美少女亜神〜最強の神技「時空間操作」が使えるけど防御力がゼロなので出来るだけ死なないように頑張ります

ひきこもりA

文字の大きさ
66 / 72
第5部 宇宙間ゲート編

066 竜の盆地へ(1)

しおりを挟む
【342日目 中央大陸 ネフライト演習場 午前10時頃】


「というわけで、今から竜の盆地に行きます。
竜の盆地は危険なので私と聖女である妹マルチナの二人で行きたいと思います」

「アリス様? 危険なのであれば第1使徒である私も行った方がよいと思います。ましてやマルチナお嬢様が行かれるのでしたら尚更です。是非行かせてください」

「第3使徒であるサーラ中尉も行きますよ! この局面で同行しないとなると何のために使徒になったのやら。行きますからね!」

「第2使徒キアラも行きたいです。闇竜タタウイネア、恐れるに足りず、です!」

「エミリーも怖いけど行きます。神楽で貢献できますので」

「儂も行きますぞ。闇竜タタウイネア。そして別世界の竜亜神セイタードが作ったという宇宙間ゲート。これらのものを見逃したとあっては一生後悔するじゃろうからのう。連れて行って下され。頼みますぞ?」



 むう。カルロネ司祭長だけは私の手伝いをするとも貢献するとも言わず。純粋に己の欲望のみを表明して竜の盆地への同行を宣言したよ? やはり基本的には司祭(邪)であったころと変わらないということかな? ま、いっか。この爺さん役には立つからね。



「うん。みんなありがと。でもやっぱりあの闇竜タタウイネアと火竜アエロステオンは危険な連中だし。何より奴らは思考の構造や価値観が人類とは異なっている恐ろしさがあるから」


 一応火竜アエロステオンの奴は調教してあるけど、いまいち信用できない。何しろあの野郎、マリアード伯爵領ではマルチナさん拉致監禁の指示をしたうえに拷問。その後の殺害まで指示しやがった。

 悪魔の魔境ではいきなり火弾9の速射による奇襲暗殺攻撃まで。よく考えたら火竜の野郎はその前科だけで死刑に値するね。調教したとはいえ、よく許してやったね私。改めて死刑を言い渡した方がいいかな? 無罪放免にするって宣言はしてないしね?



「じゃあ。今回は妹マルチナとグレタさんとサーラさん。それからカルロネ司祭長に一緒に来てもらいましょう。キアラさんとエミリーさんは待機で。この演習場内にサーラホームを置いていくから中に入って安全にしていてね。

「私は神としての第一回目のレベルアップをしたので転移マーカーを設置すればグレタさんとサーラさんを連れて転移できるから。ここにマーカーを設置するからすぐに戻ってこれるから安心して待っていてね」

「うん。分かったよ。何かあったらすぐに戻ってきてね。お母さん、サーラさん。気を付けて。ケガとかしないでね」

「大丈夫ですよ。このグレタ。闇竜や火竜が少しでも妙なことをすれば即座に闇弾9を叩き込んでやります。安心しておきなさい」

「うん。分かったよ。何かあったらすぐに戻ってきてね。お母さん、サーラさん。気を付けて。ケガとかしないでね」

「エミリーはキアラちゃんと待機。戦闘に関してはキアラちゃんが頼りになるんだから言うことを聞いて安全にしていてね?」

「分かった。お姉ちゃんもケガとかしないように。キアラちゃんの言うこと聞いて待ってるから」









 グレタさん、カルロネ司祭長、私、妹マルチナ、サーラさんの5人は一路竜の盆地に向かって走っている。この順番での一列縦隊である。

 中央大陸北東部に位置するネフライトから竜の盆地までは南西の方角におよそ1500km南下しなければならない。



 中央大陸。またの名をセントリア大陸。このイース世界における五つの大陸の内の中央に位置する。

 地球のオーストラリア大陸の右下を南にふくらませたような形。面積は約3000万平方キロ。地球でいえばアフリカ大陸よりもやや小さい面積の広大な大陸である。

 大陸の北部は半乾燥気候。北部西部一帯は広大な砂漠となっている。

 大陸中央部は赤道直下の熱帯雨林となっており、竜の盆地はこの地帯にある山岳地帯のど真ん中にある盆地となる。

 大陸の南部は亜熱帯サバンナ気候から温帯気候と徐々に気候は穏やかとなり地理的に最も近いラピスラズリ連合王国の勢力圏となる。



 中央大陸の周囲を狭くて浅い海である地中海が取り巻き、更に外側に東大陸イースリア、西大陸ウエストリア、南大陸サウリア、氷結大陸が取り巻く。

 西大陸と南大陸。南大陸と氷結大陸は狭い地峡で繋がっている。



 地中海は水深が浅く、陸地が常に見えるように航海することが可能であることから古くから海上交通が盛んなんだって。

 ジェダイト公国は地中海にイース世界有数の規模を誇る地中海艦隊を。そして地中海艦隊に乗り組ませ、または各地コロニーの防衛に任ずる海軍海兵遠征軍4個軍団を常設して世界各地に展開している。

 ジェダイトを含むイースリア大陸西岸に位置する各国は90年前から急激に国力、人口、軍事力を増大させて世界各地にコロニーを建設するようになった。

 カルロネ司祭長によれば、これらの国々には「異世界二ホンからの転生者」が同時期に出現して迷宮を完全に支配。迷宮からの資源や利益を利用して大発展を遂げたということである。なお、その転生者たちは全員死亡していて現在は生きていない。


 なるほど。道理でジェダイトの軍隊組織や行政組織が日本っぽい感じがするわけだ。見た目は馬車を使ったり火器が無かったりと中世的。下手するとローマ時代的な古代の雰囲気まであるのに部分的にエラく近代的だと思っていたんだよね。




 現在はネフライトから100km南下したあたり。アフリカのサバンナのような草原の中を南東方面に縦断する土がむき出しになった街道を爆走している。

 辺りにはシマウマやガゼルのような草食動物がチラホラ。茶色い野犬の群れやチーター的な大型のネコ科肉食獣の姿も見える。









 夕食を食べている時に「異世界二ホンからの転生者」の事を思い出した。ちょっとカルロネ司祭長に聞いてみようかな。


「カルロネ司祭長。司祭長は『異世界二ホンからの転生者』って人と会ったことあるんですか?」

「勿論ですじゃ。ジェダイトの前公爵様が『異世界二ホンからの転生者』で御座いますよ。儂は前公爵様からは随分と目をかけられましてな? 前公爵様がどんな魔術を使えるのかとか。前世の異世界二ホンがどんなところだったとかお話をしていただきましたぞ?」

「へえ。どんな魔術を持ってるって言ってたの?」

「魔物調教5。それと老化緩和1。魔物調教5があればすべての迷宮の踏破はただの散歩になりますぞ。何しろ魔物がすべて言うことを聞きますからな。
老化緩和は儂もアリス様から恩恵として頂きまして御座いますれば、その効果の途方もなさ。重々理解しております」

「なるほど。それで長生きして超長期政権を維持してジェダイトを発展させたわけか。このファンタジーA型標準宇宙のパターンとして迷宮支配による経済発展というのは重要なファクターかもしれないね。迷宮革命ってところかな?」



「アリス様。恐れながら、ファンタジーA型標準宇宙というのは何なので御座いますでしょうか。寡聞にして存じませんのでご教授していただけないかと。相済みません」

「アリス様。アタシも初めて聞くよ。何なの?」

「ファンタジーA型標準宇宙というのは、全知全能である時空神が定義した宇宙の種類だよ。宇宙=世界と思って大丈夫。

「このイースがある世界みたいに魔術が使える世界って何通りか種類があってね。A型はイース世界のタイプ。他にB、C、D、E、と何種類もある。
私が居たアースはアース型標準宇宙で魔術が無い世界なんだ」

「なんと。世界ごとにそんな異なるルールが有るとは。ではアリス様はアース型の魔法のない世界から来られた。そういうことで御座いますな。そして、アースに二ホンが有る」

「うん。そうだけど良く分かったね。日本は私が暮らしていた国だよ」

「前公爵様は二ホンで暮らされていたと仰ってましてな。若い時に世界を巻き込む大戦争を経験して95年間生きて大往生したと言われてました」

「へえ。その大戦争は太平洋戦争かもねえ。とすると生きてきた時代が若干かぶっているね。日本のどこに住んでいたっていってましたか?

「二ホンの首都であるオオサカとか。アリス様。ぴんと来ますかの?」



 二ホンの首都であるオオサカ? 冗談で言うかな? そんなこと。地球とは似て非なる世界なのか。


「半分ピンと来て半分はピンと来ないね。前公爵様の前世いた二ホンは私のいた世界ではないね。なんかちょっとホッとしたよ」

「ジェダイトの北にあるカイアストライト、ルベライト。南のスピネル、ラズナイト、ラピスラズリ。そして隣のオーバル公国。これらの国々には先代公爵様と時を同じくして二ホンの前世知識がある人達が誕生しておりましての。皆さん前世ではお知り合いだったとの事ですじゃ。そんなことがあるんですなあ」




 別の宇宙の知的生命体の精神をコピーしてイース世界の人類に転写することは今の私なら出来る。ゲートが繋がっていればね。

 私以外の誰か。亜神(時空)のイタズラだろうか。わざわざそんなことする意味も分からんけど。遊び? どっちにしろ質が悪いね。友達にはなれそうにないよ。

 しかし、このイース。7000年前の竜亜神セイタードといい。90年前の転生者といい。亜神(時空)に絡まれすぎでしょ。そして今が私、と。



 竜の盆地までの道のりは長い。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

処理中です...