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「え!? もしかしてなにか知っているんですか?」
「図星のようね。月影《げつかげ》を倒し、音楽で一世を風靡した、石井太陽さんでしょ? 私が結婚する前に一緒に演奏したことがあるんだ。私がまだ10代だったかな」
「月影? 月影ってなんですか?」
「太陽さんの息子なのに何も知らないの? でももう大分前のことだしねえ。あえて言わないのかなぁ? 月影っていうのは月のエネルギーで育った肉食の怪物よ。日本に振ってきたことがあった。約42年前に地球上の月影は絶滅したと言われているわ」
「父が今どこにいるのか、わかりますか?」
「カジノで大コケして、奥さんの言いなりになっているという噂なんだけど」
小春は悲しみに暮れる顔をする。
優陽は次の言葉を早く聞きたかった。
「ということはもしかして家にいるんですか? どうなんですか?」
「それはわからないけど、美優さんがなにか知っているかも知れないわ」
「母は知らないって言ってて」
「そうだ、妹の桜歌ちゃんに聞いてみたらどう?」
「でも、父の妹は結婚しているし、連絡先もわからないし」
「桜歌ちゃん、確かリコヨーテの兵士になっていたはず。電話番号聞くから、ちょっとここで待ってて」
小春は缶コーヒーを飲み干して、ゴミ箱に放ると、クリニックの外に小走りで出ていった。
「なんだか忙しい人だ」
優陽は缶コーヒーを少しずつ飲んだ。
小春が帰ってくると同時刻、缶コーヒーを飲み終えた。
「はい、電話番号。上のは石橋桜歌ちゃん、下のは私、青井小春よ」
「ありがとうございます。でも、なんでこんなに親切に?」
「太陽さんに似てるから。私、昔、太陽さんのことが好きだったんだ」
「え? そうなんですか?」
「まあそのことは置いといて。何か進展があったら教えてくれる?」
「あ、はい、そろそろ給食の時間です。戻りましょう」
ドン!
「ああ、ごめんなさい」
優陽は清掃員にぶつかった。
?
太った清掃員はぶつかったときは微動だにしなかった。何も言わずにクロスを持って、手すりを拭きながら2階への階段をあがっていった。
優陽と小春も2階へ行き、清掃員とすれ違った。
「何だあの人、ぶつかったのに気が付かなかったのか?」
「まあまあ、給食の列に並ぼう」
今日のお昼ご飯はつけ麺と野菜サラダとバナナだった。
セルフでとりに行くのだった。
「「「いただきます」」」
優陽は手を合わせる。
やっと昼飯にありつけた。
喉越しのいい麺と美味しいスープのお陰で、口へ運ぶ手が止まらなかった。
「ご馳走様でした」
まれに見る、早食いでスタッフを驚かせた。
食器類は調理員が洗うため、箱の中に入れた。
「美味しかった?」
新しく会ったスタッフに声をかけられた。黒髪をお団子にしている。化粧はしていない、40代くらいの女性だ。
「はい。あ、あの、僕は石井と言います、お名前聞いてもいいですか?」
「佐藤理恵です。気軽に呼んでね」
「はい」
優陽が返事をすると、どこかに行ってしまった。
午後の活動になるまで奥のソファで待つことにした。
少しの時間がたった頃、「カラオケ大会します」と呼びかけで皆が集まった。
カラオケで皆が本気で歌っているのを聞く。
全員が終わると用紙に記入した。そして、集計の結果、各部門に賞状が手渡される。審査員賞と参加賞のお菓子が全員に配られた。
「それでは帰りのミーティングを始めます。司会をしてくれる方?」
場内がしーんとして、誰も手を挙げなかった。
「はい」
武は空気を読むかのごとく、手を上げた。
「皆さん、お疲れ様でした。今日のプログラムは、午前は散歩、書道。午後はカラオケ大会でした。吉田さんから感想をお願いします」
「特にありません」
「長口さん」
「ゆっくりできました」
「竹山さん」
「カラオケ大会が良かったです」
そして最後の優陽の番はきた。
「散歩が楽しかったです」
「はい、自分もカラオケ大会が楽しかったです。以上です」
武はそう締めくくった。
「自立支援の料金払う人は前に来てください。それでは、お疲れ様でした、気をつけて帰ってください」
理恵が言うと、皆は解散した。
「石井さん、駅まで行くの?」
尚人が声をかけてきた。
「うん」
「一緒に帰ろう?」
「うん」
「何歳だっけ?」
「41歳」
「意外と年いってたんだ。俺は40」
「若く見えるってことかな?」
「そうだね」
2人は料金を支払うと階段を降りに行く。
「長口さんはどのへんに住んでるの?」
優陽は仲良くしてくれる人ができて、つい饒舌になる。
「上りの電車に乗って、30分くらい揺られたところだね。駅からは近いけど」
「車の免許ないの?」
「危ないから運転しちゃだめだって。つーか、教習所に行くお金もないし」
「障害者年金は?」
「2級もらってる、2ヶ月に13万くらいかな」
「僕も3級なんだけど、これからもらう予定」
「あー2ヶ月に9万くらいかな?」
「そんなにくれるんだ」
「早く申請したほうが良いよ」
「わかった」
「石っちさ、ハイスタ好きなの? ステイゴールド聞いてたよね。俺も好きなんだ」
「え、長口さんも好きなの?」
2人は語り合いながら、駅までつく。
上りの電車に乗る尚人と、下りの電車に乗る優陽はそこで別れた。
「図星のようね。月影《げつかげ》を倒し、音楽で一世を風靡した、石井太陽さんでしょ? 私が結婚する前に一緒に演奏したことがあるんだ。私がまだ10代だったかな」
「月影? 月影ってなんですか?」
「太陽さんの息子なのに何も知らないの? でももう大分前のことだしねえ。あえて言わないのかなぁ? 月影っていうのは月のエネルギーで育った肉食の怪物よ。日本に振ってきたことがあった。約42年前に地球上の月影は絶滅したと言われているわ」
「父が今どこにいるのか、わかりますか?」
「カジノで大コケして、奥さんの言いなりになっているという噂なんだけど」
小春は悲しみに暮れる顔をする。
優陽は次の言葉を早く聞きたかった。
「ということはもしかして家にいるんですか? どうなんですか?」
「それはわからないけど、美優さんがなにか知っているかも知れないわ」
「母は知らないって言ってて」
「そうだ、妹の桜歌ちゃんに聞いてみたらどう?」
「でも、父の妹は結婚しているし、連絡先もわからないし」
「桜歌ちゃん、確かリコヨーテの兵士になっていたはず。電話番号聞くから、ちょっとここで待ってて」
小春は缶コーヒーを飲み干して、ゴミ箱に放ると、クリニックの外に小走りで出ていった。
「なんだか忙しい人だ」
優陽は缶コーヒーを少しずつ飲んだ。
小春が帰ってくると同時刻、缶コーヒーを飲み終えた。
「はい、電話番号。上のは石橋桜歌ちゃん、下のは私、青井小春よ」
「ありがとうございます。でも、なんでこんなに親切に?」
「太陽さんに似てるから。私、昔、太陽さんのことが好きだったんだ」
「え? そうなんですか?」
「まあそのことは置いといて。何か進展があったら教えてくれる?」
「あ、はい、そろそろ給食の時間です。戻りましょう」
ドン!
「ああ、ごめんなさい」
優陽は清掃員にぶつかった。
?
太った清掃員はぶつかったときは微動だにしなかった。何も言わずにクロスを持って、手すりを拭きながら2階への階段をあがっていった。
優陽と小春も2階へ行き、清掃員とすれ違った。
「何だあの人、ぶつかったのに気が付かなかったのか?」
「まあまあ、給食の列に並ぼう」
今日のお昼ご飯はつけ麺と野菜サラダとバナナだった。
セルフでとりに行くのだった。
「「「いただきます」」」
優陽は手を合わせる。
やっと昼飯にありつけた。
喉越しのいい麺と美味しいスープのお陰で、口へ運ぶ手が止まらなかった。
「ご馳走様でした」
まれに見る、早食いでスタッフを驚かせた。
食器類は調理員が洗うため、箱の中に入れた。
「美味しかった?」
新しく会ったスタッフに声をかけられた。黒髪をお団子にしている。化粧はしていない、40代くらいの女性だ。
「はい。あ、あの、僕は石井と言います、お名前聞いてもいいですか?」
「佐藤理恵です。気軽に呼んでね」
「はい」
優陽が返事をすると、どこかに行ってしまった。
午後の活動になるまで奥のソファで待つことにした。
少しの時間がたった頃、「カラオケ大会します」と呼びかけで皆が集まった。
カラオケで皆が本気で歌っているのを聞く。
全員が終わると用紙に記入した。そして、集計の結果、各部門に賞状が手渡される。審査員賞と参加賞のお菓子が全員に配られた。
「それでは帰りのミーティングを始めます。司会をしてくれる方?」
場内がしーんとして、誰も手を挙げなかった。
「はい」
武は空気を読むかのごとく、手を上げた。
「皆さん、お疲れ様でした。今日のプログラムは、午前は散歩、書道。午後はカラオケ大会でした。吉田さんから感想をお願いします」
「特にありません」
「長口さん」
「ゆっくりできました」
「竹山さん」
「カラオケ大会が良かったです」
そして最後の優陽の番はきた。
「散歩が楽しかったです」
「はい、自分もカラオケ大会が楽しかったです。以上です」
武はそう締めくくった。
「自立支援の料金払う人は前に来てください。それでは、お疲れ様でした、気をつけて帰ってください」
理恵が言うと、皆は解散した。
「石井さん、駅まで行くの?」
尚人が声をかけてきた。
「うん」
「一緒に帰ろう?」
「うん」
「何歳だっけ?」
「41歳」
「意外と年いってたんだ。俺は40」
「若く見えるってことかな?」
「そうだね」
2人は料金を支払うと階段を降りに行く。
「長口さんはどのへんに住んでるの?」
優陽は仲良くしてくれる人ができて、つい饒舌になる。
「上りの電車に乗って、30分くらい揺られたところだね。駅からは近いけど」
「車の免許ないの?」
「危ないから運転しちゃだめだって。つーか、教習所に行くお金もないし」
「障害者年金は?」
「2級もらってる、2ヶ月に13万くらいかな」
「僕も3級なんだけど、これからもらう予定」
「あー2ヶ月に9万くらいかな?」
「そんなにくれるんだ」
「早く申請したほうが良いよ」
「わかった」
「石っちさ、ハイスタ好きなの? ステイゴールド聞いてたよね。俺も好きなんだ」
「え、長口さんも好きなの?」
2人は語り合いながら、駅までつく。
上りの電車に乗る尚人と、下りの電車に乗る優陽はそこで別れた。
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