もしも学校の椅子がトイレの椅子だったら

五月萌

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126 旅行2日目

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翌日。
「「あけましておめでとう、たい!」」
「あけおめ、葉阿戸は?」

「風呂」と茂丸。

旅館の温泉では葉阿戸が早朝入った。
僕はいちや竹刀などにあけましておめでとうメールを返した。

「昨日はよく寝れたか? 俺達は寝不足だぞ?」
「……結局完徹したのか」

僕は呆れた顔をする。

「あ、景色いいな!」

僕は窓の外を見ると遠くに山が見えた。下を見ると長く湖が続いている。太陽が出始めている、いわゆる初日の出だ。

「おまたせ。たい、あけおめ」

葉阿戸が浴衣を着て帰ってきた。
ビジュアルが国宝級だった。

「あけましておめでとう」

僕は慌てて早口になる。
その後。軽い朝食を食べ終わる。
今日の予定は新幹線で金沢まで行って、タクシーで兼六園まで移動する。

「気楽だなー、旅行会社に頼んだらもっとせかせかしなくちゃだったよ」

僕らはのんびりと旅館を出て予定の帳尻を合わせる。
兼六園に着いた。そこでは入口付近の店のみたらし団子を食べた。
甘くて何本でも食べれそうだった。
兼六園に隣接している金沢城はものすごい人だかりで行くのを諦めた。
明日多里少が恨めしげに見つめている。
遠くからカメラを通して見ると白と黒のコントラストがいい。

「金沢城は昔焼けたことがあるんだよ、それも何回も。その都度再建、修復されていたんだ」

僕はおぼろげだったがなんとなくそのことを思い出した。
兼六園や葉阿戸の自撮り棒で写真を撮った。
売店でお土産を選んだ。
そのうちに雪が降ってきた。

「わあ、雪だ」
「兼六園は雪が積もった風景が魅力なんだけど、今降り出してもなぁ」
「寿司行こうぜ?」
「急ですな」
「11時半だぞ」

僕らはタクシーの運転手に寿司屋を聞いて、やってきた。しかし、皆考えることは同じで7組待ちの状態だった。

「こんな寒空の中待つのか?」
「仕方ないじゃないですか。タクもう行っちゃったし」
「姉さんは待合の椅子に座っててください」

僕は明日多里少を屋根付きの椅子に座らせると、周りの景色を見た。昨日来た某市場は今日は休みのようで、がらっとしていた。一瞬、放心状態になる。
(昨日買えてよかった)

「後、何分だ、こら?」
「20分くらいじゃないですか」

雪がしとしとと降る。積もっていく雪。
いきなり茂丸が僕の首元から背中に雪をこぶし大ほど入れてきた。
僕は、飛び跳ねた。

「おぎゃあ! なにするんだよ!?」

僕と茂丸は雪合戦していた。
葉阿戸と明日多里少はくだらないものを見ているかのようだった。

「17番でお待ちのお客様ー」

店員が呼んでいる。

「あ、俺らだ」

葉阿戸はさっさと寿司店に入っていく。
僕は手がかじかんで痛かった。

「割り勘だよな?」

明日多里少は悪魔のように囁く。

「はい」
「カニ2貫、中トロ2貫、いくら2貫、ウニ2貫、後、店長のおすすめの大皿」
「また高そうなものを」
「皆も頼めばいいだろ」
「僕もおすすめで」

僕は寿司のおすすめの握りの大皿にした。

「俺はこだわりのほうで」

もう1つの大皿を葉阿戸が頼む。

「俺もこだわり!」

寿司が届けられると、皆一斉に手を合わせて食べ始めた。

魚のあらの出汁のスープ、もしくは海老の出汁のスープを店員が持ってきた。

寒い中、体の温まる美味しい料理を堪能した。
店を出る頃には体がポカポカしていた。

「「「ご馳走様でした」」」

僕らはきちんと割り勘で精算し、外へ出た。
新幹線では雪がカチカチなって寝れなかった。駅につく。

「俺、トイレ」

茂丸が言い出すと途端に尿意をもよおす。

「僕も」
「あーしも」
「俺待ってるね」

葉阿戸はそういいながら、近くにある公衆トイレの前で待つことになった。
しばらくして、僕は一番に出た。

「葉阿戸、おまたs」
「へい、そこの彼女、俺とデートしない?」
「え?」

僕は仰天する。身の毛がよだつ。
1人のちゃらそうな金髪の男に、葉阿戸がナンパされていた。

「悪いな、こう見えて、ティーン・エイジャー、DKさ」
「男かよ! なんだよー。それでマッ◯、行かない?」
「旅行中なんだ。俺彼氏いるし。お! きたきた」

葉阿戸が僕に気づいて、手をこちらに向けた。

「なんだ、じゃあ、またね」

ナンパ師は人通りの中に消えていった。

「じゃあなー」

葉阿戸はごく自然に受け流していた。ナンパに慣れているようだった。

「あのさ」
「遅い! 10秒で出てこい」
「おしっこの平均時間は16秒と聞くけど」
「君、俺がどうなってもいいのか?」
「それは違うけど」

言ってる最中に、茂丸と明日多里少と合流した。

「何々? どうした?」
「どうせ、こいつがポンコツだったんだろ」
「いや、俺がナンパされてるの指くわえてみてるんだもん」

葉阿戸は僕のトイレから出た時の存在に気づいていたようだった。

「なんというか、すみません」
「もう、行こうぜ!」

そして、駅でお土産を買い漁った。何時間もかかっている内に夕方が近づいてきた。

「旅館に帰るか」
「「「おー!」」」

僕らは旅館に行き、そこでもおみやげコーナーにたむろした。
そして夕食の時間になった。

「今度の夕食は何でしょうか?」

僕は料理の前に置かれた紙を手に取った。
前菜、造里、漬物、中皿、お凌ぎ、蓋物、揚物、酢物、食事、吸物、香の物、デザートだ。詳細も書かれている。

「「「いただきます」」」
「すみません、生ビール1とコーラ3お願いします」
「かしこまりました」

店員は迅速な反応で、ドリンクを持ってきた。

「あけおめ、ことよろ、乾杯」
「「「カンパーイ」」」
「いやー早かったな、明日帰るんか」

僕の言うことは無視されて、皆カニご飯を食べたり、てっちりを食べたりしている。

「クラスの皆に自慢できちゃうな」

「……たい、うっさい」と葉阿戸。

「なんだよ、皆して! もういい、僕は部屋の風呂入ってさっさと寝ちゃうもんね」

僕はものすごいスピードでご飯を平らげて、席をたった。

「すみません、まだ布団敷いてないんです、少し待ってもらえますか?」

旅館の女将と従業員が僕らの部屋で行ったり来たりしていた。

「はい」

僕は暗くなった外を見て人恋しくなった。
今日は早く寝ようと決心した。
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