美少女亜神〜最強の神技「時空間操作」が使えるけど防御力がゼロなので出来るだけ死なないように頑張ります

ひきこもりA

文字の大きさ
4 / 72
第1部 異世界イース編

004 今後の方針〜1年後まで引きこもる

しおりを挟む
【2日目 朝】


 目覚めると真っ暗なアナザーワールドの球状異空間の中に直径20cmの開口部から日差しが差しこんでいた。

 アナザーワールドの内面境界壁は空間構造そのものだから振動もたわみも一切生じない。非常に硬いのである。

 寝床としてはあまり適さないなあと思いながら体を起こす。壁面に接していた背中と腰、頭、踝くるぶしが痛むので両手を使ってしばらく摩る。



 魔法でコップに水を注ぎゆっくりと飲んでいくと徐々に思考がクリアになってきた


「これからどうしようかな」


 独り言をつぶやてしまう。


「ここには誰も聴いている人が居ないんだから独り言をつぶやいても問題はないよね」


 これからの方針を考えることにする。



 異世界の荒野に一人きりという危機への対応。これは昨日の時点で最低限の「生き残る」という目標は達成された。

 アナザーワールドと物質創造のお陰です。本当にありがとうございます。

 将来は亜神(時空)として死ぬことなく末永く、楽しく。基本的にはインドアで引きこるもる的に家でゴロゴロしながらウェブサイトを見たりテレビバラエティ番組を見ながらお茶とお菓子を摘む。そんな生活をしながら永遠に生き続けたい。

 そして地球に居る妻と子供にもう一度会いたい。亜神(時空)の能力があれば家族を更に幸せにできるだろうし普通なら避け得ない危機から救出する事も回避する事も阻止する事も出来るだろう。



 こんな感じかな。アッサリと決まってしまった。要するに地球に戻る必要がある。



 神様からもらった知識によると亜神としての成長条件は基本的には「時間経過」となっている。具体的には神力に関わるレベルアップは第1回目は1年経過のみが条件となる。

 亜神としての能力を再度確認するため神域にアクセスしてみる。


名前 NO NAME
種族 亜神(時空) 人(女性)
年齢 0歳(身体年齢15歳)
体力 G
神力 G
神技 時空間操作Aエネルギー操作G
   ベクトル操作G物質創造G
   生命体干渉G精神構造干渉G
   神域干渉G

 1年経った時の能力はこうなる。(予想)

名前 NO NAME
種族 亜神(時空) 人(女性)
年齢 1歳(身体年齢16歳)
体力 G
神力 F
神技 時空間操作Sエネルギー操作F
   ベクトル操作F物質創造F
   生命体干渉F精神構造干渉F
   神域干渉F
称号 神力レベルアップ1回済み


 時空間操作のレベル毎に使用可能となる技術はこんな感じだ。


時空間操作A  アナザーワールド
時空間操作S  宇宙間ゲート 宇宙内転移
時空間操作SS
時空間操作SSS宇宙創造 時空神創造


 つまり1年後には時空神としてのレベルが上がり「宇宙間ゲート」が使えようになる。
「宇宙間ゲート」を使ってこのイースと地球を接続すれば私は地球の神域に干渉できる。
地球の神域に干渉できれば地球に私の分身を作り出すことができる。

 分身の創造は物質創造F生命体干渉F精神構造干渉F神域干渉Fの神技を組み合わせることにより可能となる。

 私の分身は亜神(時空)である私の劣化型端末である。宇宙間ゲートの接続がある限り宇宙間ゲートを通じて知覚と思考を共有できる。また、亜神(時空)の神力を分身(劣化型端末)において限定的に行使できる。

 こんなことが出来るなら、私が地球に帰ることができると言っても良いよね?

 なお私の本体が死んだ場合でも私の分身が本体化して亜神(時空)に変化する。流石に亜神(時空)としてのレベルは初期化されてしまうけれど。私の分身を沢山作っておけば作るだけ私は死ににくくなる。まるで何処かの悪い魔法使いのようだなあ。



 第2回目以降のレベルアップの条件は「時間経過」に加えて他の条件も追加される。
追加条件の中身は神様情報から欠落していて分からない。

 レベルアップ条件の時間経過年数は次のようになっている。


 第2回目のレベルアップは
100000000年つまり1億年間の経過が条件。


 第3回目のレベルアップは
10000000000000000年つまり1京けい年間の経過が条件となる。


 3回目のレベルアップ条件とか気が遠くなる。人類のタイムスケールでは測れないよ。


 そして亜神から神への昇格は、神力、神技の全てのレベルがSSSとなることが条件。


 8回目のレベルアップなんだよね。10の56乗年間って事だ。


 あの神様凄いな。無限の過去から生きてるから条件を満たせたのか。そう言えば神様は、亜神は無限に居るって言ったけど神は無限に居るとは言わなかったな。

 もし神が無限に居ないなら亜神から神に至る追加条件の中に実現可能性ゼロなものがあると推定される。

 この件は興味深いけど優先度が低いのでここまでにしておく。今直面している課題は脆弱な依り代に入った状態で生き抜くことだからね。




 神のレベルアップ効果に引き続いて魔術の可能性について検討を加える。



 神様の知識によると魔術の魔力レベルは魔術の行使を繰り返す事により僅かに上昇する。

 魔術の習得は魔術を使える者が教えたい者の体に触れながら魔術の行使を繰り返す事により非常に僅かな確率で習得する。

 魔物の魔核に魔力を込めることにより魔物の固有魔術を行使出来るし僅かな確率で習得する。ただし魔核は一回使うと崩壊してしまう消耗品である。

 魔物の魔核は魔術行使の媒体かねて魔術習得の道具として価値ある物として売買取引の対象となっている。



 魔術の向上に努めようとして魔物を狩って魔核を集めるのも「僅かな確率で習得」とかの条件を考えると効率は悪そうだ。私には神技があるからね。

 それに魔物を倒す場合に怪我程度なら生命体干渉による「治癒」とか時空間操作及び物質創造による「再生」によって治療出来るんだけど、どうしても即死してしまうリスクを排除出来ない。



 という訳で「1年後までアナザーワールドに引きこもる」必要がある。



 これ以外に正解は無い。ある訳がない。1年後まで絶対に死ぬ訳にはいかないのであるから。唯一の正解。将棋で言えば答えが明らかな詰将棋。

 1年後には「宇宙間ゲート」は使えるし「分身創造」も使えるほか全体にレベルアップするので使える他の神技が増えるうえ神力の総量も上昇する。生存可能性が飛躍的に上昇するのだ。



 以上、決定された方針は。



「地球に戻る。生存可能性を上昇させる。
そのため1年後までアナザーワールドに引きこもる」



 一応の結論を得た私は朝ご飯の塩おにぎりを物質創造で作ると水を飲みつつ食べ始めた。



 内径2メートルの球状閉鎖異空間であるアナザーワールド。あと1年間もの長期間お世話になる。やはり居住性を高める必要があるね。

 まず平らな寝床が欲しい。球状異空間の底から80cm程の高さに平らな棚を作っていく。素材は時空間操作「障壁」要するにアナザーワールドの壁と同じ材料である。

 全面を床にしないのはトイレのために異空間開口部を適時下面に移動させる必要があるからである。外部世界に放出である。

 そうだ。物質創造でトイレットペーパーを早急に作らないと!大きいのがいつやって来るかわからないからね!

 神力の総量があまり多くないから生活必需品を揃えるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。




 結局この日は寝床の作成、トイレットペーパーの作成、おにぎり作成、そして球状異空間に神力を追加で注入して内径を拡張するという作業を行う。

 神力や魔術やこのイース世界に関する考察に耽ふけったり。

 かなりの時間を球状異空間開口部から周囲の観察と監視を行ったり。

 深夜となり神力総量が5パーセントを切ったところで昨日同様に球状異空間の底で丸まって寝た。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

処理中です...