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小話①
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爽やかな朝だった。
一ノ瀬晴ベッドの中でもそもそとスマホを操作し、昨夜の余韻に浸ろうとする。
昨夜は楽しかった。同時に、寂しかった。
なにしろ惚れ込んでいる彼氏とは只今遠距離恋愛中。ビデオ電話やトークアプリを駆使して距離を埋めるしかない状況だ。
祭りの後が寂しげなのと同じで、調教の後もやっぱり寂しい。
彼氏である各務圭樹をたっぷり弄んで長距離調教して。
外資系のエリートサラリーマンである彼が、ぐちゃぐちゃな泣き顔で晴に媚びて、縋って、求めてくれたのだ。
「……あー。楽しかったなぁ……ナマでヤれたら、もっと楽しいのに」
ぷくんと尖らせた唇は桜色で艶々している。柔らかなな栗毛や垂目がちの瞳に泣き黒子という晴の容姿は、野に咲く花のように優し気で中性的だ。
中身は食虫花よりもタチが悪いのだが。
「圭樹さん、今日は仕事だっけ……メールくらいならいっか」
LINEは誤爆が怖いので、“ご主人様”な時はもっぱらメールが多い。
ベッドにうつ伏せになり足を交互に動かして、楽器を弾くような指さばきで文字を打ち込む。
『オハヨウ。朝の報告。まだ発情してる?』
仕事が休みの前日は濃厚に虐めてやるところだが、半日とはいえ休日出勤がある今日はそれを慮って、いつもよりは手加減してあげたのだ。
今日は春物の服でも買いに行こうかな、そんなことを思いながら返信を待てば、すぐに響く着信音。
『ご主人様、おはようございます。ご主人様に連絡頂くまでは通常でしたが、ご主人様の名前を見てまた発情しました』
――僕の彼氏、可愛すぎ!
晴はごろごろとベッドに転がった。
本当にもう、いじらしいというか健気というか。もっともっと虐めてあげなくちゃ。だって圭樹さんは虐められるのが好きだもんね。そんなことも思う晴だが、自分が虐めるのが好きという部分は綺麗に無視している。
それにしてもブランドスーツを乱れ一つなく着こなして仕事に向かう圭樹が、あの端正な顔でこんな文を打つとか、それだけで心が弾んでくる。
『また発情したの? ほんと圭樹さんって淫乱。淫乱でごめんなさいって昨夜泣きながら謝ってイったのに、まだ足りないの?』
昨夜は仕事だから焦らしてイくだけで許してあげたのだ。
泣きながら『淫乱でごめんなさい』とビデオ電話で謝りながら、発情期の雌犬みたいにヘコヘコ腰を振ってイく姿は眼福だった。
にやにやと昨夜の姿を思い出していれば、また着信音。
『ご主人様の前ではどこまでも強欲で淫らになってしまいます。ご主人様の前だけです』
――当然だよね。僕以外の前でそんな風に乱れたら許さないから。
気を良くした晴は昨夜のビデオ電話のスクリーンショットを選んで、鼻歌を歌いながら手書きの文字を添えて画像添付して送信する。画像を見て、夜と昼では顔を使い分ける圭樹は赤くなるだろうか。
涙を流し、舌を垂らしてイく瞬間のスクリーンショットに、腹部に「インラン」、右のふとももに「スケベ犬」、左のふとももに「チンポ好き」と書き、床から矢印を引いて股座あたりに向かっ“ボク用”と。
長期出張前は、本当にマジックでもっと淫らな言葉を圭樹の肌に書き連ねたものだが、小さい画像ではこれが精いっぱい。
会って遊べた前はガラステーブルに跨らせ、極太マジックをアナルに咥えさせて、ガラステーブルに“ハル”と文字を書かせたりもしたのに。当然ながら、ガラステーブルの下にビデオはセット済みだった。
よし、今夜あの映像をオカズに抜こう。
ナマで調教できなくて、遠距離って本当に悲しい。
そんなことを思っていれば返信が遅いことに気づく。
落書き画像で怒る圭樹ではないが、出勤の時間なのかもしれない。
横暴で鬼畜プレイを好んでも、圭樹の実生活にダメージは与えたくない晴だ。また夜にでも話そうとベッドから起きだして出かける準備を始める。
髪を整えている最中に着信音が響いた。
見れば添付画像付き。中を開けば――。
「ああ、もう! 出かけるのヤメヤメ! 圭樹さんが仕事から戻ったら、いっぱい可愛がる! 真昼間からアヘらせてやるんだから! アヘ顔ダブルピースさせちゃうよ!」
画像を見た途端、晴は地団太を踏んでベッドに飛び込んだ。
……ちくしょう。仕事は仕事、プライベートはプライベートって頑なに線引きしていた圭樹さんが……。
スマホを見れば、ネクタイを口に咥え、スーツの上着とシャツを開いてズボンをずり下げた圭樹の姿。臍の下と陰茎ぎりぎりの間に少し歪んだ文字で“ハルサマおちんぽ用”と――。
あの圭樹が。エリートで真面目で仕事に厳しい圭樹が。
下腹に自分で晴のものだと宣言して仕事に向かうのだ。
あの怜悧な端正な顔で、自分の腹にあんな文字を書くなんて。
これが悶えずにいられようか。
絶対に、泣かす。
昨夜以上にぐちゃぐちゃにしてやる。
『仕事終わったらすぐに連絡。圭樹は僕のチンポ専用なんだから、僕の好きにするよ?』
『はい。喜んで』
圭樹の仕事が終わるまで、晴は悶々としなくてはならない。でもそれでもいい。
その悶々は圭樹に三倍返ししてやればいいのだから。
一ノ瀬晴ベッドの中でもそもそとスマホを操作し、昨夜の余韻に浸ろうとする。
昨夜は楽しかった。同時に、寂しかった。
なにしろ惚れ込んでいる彼氏とは只今遠距離恋愛中。ビデオ電話やトークアプリを駆使して距離を埋めるしかない状況だ。
祭りの後が寂しげなのと同じで、調教の後もやっぱり寂しい。
彼氏である各務圭樹をたっぷり弄んで長距離調教して。
外資系のエリートサラリーマンである彼が、ぐちゃぐちゃな泣き顔で晴に媚びて、縋って、求めてくれたのだ。
「……あー。楽しかったなぁ……ナマでヤれたら、もっと楽しいのに」
ぷくんと尖らせた唇は桜色で艶々している。柔らかなな栗毛や垂目がちの瞳に泣き黒子という晴の容姿は、野に咲く花のように優し気で中性的だ。
中身は食虫花よりもタチが悪いのだが。
「圭樹さん、今日は仕事だっけ……メールくらいならいっか」
LINEは誤爆が怖いので、“ご主人様”な時はもっぱらメールが多い。
ベッドにうつ伏せになり足を交互に動かして、楽器を弾くような指さばきで文字を打ち込む。
『オハヨウ。朝の報告。まだ発情してる?』
仕事が休みの前日は濃厚に虐めてやるところだが、半日とはいえ休日出勤がある今日はそれを慮って、いつもよりは手加減してあげたのだ。
今日は春物の服でも買いに行こうかな、そんなことを思いながら返信を待てば、すぐに響く着信音。
『ご主人様、おはようございます。ご主人様に連絡頂くまでは通常でしたが、ご主人様の名前を見てまた発情しました』
――僕の彼氏、可愛すぎ!
晴はごろごろとベッドに転がった。
本当にもう、いじらしいというか健気というか。もっともっと虐めてあげなくちゃ。だって圭樹さんは虐められるのが好きだもんね。そんなことも思う晴だが、自分が虐めるのが好きという部分は綺麗に無視している。
それにしてもブランドスーツを乱れ一つなく着こなして仕事に向かう圭樹が、あの端正な顔でこんな文を打つとか、それだけで心が弾んでくる。
『また発情したの? ほんと圭樹さんって淫乱。淫乱でごめんなさいって昨夜泣きながら謝ってイったのに、まだ足りないの?』
昨夜は仕事だから焦らしてイくだけで許してあげたのだ。
泣きながら『淫乱でごめんなさい』とビデオ電話で謝りながら、発情期の雌犬みたいにヘコヘコ腰を振ってイく姿は眼福だった。
にやにやと昨夜の姿を思い出していれば、また着信音。
『ご主人様の前ではどこまでも強欲で淫らになってしまいます。ご主人様の前だけです』
――当然だよね。僕以外の前でそんな風に乱れたら許さないから。
気を良くした晴は昨夜のビデオ電話のスクリーンショットを選んで、鼻歌を歌いながら手書きの文字を添えて画像添付して送信する。画像を見て、夜と昼では顔を使い分ける圭樹は赤くなるだろうか。
涙を流し、舌を垂らしてイく瞬間のスクリーンショットに、腹部に「インラン」、右のふとももに「スケベ犬」、左のふとももに「チンポ好き」と書き、床から矢印を引いて股座あたりに向かっ“ボク用”と。
長期出張前は、本当にマジックでもっと淫らな言葉を圭樹の肌に書き連ねたものだが、小さい画像ではこれが精いっぱい。
会って遊べた前はガラステーブルに跨らせ、極太マジックをアナルに咥えさせて、ガラステーブルに“ハル”と文字を書かせたりもしたのに。当然ながら、ガラステーブルの下にビデオはセット済みだった。
よし、今夜あの映像をオカズに抜こう。
ナマで調教できなくて、遠距離って本当に悲しい。
そんなことを思っていれば返信が遅いことに気づく。
落書き画像で怒る圭樹ではないが、出勤の時間なのかもしれない。
横暴で鬼畜プレイを好んでも、圭樹の実生活にダメージは与えたくない晴だ。また夜にでも話そうとベッドから起きだして出かける準備を始める。
髪を整えている最中に着信音が響いた。
見れば添付画像付き。中を開けば――。
「ああ、もう! 出かけるのヤメヤメ! 圭樹さんが仕事から戻ったら、いっぱい可愛がる! 真昼間からアヘらせてやるんだから! アヘ顔ダブルピースさせちゃうよ!」
画像を見た途端、晴は地団太を踏んでベッドに飛び込んだ。
……ちくしょう。仕事は仕事、プライベートはプライベートって頑なに線引きしていた圭樹さんが……。
スマホを見れば、ネクタイを口に咥え、スーツの上着とシャツを開いてズボンをずり下げた圭樹の姿。臍の下と陰茎ぎりぎりの間に少し歪んだ文字で“ハルサマおちんぽ用”と――。
あの圭樹が。エリートで真面目で仕事に厳しい圭樹が。
下腹に自分で晴のものだと宣言して仕事に向かうのだ。
あの怜悧な端正な顔で、自分の腹にあんな文字を書くなんて。
これが悶えずにいられようか。
絶対に、泣かす。
昨夜以上にぐちゃぐちゃにしてやる。
『仕事終わったらすぐに連絡。圭樹は僕のチンポ専用なんだから、僕の好きにするよ?』
『はい。喜んで』
圭樹の仕事が終わるまで、晴は悶々としなくてはならない。でもそれでもいい。
その悶々は圭樹に三倍返ししてやればいいのだから。
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