていました。


「もしかして、誰も知らないのかしら?」


白騎士なのは知らないのは当然ですが、それ以外のダンジョンヒューマンとして優秀である事も知らないって、こちらが不思議に思ってしまいます。
「でも、シャルティル様は嬉しそうですし、仲良くお話出来るのは良い事だよね」

私も傍に付き、お2人のお話しを聞きますが、話しには入らずにいました。
そんな私に、アレシャス様は声を掛けてくれて、返事しか出来ないほどドキッとしましたよ。


「そうなのよアレシャス、エミリーは料理も上達してるのよ」
「そうなんだね、じゃあ今度みんなでご招待してもらおうかな、良いよねシャンティ」
「勿論です、楽しみですね」


アレシャスさまのメイドまで了承して来て、私は信じられませんでした。
はいとしか言えないですけど、シャルティル様は嬉しそうにしてくれてた、今日の午後は食事会が決まりました。


「白騎士であるアレシャス様のお口に合うのか心配」
「シャルティル様のメイドさん、平気ですよ」


アレシャス様のメイドさんは、優しく言葉を掛けてくれて、私はまた信じられませんでしたね。


「そうなのかしら?」
「アレシャス様は、文句を言う事はありません。それが頑張った結果なら尚更ですよ」


獣人のメイドさんは、とても良い笑顔をしていて、彼女もアレシャス様に好意を持っていると直ぐに分かりました。
それを見て、アレシャス様の魅力は、近くにいないと理解できないのだと思ったわ。


「もしくは、アレシャス様は結婚相手を選抜しているのかもしれない」


納得できる答えが浮かび、私はシャルティル様を応援しました。
その為にも、成績を上げなくていけませんが、きっとシャルティル様なら出来ると確信しています。


「だって、あれだけ質問してるんだもん、きっと平気よね」


まだ最初の授業も始まっていないのに、アレシャス様に質問が絶えなかったわ。
あれだけ自分には何も無いと言ってたのに、愛の力は凄いんだと見ていました。
そして別れる時間が来てしまい、シャルティル様はとても残念な顔をしたんです。


「そんな顔しないでよシャルティル」
「だって、授業よりもアレシャスと話していた方が勉強になるわ」
「それはそうかもしれないけど、それは放課後だよ」


それまで楽しみに、そう言われたらシャルティル様も引くしかなくて、寂しそうな顔をして離れていきます。
ずっと手を振ってくれてるアレシャス様は、女性を扱うのに慣れていて、ちょっと心配になりましたね。


「まぁ訓練施設での事もあるので、仕方ないのでしょうけど、あしらい方が怖いです」


がんばれシャルティル様っと、私はエールを送りますが、授業に向かう姿がしょんぼりしていて、慰める言葉を探しました。


「シャルティル様、アレシャス様は授業の内容も知りたいのではないです?」
「そうかしら?」
「そうです、新しくなった授業内容ですから、それをしっかりと知らせるのは必要です。更にシャルティル様が派閥を作れば喜ばれます」


アレシャス様はそれを望んでいるでしょうし、シャルティル様もそれには賛成してきます。
元気が出て来た所で、ちょっと注意する事もあると念を押します。


「王族にすり寄る奴らね」
「そうです、私もお手伝いいたしますから、頑張りましょうね」
「そうね、一緒に頑張りましょエミリー」


支え合う事が、こんなにも頼もしいと思えるのは、きっとあの窮地を一緒に乗り越えた、私たちだからかもしれません。
他の貴族の様に、使用人を扱う人だったなら、きっとこんな気持ちにもならなかったかもしれない。私はとても運が良いのかもしれませんね。
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