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1章

7話 魔族の決まり

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マエノのお話は、いつものおじいさんとおばあさんのお話で、アタシが前に聞いた変身した後のモノでした。


「て、敵襲うぅぅーー!!」


とても大きな声と共に、鐘の音がその国のお城に響き渡り、兵士たちは武器を持って廊下を走ります。


「敵は何人だ!」
「はっ!二人と報告されています」
「二人だと!?たった二人か?」
「はい、とても腕の立つ者の様で、その容姿は炎の化身の様だったと」


何をバカなと、報告を聞いた魔族は廊下を走り、問題の襲撃者の前に立ち、その容姿から報告通りだと冷汗を流します。
問題のふたりの内、一人はピンク色の魔人と噂されている者と分かり、誰も近ずこうとしません。


「な、何者だ貴様!?」
「おやおや、事の重大さが分かってないようじゃな、どうしたものかのうばあさんや」
「じいさんや、下の者たちに言っても仕方ないですよ、急いで魔王に言わなくてはなりませんよ」


ふたりがそんな話をした為、魔族は剣を抜き通路を通れない様陣を組みます。
ですが、その間を魔人たちは通り過ぎていきます。


「は、早い!?」


魔族たちは振り返りますが、そこには魔人の姿は既になく、速度の差を痛感します。
そして急ぎ魔王の元に走りますが、玉座の間に着くと、魔王が倒れていました。


「「「「「魔王様!!」」」」」


魔族たちは大声で叫び、倒れる魔王の傍に走ります。
それを魔人たちは見ているだけで、そんな魔人から命は取ってないと知らされます。


「何故こんなことをした!」
「何も知らないんだねぇ~」
「ばあさんや、そう怒るでない、下の者とはこんな物じゃよ」


魔人となったおじいさんは、魔族に粛清だと告げました。
魔族はそれを聞き、勇者なのかと叫びます。


「勇者?」
「魔王を倒すのは勇者の仕事だ!違うとは言わせんぞ」
「おやおや、じいさんや参ったねぇ」
「そうじゃのう・・・お主、聞いてなかったのか?魔王の命は取っておらんぞ」


そう言えばっと、魔族はキョトンとした顔をして、魔王様の胸が上下している事を確認します。


「しばらくすれば、松茸も安定してツノとなるじやろう、そうなれば目を覚ます、その時は美味いもんでも食べさせると良いぞい」
「ど、どうしてこんなことをしたんだ、お前たちは何者だ」
「ワシたちの事は良いんじゃよ、のぅばあさんや」
「そうなんじゃよ、次もあるでなぁ~」


魔人たちはそう言って姿を消し、そこから魔族の国は友好的になり平和になりました。


「めでたしめでたし」


マエノは、話を終わられるいつもの言葉を口にしたけど、全然分からないと突っ込みましたよ。


「サザンカ様、分かりませんか?」
「分からないわよ、魔王はどうなったのよ、それに他にも何かしたんでしょ?」
「ええ、人族たちにはタケノコを使いましたが、魔族はもっと強力なモノが必要だったので、この松茸を植えさせてもらいました」


キノコを何処からか出して来て、マエノは魔族の浄化をしたと言ってきたわ。
ある程度知ってるアタシは、なるほどっと思ったのだけど、他の人達は分からないって顔よ。


「今、魔族が倒れてるのはそれのせいなのね」
「さすがサザンカ様、隠れていた魔族も香りにやられたのですよ」


そう言えばっと、会場に少しだけ広がる香りに気付いたわ。
そして、マエノが問題とした魔王の指示だったかは、行ったかに戻り、マエノは不可能と言ってきました。


「な、何を言ってる、オレはほんとに」
「だって、この事を教えてくれたのは、何を隠そうその魔王なんだよ」
「「「「「え!?」」」」」


会場中から驚きの声が響き、どういうことだってマエノに視線が集まります。
マエノは、不穏分子を掃討するよう、魔王に依頼されていたと言って来て、なにもかもがマエノの手の平の上だったのが分かったわね。


「血を吐いたのも、それだけ薄まっていたからなんだ、これで元に戻るでしょ」
「く、くそっ!」


ライラックは倒れてしまい、これでほんとにお終いとマエノは笑顔になります。
これで世界の浄化は終わった、そう言ったのが分かり、アタシはちょっと不安になったの。


「マエノ、もしかしていなくなっちゃうの?」
「サザンカ様・・・もう少し姫様の傍にいますよ」


マエノの言葉に、アタシはホッとしたのだけど、マエノの表情を見て考えを変えたくなりました。
マエノの顔は、自力で治したアタシに興味があると、何だか怖かったの。


「へ、変な事はしないでよね」
「サザンカ様の嫌がる事はしません、さぁ晩餐会を楽しみましょう」


マエノの手を取り、アタシは晩餐会の続きを宣言したわ。
怖がってた王子は謝って来たし、魔族たちはしばらくして立ち上がり、怖かった顔に笑顔が溢れ、ツノも立派に伸びてた。
とても和やかなんだけど、アタシは手を離してくれないマエノが気になって仕方なかったわ。
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