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1章 誕生
7話 口は災いの元
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「いつでも良いですよアレシャス様」
ダリアさんが木の剣を片手に持ち、構えずに剣先を地面に付けて待ってくれます。僕は上段から剣を構え走り込んで振り下ろすと、ダリアさんは軽い感じに剣を振り上げ、僕の剣を弾いて来た。その威力はただ振り上げたものとは思えないほど強くて、僕は木の剣と共に後ろに飛ばされたよ。
「くぅ~すごい威力、手がしびれたよ」
「まだまだこれからですよ、さぁ掛かって来てくださいアレシャス様」
剣術の稽古以外は他にも、ダンスや礼儀作法とやることはたくさんあります。明日は礼儀作法と言われているけど、身体を動かすのは楽しくて好きなんだ。
「たぁっやぁっ」
横なぎを避けられた後、その勢いを殺さずに体を一回転させて下段から振り上げた一撃を繰り出した。ダリアはそれを余裕で受けるけど、その後は笑顔になったんだ。
「良い太刀筋でしたよアレシャス様、お家ではしっかりと訓練をしていたんですね」
ダリアさんは、母さんと違い褒めてくれます。だけどそれは褒めて伸ばす方針なだけだなのは分かってる。でも僕は嬉しくてもう一度構えを取る、今度は走り込まず中段に構えて1歩ずつゆっくりと近づいた。
「今度は慎重ですね。ですが見え見えですよ」
「うぇっ!?」
ダリアからの攻撃が来るとは思わず、僕は一撃を剣で受けてしりもちを付きました。ダリアは笑って手を貸してくれて僕は立ち上がった。
大振りはしないで小さくコンパクトに振り抜くと、ダリアさんの剣はそれに合わせて来る。でも今度は飛ばされずに対応できました。衝撃は手に響きカンと木のぶつかる乾いた音が庭に広がったよ。
「ほんとに良い動きですねアレシャス様」
「ほめ過ぎだよダリア先生、僕は身体を動かす方が好きなだけ、ダリア先生ほどじゃない」
更にカンカンと木のぶつかる良い音を出しながら剣を交え、お喋りをしつつ稽古が続いた。この隙に僕はダリアに質問しようと考え、色々な質問をしてみました。でもダリアさんはそれには答えず、無駄口が多いと剣を強めに合わせて僕はまたしりもちを付いた。
「ひどいよダリア先生」
「お喋りをして戦いをするなんてありえないからです。さぁ続きをしますよ、構えてください」
「ちぇっ」
やっぱりダリアさんはガードが堅いと、手加減をしてるダリアさんの弱い部分を探したよ。授業とかで一番話すのにこれじゃ先に進めない、ちょっと方向を変えてみようと剣を降ろして考えた。
「どうしましたアレシャス様」
「ダリア、会話ってそんなに邪魔な物かな?女性貴族との会話は大切だと思うんだけど、このままだと僕は女性貴族と仲良くできないよ」
「・・・」
無言のダリアさんは、どうしたものかと考えている感じで、僕はそこを攻めようと更に言います。
「ここには女性貴族はいませんよね、その為の練習は絶対必要ですよ」
木の剣を地面に置き、僕はお願いのポーズを取ります。上目遣いで手を前にしてみあげたんだ。
正直、元大学生の僕には抵抗がある仕草です。だけどダリアさんには抜群に効いたみたいで、剣を落とし口を手で抑えて赤くなり、可愛いっ!と言わせるまでに動揺させたんだ。
「ダリアさんが今発言したみたいに、僕は行動しないと相手には伝わらない、それを進めるのが会話だと思うんだ」
恥ずかしいけどそのままで話すと、ダリアさんは真剣に聞いてくれた。ここが勝負どころだと、更に目を潤ませて見た。ダリアさんはフニャって顔を緩ませたね。
「ダリアさん、女性貴族と結婚行為をする時、相手の事をほとんど知らないでしょ?ただ行為をするだけじゃきっと相手も楽しくないよ、話をして雰囲気を作るのは大切だと僕は思う。ダリアさんもそう思わない?」
「まぁたしかにそうですが・・・わたくしたちは身分が違うのですよアレシャス様」
そこで身分が壁となって現れますが、ダリアさんの顔は反対はしてなくて良い傾向だと、ここで押し通る事を決意します。
女性貴族を先生にするわけにはいかない、だからダリアさんたちはその代わり、ここにいる間は誰もが女性貴族と同じだと説得です。
「ですが身分は絶対です」
「でもさダリア、僕とこうして話しているじゃないか、ここは男性貴族を教育する屋敷で例外なんだよ、女性貴族と仲良く出来る様に僕は練習したい。だからねダリア、僕にそんな練習をさせてよ、いろいろお話ししようよ」
僕は少しハニカんだ笑顔をして、これが僕の精一杯の言葉だと伝えたんだ。国が決めている教育方針には反していないし、ここはそれを覚えさせるための施設だから、断る必要はないんだ。ダリアさんもそれが引っかかり悩んでいて、より優秀な男性貴族を指導するには、それが1番良いと最後のダメ押しをしたんだ。
「なるほど、より優秀になる為にですね・・・良いでしょうアレシャス様!」
最後の言葉が決め手になったのか、ダリアさんの目が僕をジッと見て来て賛成してくれた。だけど僕の話を聞き入れてくれたはずのダリアさんが、どうしてか興奮していたんだ。
僕の手を取り、どうしてか目も潤んでいる感じで、どことな~く怖かった。顔も近くてテレてしまった僕は、横を向き何を話そうか考え、好きな食べ物は何かと聞いたんだ。
「わたくしは小さな男の子が好きです」
はい?っと、逸らしていた顔を戻して正面を向くと、ダリアさんの赤くなった顔がデレ~っとしています。これはまずいのかと思ったけど、時すでに遅しで手を離して貰えません。
そして事態は更に悪い方向に向かう様で、結婚活動の練習を参加型にしようと提案されます。
「そ、それってつまり」
「ええそうですよアレシャス様、今まではわたくしたちの行為を見て学んでもらっていました。ですが今日からはアレシャス様も参加して頂き、中心になって行為を致します」
僕はそれを聞いて「はい?」っとまたまた疑問符を浮かべて答えたよ。参加型なのでお話も出来るし、仲良くなるには最適とダリアさんは言いますが、僕が8歳だと言う事を忘れている感じです。
興奮しているダリアさんにどう言うのが良いか、僕は急いで必死に考えたけど良い案が浮かぶわけもなく、早速みんなに広めようと、とんでもない事態になってしまったよ。
「あのねダリアさん、ちょっと待ってくれないかな?」
「安心してくださいアレシャス様、本来ここを出る直前に私たち数名がお相手している訓練ですから、わたくし共は慣れていますのでしっかりとお相手いたします。わたくしは正直、アレシャス様にはやる気がないと思っておりました、しかしそうではなかったのですねっ!これからは就寝前の時間を少々多めに頂いて、場所も別室で行う事にいたしましょう」
もう止められない!?そう思える勢いのダリアさん。力説を済ませたダリアさんから指輪を貰い、これは嫌な予感がすると汗がジワ~っと出て来たよ。
ダリアさんから受け取った指輪は【精通の指輪】と言うモノで、僕の身体を強制的に準備させる魔法の指輪だったんだ。ほんとに後戻りが出来ないのか、ダリアさんを止めようと声を掛けた僕は見た、ダリアさんの目がマジなモノに変わり、今日は楽しみと瞳に書いてありましたよ。
「あ、あのねダリアさん・・・精通を早めたら、僕の身体が持たないかもしれないし、止めないかな?」
「ご心配いりませんよアレシャス様、例年では1年後の使用となっていますが、アレシャス様の様に早かった例もあります」
マセた男の子もいたと、その時の事を思い出すダリアさんはとてもニヤケていて、今までの清楚でキリっとしたカッコよさが無くなっています。
妄想に突入したのか、ダリアさんはブツブツと呟き始め、僕の言葉は耳に入りません。デヘヘ~っと顔を緩ませてしまうダリアさんを見て、僕は顔をヒクヒクさせて後ろに引きました。
女性だけではないけど、人にはいろいろな性癖を持った人がいて、そこを攻めた僕の考えが浅はかだったと反省です。
「まぁ、これで会話が出来る様になるんだし、結果オーライって事で切り替えないとだね」
転んでもそのままにせず、柔軟に対応しなくてはいけません。それこそが優秀な男性貴族だと、僕は勝手に答えを出してため息を付きます。
だけどね、やっと決意した僕にも限度があります。ダリアさんの暴走が始まり、ニヤケたままで手をワキワキさせて迫って来たんだ、僕は何も言わずに逃げ出したよ。
「あん、どうして逃げるのですかアレシャス様」
「どうしてって、それは逃げるでしょっ!!」
そんな顔をして迫って来る人がいたら誰だって即決で逃げると、後ろを振り向かずに叫びます。ダリアさんは優しくするからとか、安心してと言って来るけど信じられるはずないです。
昨晩僕は命懸けで戦いました。だけど今の方が命の危険を感じています。だってあの時は逃げずに剣を持って戦った、それなのに今回は即決で逃げを選択した。こんなに必死で走ったのは前の身体でもありませんよ。
「ぬふふ、捕まえましたよアレシャス様」
とは言っても、8歳の僕の全力が大人の足に敵うわけもなく、ダリアさんに数分で捕まってしまった。後ろから抱きしめて来るダリアさんは、もう身分とかなんて頭にない顔をしている事でしょう。振り向いて確認するまでもなく、後ろから僕の頬をスリスリとして来て確信した。美人のダリアさんでなかったら、僕はゾッとしていたかもしれません。
「アレシャス様は良い匂いがしますね。それに朝のキリっとした顔も良いですが、弱弱しい今の顔も素敵です」
「ちょちょっ、ちょっと待とうよダリアさんっ!!結婚行為はまずいよね、子供とか出来たら大変だよ」
僕の頬にキスをしてくるダリアさんを止める為とは言え、苦し紛れなのは言うまでもありません。だけど僕は何とか逃げようと説得を始めた、剣術の稽古で汗をかいた僕の身体をクンクンと嗅ぎ、良い匂いと言ってくる女性はまぎれもなくショタ属性の人です。今夜はきっとダンジョンには行けないと予感させるダリアさんの変貌に、何とか抵抗したかったんだ。
「わたくしたちの心配をしてくれるのですね、アレシャス様はお優しい」
元から計画されていた事で、僕以外も何人も教育をして来たダリアさんたちです。そんな事に対策をしていないわけもなく、後ろからの抱きしめが緩んだと思った瞬間、僕の身体は宙に浮いたまま180度くるっと回転し、ダリアさんと対面する様に正面を向かされた。
「正面から見るとほんとに可愛い」
「ちょっとダリアさん」
まるで人形を扱う様にダリアさんに脇を持たれ、視線は背の高いダリアさんと同じ位置で僕の足はプラプラです。逃げる事も抵抗も出来ない状態で、僕はニッコリして止めようねっと心で訴えたけど、それが無駄な足掻きなのは言うまでもなく、ダリアさんの見せる笑顔がとても怖く見えました。
「ご安心くださいアレシャス様、あくまでも練習ですから、避妊の指輪もご用意してございます。しっかりと練習ができますよぉ~」
ポケットから新たな指輪を出して説明してくれるダリアさん。だけどそこには昨日までの女性はいません、僕はそれを見てもうダメだと悟りました。
でも僕は挫けませんっ!!少しでもダンジョンに入れる様にお願いできないか、手加減をお願いする事にしたんだ。
「じゃ、じゃあ今夜はダリアが相手をしてくれるんだね」
「勿論ですよアレシャス様!!最初ですから優しく致しますよぉ~」
「そそそそうだね、そうしてくれると助かるかな、出来ればほんとにソフトにお願いね」
昨晩もあまり寝ていないのを分かって貰う為、僕はウインクをして注目させました。だけどそれは逆効果だった様で、ぬいぐるみを抱きしめる少女の様に、ダリアさんにぎゅっとされてしまいます。
そしてあまり聞きたくない情報が耳元で呟かれ、僕はマジかよっと屋敷に視線を向けました。
「メイドさんたち、みんな小さな男の子が好きなの?」
「当然じゃないですかアレシャス様!小さくて可愛い男の子が背伸びをしている姿が見たくてみんなここにいるのです。わたくしはその中でも乱れる姿が好きで、もう最っっっっ高ですっっ!!!」
ダリアさんの抱きしめが強くなり、うわぁ~っと逃げたくなりました。死闘を生き抜き決意したばかりなのに、僕はもうだめかもしれない。
マルタごめんねっと念を飛ばした僕だけど、その日はずっとダリアさんに抱かれて過ごし、食事もダリアさん経由でお風呂も一緒と悪い気はしていませんでした。
ダリアさんが木の剣を片手に持ち、構えずに剣先を地面に付けて待ってくれます。僕は上段から剣を構え走り込んで振り下ろすと、ダリアさんは軽い感じに剣を振り上げ、僕の剣を弾いて来た。その威力はただ振り上げたものとは思えないほど強くて、僕は木の剣と共に後ろに飛ばされたよ。
「くぅ~すごい威力、手がしびれたよ」
「まだまだこれからですよ、さぁ掛かって来てくださいアレシャス様」
剣術の稽古以外は他にも、ダンスや礼儀作法とやることはたくさんあります。明日は礼儀作法と言われているけど、身体を動かすのは楽しくて好きなんだ。
「たぁっやぁっ」
横なぎを避けられた後、その勢いを殺さずに体を一回転させて下段から振り上げた一撃を繰り出した。ダリアはそれを余裕で受けるけど、その後は笑顔になったんだ。
「良い太刀筋でしたよアレシャス様、お家ではしっかりと訓練をしていたんですね」
ダリアさんは、母さんと違い褒めてくれます。だけどそれは褒めて伸ばす方針なだけだなのは分かってる。でも僕は嬉しくてもう一度構えを取る、今度は走り込まず中段に構えて1歩ずつゆっくりと近づいた。
「今度は慎重ですね。ですが見え見えですよ」
「うぇっ!?」
ダリアからの攻撃が来るとは思わず、僕は一撃を剣で受けてしりもちを付きました。ダリアは笑って手を貸してくれて僕は立ち上がった。
大振りはしないで小さくコンパクトに振り抜くと、ダリアさんの剣はそれに合わせて来る。でも今度は飛ばされずに対応できました。衝撃は手に響きカンと木のぶつかる乾いた音が庭に広がったよ。
「ほんとに良い動きですねアレシャス様」
「ほめ過ぎだよダリア先生、僕は身体を動かす方が好きなだけ、ダリア先生ほどじゃない」
更にカンカンと木のぶつかる良い音を出しながら剣を交え、お喋りをしつつ稽古が続いた。この隙に僕はダリアに質問しようと考え、色々な質問をしてみました。でもダリアさんはそれには答えず、無駄口が多いと剣を強めに合わせて僕はまたしりもちを付いた。
「ひどいよダリア先生」
「お喋りをして戦いをするなんてありえないからです。さぁ続きをしますよ、構えてください」
「ちぇっ」
やっぱりダリアさんはガードが堅いと、手加減をしてるダリアさんの弱い部分を探したよ。授業とかで一番話すのにこれじゃ先に進めない、ちょっと方向を変えてみようと剣を降ろして考えた。
「どうしましたアレシャス様」
「ダリア、会話ってそんなに邪魔な物かな?女性貴族との会話は大切だと思うんだけど、このままだと僕は女性貴族と仲良くできないよ」
「・・・」
無言のダリアさんは、どうしたものかと考えている感じで、僕はそこを攻めようと更に言います。
「ここには女性貴族はいませんよね、その為の練習は絶対必要ですよ」
木の剣を地面に置き、僕はお願いのポーズを取ります。上目遣いで手を前にしてみあげたんだ。
正直、元大学生の僕には抵抗がある仕草です。だけどダリアさんには抜群に効いたみたいで、剣を落とし口を手で抑えて赤くなり、可愛いっ!と言わせるまでに動揺させたんだ。
「ダリアさんが今発言したみたいに、僕は行動しないと相手には伝わらない、それを進めるのが会話だと思うんだ」
恥ずかしいけどそのままで話すと、ダリアさんは真剣に聞いてくれた。ここが勝負どころだと、更に目を潤ませて見た。ダリアさんはフニャって顔を緩ませたね。
「ダリアさん、女性貴族と結婚行為をする時、相手の事をほとんど知らないでしょ?ただ行為をするだけじゃきっと相手も楽しくないよ、話をして雰囲気を作るのは大切だと僕は思う。ダリアさんもそう思わない?」
「まぁたしかにそうですが・・・わたくしたちは身分が違うのですよアレシャス様」
そこで身分が壁となって現れますが、ダリアさんの顔は反対はしてなくて良い傾向だと、ここで押し通る事を決意します。
女性貴族を先生にするわけにはいかない、だからダリアさんたちはその代わり、ここにいる間は誰もが女性貴族と同じだと説得です。
「ですが身分は絶対です」
「でもさダリア、僕とこうして話しているじゃないか、ここは男性貴族を教育する屋敷で例外なんだよ、女性貴族と仲良く出来る様に僕は練習したい。だからねダリア、僕にそんな練習をさせてよ、いろいろお話ししようよ」
僕は少しハニカんだ笑顔をして、これが僕の精一杯の言葉だと伝えたんだ。国が決めている教育方針には反していないし、ここはそれを覚えさせるための施設だから、断る必要はないんだ。ダリアさんもそれが引っかかり悩んでいて、より優秀な男性貴族を指導するには、それが1番良いと最後のダメ押しをしたんだ。
「なるほど、より優秀になる為にですね・・・良いでしょうアレシャス様!」
最後の言葉が決め手になったのか、ダリアさんの目が僕をジッと見て来て賛成してくれた。だけど僕の話を聞き入れてくれたはずのダリアさんが、どうしてか興奮していたんだ。
僕の手を取り、どうしてか目も潤んでいる感じで、どことな~く怖かった。顔も近くてテレてしまった僕は、横を向き何を話そうか考え、好きな食べ物は何かと聞いたんだ。
「わたくしは小さな男の子が好きです」
はい?っと、逸らしていた顔を戻して正面を向くと、ダリアさんの赤くなった顔がデレ~っとしています。これはまずいのかと思ったけど、時すでに遅しで手を離して貰えません。
そして事態は更に悪い方向に向かう様で、結婚活動の練習を参加型にしようと提案されます。
「そ、それってつまり」
「ええそうですよアレシャス様、今まではわたくしたちの行為を見て学んでもらっていました。ですが今日からはアレシャス様も参加して頂き、中心になって行為を致します」
僕はそれを聞いて「はい?」っとまたまた疑問符を浮かべて答えたよ。参加型なのでお話も出来るし、仲良くなるには最適とダリアさんは言いますが、僕が8歳だと言う事を忘れている感じです。
興奮しているダリアさんにどう言うのが良いか、僕は急いで必死に考えたけど良い案が浮かぶわけもなく、早速みんなに広めようと、とんでもない事態になってしまったよ。
「あのねダリアさん、ちょっと待ってくれないかな?」
「安心してくださいアレシャス様、本来ここを出る直前に私たち数名がお相手している訓練ですから、わたくし共は慣れていますのでしっかりとお相手いたします。わたくしは正直、アレシャス様にはやる気がないと思っておりました、しかしそうではなかったのですねっ!これからは就寝前の時間を少々多めに頂いて、場所も別室で行う事にいたしましょう」
もう止められない!?そう思える勢いのダリアさん。力説を済ませたダリアさんから指輪を貰い、これは嫌な予感がすると汗がジワ~っと出て来たよ。
ダリアさんから受け取った指輪は【精通の指輪】と言うモノで、僕の身体を強制的に準備させる魔法の指輪だったんだ。ほんとに後戻りが出来ないのか、ダリアさんを止めようと声を掛けた僕は見た、ダリアさんの目がマジなモノに変わり、今日は楽しみと瞳に書いてありましたよ。
「あ、あのねダリアさん・・・精通を早めたら、僕の身体が持たないかもしれないし、止めないかな?」
「ご心配いりませんよアレシャス様、例年では1年後の使用となっていますが、アレシャス様の様に早かった例もあります」
マセた男の子もいたと、その時の事を思い出すダリアさんはとてもニヤケていて、今までの清楚でキリっとしたカッコよさが無くなっています。
妄想に突入したのか、ダリアさんはブツブツと呟き始め、僕の言葉は耳に入りません。デヘヘ~っと顔を緩ませてしまうダリアさんを見て、僕は顔をヒクヒクさせて後ろに引きました。
女性だけではないけど、人にはいろいろな性癖を持った人がいて、そこを攻めた僕の考えが浅はかだったと反省です。
「まぁ、これで会話が出来る様になるんだし、結果オーライって事で切り替えないとだね」
転んでもそのままにせず、柔軟に対応しなくてはいけません。それこそが優秀な男性貴族だと、僕は勝手に答えを出してため息を付きます。
だけどね、やっと決意した僕にも限度があります。ダリアさんの暴走が始まり、ニヤケたままで手をワキワキさせて迫って来たんだ、僕は何も言わずに逃げ出したよ。
「あん、どうして逃げるのですかアレシャス様」
「どうしてって、それは逃げるでしょっ!!」
そんな顔をして迫って来る人がいたら誰だって即決で逃げると、後ろを振り向かずに叫びます。ダリアさんは優しくするからとか、安心してと言って来るけど信じられるはずないです。
昨晩僕は命懸けで戦いました。だけど今の方が命の危険を感じています。だってあの時は逃げずに剣を持って戦った、それなのに今回は即決で逃げを選択した。こんなに必死で走ったのは前の身体でもありませんよ。
「ぬふふ、捕まえましたよアレシャス様」
とは言っても、8歳の僕の全力が大人の足に敵うわけもなく、ダリアさんに数分で捕まってしまった。後ろから抱きしめて来るダリアさんは、もう身分とかなんて頭にない顔をしている事でしょう。振り向いて確認するまでもなく、後ろから僕の頬をスリスリとして来て確信した。美人のダリアさんでなかったら、僕はゾッとしていたかもしれません。
「アレシャス様は良い匂いがしますね。それに朝のキリっとした顔も良いですが、弱弱しい今の顔も素敵です」
「ちょちょっ、ちょっと待とうよダリアさんっ!!結婚行為はまずいよね、子供とか出来たら大変だよ」
僕の頬にキスをしてくるダリアさんを止める為とは言え、苦し紛れなのは言うまでもありません。だけど僕は何とか逃げようと説得を始めた、剣術の稽古で汗をかいた僕の身体をクンクンと嗅ぎ、良い匂いと言ってくる女性はまぎれもなくショタ属性の人です。今夜はきっとダンジョンには行けないと予感させるダリアさんの変貌に、何とか抵抗したかったんだ。
「わたくしたちの心配をしてくれるのですね、アレシャス様はお優しい」
元から計画されていた事で、僕以外も何人も教育をして来たダリアさんたちです。そんな事に対策をしていないわけもなく、後ろからの抱きしめが緩んだと思った瞬間、僕の身体は宙に浮いたまま180度くるっと回転し、ダリアさんと対面する様に正面を向かされた。
「正面から見るとほんとに可愛い」
「ちょっとダリアさん」
まるで人形を扱う様にダリアさんに脇を持たれ、視線は背の高いダリアさんと同じ位置で僕の足はプラプラです。逃げる事も抵抗も出来ない状態で、僕はニッコリして止めようねっと心で訴えたけど、それが無駄な足掻きなのは言うまでもなく、ダリアさんの見せる笑顔がとても怖く見えました。
「ご安心くださいアレシャス様、あくまでも練習ですから、避妊の指輪もご用意してございます。しっかりと練習ができますよぉ~」
ポケットから新たな指輪を出して説明してくれるダリアさん。だけどそこには昨日までの女性はいません、僕はそれを見てもうダメだと悟りました。
でも僕は挫けませんっ!!少しでもダンジョンに入れる様にお願いできないか、手加減をお願いする事にしたんだ。
「じゃ、じゃあ今夜はダリアが相手をしてくれるんだね」
「勿論ですよアレシャス様!!最初ですから優しく致しますよぉ~」
「そそそそうだね、そうしてくれると助かるかな、出来ればほんとにソフトにお願いね」
昨晩もあまり寝ていないのを分かって貰う為、僕はウインクをして注目させました。だけどそれは逆効果だった様で、ぬいぐるみを抱きしめる少女の様に、ダリアさんにぎゅっとされてしまいます。
そしてあまり聞きたくない情報が耳元で呟かれ、僕はマジかよっと屋敷に視線を向けました。
「メイドさんたち、みんな小さな男の子が好きなの?」
「当然じゃないですかアレシャス様!小さくて可愛い男の子が背伸びをしている姿が見たくてみんなここにいるのです。わたくしはその中でも乱れる姿が好きで、もう最っっっっ高ですっっ!!!」
ダリアさんの抱きしめが強くなり、うわぁ~っと逃げたくなりました。死闘を生き抜き決意したばかりなのに、僕はもうだめかもしれない。
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