もしも学校の椅子がトイレの椅子だったら

五月萌

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102 修学旅行当日3

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3日目
僕は6時に起きた。
今日は曇っていて雨が降りそうだ。海も濁って見える。
竹刀はというといつの間にか自分の布団でうつ伏せてハンケツになりながら眠っていた。

「おはよう、たい、今日も早いね」

隣でいちの声がする。

「おはよう」

葉阿戸も起きてきた。

「竹刀君、起きてー」
「うーん。さて、ここで問題、女子が女になるには何ヶ月かかると思う?」
「は?」
「答えは……」

竹刀は立ち上がると、腰を前に突き出した。

「答えは一突きひとつき!」

竹刀はそれだけ言うと、部屋を出ていく。

「なんだ、あいつ」
「さあ?」
「さてと、メイクしよ」

葉阿戸は鏡を取り出して、メイクを始めた。

「今日もビュッフェだよね?」といちはよだれを垂らす。

「今日は焼き魚の気分だな」
「古風だね」
「人生何周目だよ」

葉阿戸がツッコむ。

「いいだろう、別に。話してないでメイクはよ」
「鯛の刺身が出てきたらどうする?」
「たい、共食いになっちゃう」
「やめて。そういう事言うのやめて」

僕が怒ると2人は笑う。

「「ははは」」

葉阿戸のメイクが終わる頃、竹刀が帰ってきた。
竹刀は甚平から私服に着替える。

「竹刀君いつも朝どこ行くの」
「便所。お前ら朝勃ちしないの?」
「するけど? ナイーブないちの前で下ネタ言うな」
「いいや、いちだって、はーちゃん見てシコシコするよな」
「やめろよ、朝飯が不味くなる」
「そうだよ、ご飯出遅れちゃうから行こうよ。ちなみにうちはひとりHしないから」

いちの言葉に僕は頷き、2人で部屋を出て食堂へ向かう。

「んだよ、つまんね」
「いち、ナイスぅ」

葉阿戸は笑いながら、竹刀は眉間にシワを寄せて、僕らの後を追いかける。

「よう、兄貴」

洲瑠夜がエレベーターに一緒に乗り込む。

「よお、やっぱ女がいねーと、張り合いないな」
「はーちゃんがいるのに何を馬鹿なことを」
「たいにご執心だからなー」
「あーそういうことね!」
「やめろよ、人前で」
「葉阿戸は皆に優しいんだよ! 僕だけじゃない」
「そうじゃない。……恥ずいだろ」

エレベーターが開く。

「お、サンマの匂いがする」
「たー君、サンマ好きなの?」
「今度、たー君って言ったら、あんたの前で四谷怪談の主人公の名前叫びまくるからな」
「お前も呪われるぞ?」
「いいから、行こうよ」

いちに背中を押されて、朝の食堂に着いた。

「味噌汁、ご飯、サンマ、……マンゴー杏仁豆腐も付けとくか?」
「日本人か!」
「そうだよ!?」

僕は再び茂丸に声をかけられるとともにツッコまれる。
茂丸のプレートはギチギチに詰め込まれている。カレーのライスがチャーハンだ。

「太りそうー」
「動くからいいんだよ。そういうお前はそんな質素なご飯なのにデブだよな」
「だ・ま・れ!」
「じゃあなー」

茂丸はキザに笑うと遠くの席に行った。
僕はソファ席が空いたのでソファ席で食べ始めた。すぐに食べ終わると片す。

「ホテルの周りでも回るかな」
「俺も行く!」

葉阿戸は僕の独り言に反応した。
僕らは空き時間にホテルの周りを歩いた。
沖縄ならではの樹木が生えている。坂を登る。
のっぴきならない、太鼓を叩いている黒い肌の外国人達が目の前ですれ違う。

「たい、目を合わせないで」
「うん」

僕は(なんだろう)と思いながら、地面を見て進む。
通り過ぎた。

「宗教の本を買わせる外国人達だよ」
「ああ、そうなんだー」
「危なかったね、たい」
「ありがとう」
「さあ、一周しようか」
「うん」

僕は葉阿戸と手を繋いだ。人目をはばからずキスをするなんて事はしない。葉阿戸の手は冷たくて気持ちよかった。むず痒い気持ちで宿泊施設の周りを回った。
そして集合時間だ。
僕ら、学年で歩いてM駅を目指した。
M市駅前のバスに乗り込む。
糸満市まで1時間20分ほどで到着した。

「ここが平和記念公園!」

僕らは走った。
ロケーションは最高だ。海が見える。沢山の相対した黒い石板に人の名が刻まれている。
僕は平和であることのありがたみを後世に繋ぐ決意をすることになった。
修学旅行も大詰めだ。
天気は雲がかっているが、橋本に皆の集合写真を撮ってもらった。
再びバスに乗り込み、M市駅まででゆいレールに乗り換え、那覇空港まで向かった。
ボフ!
誰かが屁をこいた。

「やめろよ、満」
「俺じゃねえよ、お前だろ、ボッキマン」
「俺ちゃうて」
「じゃあ、たい、お前か?」
「どうでもいいから、静かにしろよ」
「あー俺だー、ごめんー」
「「「はっしーかよ!!!」」」

皆で橋本を見つめた。
最後まで楽しかった。
飛行機に乗り、事故もなく羽田空港に到着した。
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