上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!

まったりー

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1章 誕生

8話 武器を手に入れよう

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「はぁ~やっと入る事が出来たよ」


ため息を付いて、僕は久しぶりのダンジョンの中に入場です。それと言うのも、ダリアさんの号令によりメイドさんの教育方針変更がなされたからです。
ダリアさんと同じ目をし始める人達に変わってしまったのが原因で、誰もが僕を相手にしたいと言っ来た。


「全員を相手にするまで掛かるとか、ほんとにみんな子供が好きなんだね」


夜の時間が全て消費され、僕の睡眠時間は1時間しか貰えなくなってしまった。
おかげで【短期集中睡眠】と【交渉術】と【ネコかぶり】がスキル欄に載って、メイドさんたちの名前と顔が全て一致した。ダンジョンで使う装備も、ダリアにおねだりしやすくなり準備は万全なんだけど、ここに来るまで10日を掛けてしまったよ。


「新しい装備が来るまで1月。楽しみではあるし、寝ないでも良いのはプラスなんだけど、失った物が大きい気がするよ」


ため息を付いてダンジョンを進むと、早速スライムがいました。だけどちょっと状況が違くて、僕は焦って新たな武器である出刃包丁を抜きます。


「分岐に10体、明らかに変だよ」


スライムだけど10体もの大群がフヨフヨとしてた。包丁で1体を倒す事に成功したけど、他のスライムに突撃を食らってしまった。勿論9匹全部ではなく、3匹のスライムは新たな装備であるお鍋のフタで弾いてダメージは無かった。だけど残りの6匹には前の様に体当たりを受け飛ばされたんだ。


「いたた、革の鎧を着てなかったら致命傷だったよ」


おねだりの効果は絶大だと、合計10のダメージを見てニヤリとした。明らかに強くなった僕は、残りのスライムを斬りつけて倒して行きました。


「この10日間は無駄じゃなかった。あの恥ずかしい行いも必要だったんだ」


自分に言い聞かせ、スライムのドロップ品を回収です。スライムの欠片とクズ魔石はどれも安価な品で、経験値も2と凄く少ない。死闘を何度も繰り返してるのに僕のレベルはまだ上がりません。


「レベルアップには500が必要らしいけど、まだまだ掛かるねこれは」


スライムの出現率は30分に1体で、前回7時間の戦闘で14体を倒していました。今日の10体を合わせてもまだまだ足りないとガッカリです。
気持ちを切り替え、ダンジョン画面を出して状況を確認し、そう言えば忘れていたと焦るモノが目に飛び込んできます。ほんとに装備をおねだりしていて良かったと思える、凄い数の赤点が見えたんだ。


「ななな、なんだよこの数はっ!?」


数えきれない赤点がダンジョンを徘徊していて、どうしてこうなってるんだよと叫んでしまった。


「そうだったよ、ダリアの授業でも教えて貰ったじゃないか。モンスターの配置には上限値があり、みんなはそれに合わせて10体召喚をする。僕の場合自動的に召喚されるから、時間があれば上限値の100体まで勝手に召喚されちゃうんだ」


設置したのがスライムで良かった。今日ほどそれを痛感した事は無はなく、僕は慎重にダンジョンを探索し始め、1時間を掛けて全滅させることが出来ました。


「それでも、まだレベルは上がらない・・・もう少し強いモンスターで経験値が欲しいね」


戦いに慣れると人は欲をかくモノで、僕もそんな考えが過ってしまいます。だけどね、僕はダンジョンゲームの廃人プレイヤーなんだ。これは大きなアドバンテージで、そんな考えには揺るがないよ。


「レベルは大事だけど、焦っちゃダメだ」


まず僕が考えないといけないのは、ポイントを稼ぐ事です。それも危険を冒さずにという重要な事が含まれる。今は製作系ゲームの我慢の時間だと、その日は切り上げた。部屋に戻り、久しぶりのゆっくりな睡眠をとる為、汗を拭いて寝間着に着替えます。


「革の鎧・・・ダリアさんに写真会をダシに手に入れたけど、ほんとに貰えてよかったよ」


ブーツも手袋もそうですけど、メイドさんたちの好意を使って手に入れました。魔道具でカメラがあったから良かったけど、そうでなかったら僕は今頃死んでいましたね。
毎回死ぬ寸前の戦いを繰り返してる僕だから、こんな状態でポイントを使って新たなモンスターを生み出そうなんて、死神に命を差し出している様な物だと、貰った包丁を布で拭いてお手入れをしました。


「先に進むには、これも考えないとだね」


武器として使った刃物を眺め、僕は頼りなさを感じていた、さすがのダリアさんたちも刃物は持ち出しを許してくれません。持ち出した出刃包丁も内緒で厨房に忍び込み、使い古しの物を盗んで来た。スライム程度なら刃こぼれしていても倒せたけど、今後はそうはいかないんだ。


「やっぱり、最低でもショートソードは欲しいよね。武器として最初に冒険者が装備する1つ・・・何とか手に入らないかな」


分かっている解決策を棚に上げて考えます。でもそれしかないのは、今の僕の力の無さが原因でため息がでますよ。


「でも、それしかないんだよね・・・嫌だなぁ~」


僕の出来る事はおねだりしかありません、なので作戦は自分の身を犠牲にする作戦で、ダリアさんたちの遊び道具になる事なんだ。でもダリアさんたちが嫌いと言う訳ではなく、ただそんな時のみんなが怖いだけなんですよ。
もう少し普通にしていてほしいと、その時の事を思い返してため息が漏れます。


「息が荒くて、はぁはぁ言ってくるのが怖いんだよねぇ~」


革の鎧を拭く手を止め、僕はゾクっとします。この鎧も装備してる僕がポーズを取る写真会を開いたから貰えたけど、着る物がそれだけで済むはずもなく、何で男性貴族を教育する施設でこんな服があるんだよっと、ツッコミを入れる程のヒラヒラのドレスや、何処から持って来たんだよと言いたい、動物のパジャマとかを着せられたんだ。


「あれをもう一度かぁ~・・・ははは、絶っ対に嫌だ!」


そんな拒絶もそれしかないのは言うまでもなく、だからこそここにある装備たちは大切なんだ。新たな装備を手に入れるには、もうそれしかないと次の日の授業の際、ダリアさんにお願いしてみます。


「ダメです」


意を決したお願いも、ダリアさんの一喝で破綻してしまった瞬間でした。


「お願いだよダリア、また写真会が出来るんだよ」
「ダメと言ったらダメです」


僕が刃物を持つ危険性が優ってしまっているようで、僕を大切に思ってくれているんだと、少し胸がキュンとなりました。
だけど、ここで引くわけにもいかず、どうすれば持つことを許して貰えるのかを問いただした。ダリアさんは許すことはないと完全拒否です。


「アレシャス様は子供です、刃物を子供に持たせるなんて絶対に許可できません」
「そこを何とかお願いだよダリア、部屋に飾るだけだし、しっかりと管理するからさ」
「そそそ、それでもダメですっ!!」


声を裏返して否定するダリアさん。それはどうしてなのかと言うと、部屋に飾ると言った僕の言葉が関係していて、ダリアさんの部屋を指摘していたんだ。僕の写真でいっぱいの部屋と同じにしたい、そんな心の声を伝えたんだよ。


「革の鎧と盾は貰えたでしょ、剣が揃えば冒険者の初期装備が揃うんだ」
「そのお気持ちは分かりますが、それでもダメです」


飾っておきたいと言うその気持ちを利用したけどダメでした。それならばと次の作戦に変更し、僕はダリアに抱き付きます。いきなりの事で戸惑うダリアは引き剥がす事も忘れ喜んでいます。


「あああ、アレシャス様からそんな抱擁を頂くなんて」
「それだけ僕は本気なんだ、だからダリアお願いだよ」
「アレシャス様・・・わか、ダメですっ!!」


あと一息だ!?そう思える表情を下から見る事が出来ました。ここで最後の手段を行う為、顔をキリっとさせて見上げます。
ダリアの反対する理由は僕が子供だからで、それならば大人だと分かればいいんです。ぎゅっと抱きしめている手を緩め、ダリアの手を取り上目遣いでジッと見ました。


「な、なんですかアレシャス様」
「ダリア、僕はもう子供じゃない。みんなと身体を交えたから言ってるんじゃなく、精神的にも成長してるんだ」


僕を良く知ってるダリアだから分かるでしょっと、ダリアの心にお願いを始めた。ダリアは仕事の経験上危険だと思っていて、子供が背伸びをして欲しがっていると注意してくれてるんだ。だから僕は大人の対応をして見せる事で、ほんとに子供じゃない事を主張した。


「アレシャス様ならば、きっと危険はないでしょう。ですけど」
「分かってるよダリア、扱いは十分注意するよ」


言いつけを守るだけでなく、ここで暮らす僕はメイドさんたちの手伝いもしていた、そうする事で仲良くもなれるし、人材不足は問題だと改善していたんだ。それを知ってるダリアだからこそ、渋々刃物を持つことを了承してくれた。


「ありがとうダリア」
「男の子はそう言ったモノに興味があるモノですから、ですけどくれぐれも注意してくださいね」
「うんっ!!」


遂にショートソードが手に入る、とても嬉しくてダリアにぎゅっと抱き着いたけど、その日のお相手は1周してダリアだった事を忘れていました。その日の夜は身体中にキスマークを付ける事になったんだよ。
それでもダンジョンに入る事が出来て、スライムを全滅させることは出来た。これで合計164体を討伐し、ポイントは8500Pになった。レベルが1つ上がり順調だと、ウキウキが止まりませんでしたね。
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