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1話 俺はどうやら猫に転生したみたいだ
しおりを挟む温かい…。
俺の全身包んでくれるような、優しい温もりに、心から安心するような匂い。
ん?
顔をザラザラとした何かに、触れ…重たい目蓋を開ける。
そこには黄金色の瞳…白い体に、黒と茶色の大きな猫がいた。
「にゃあ!?(な! 敵か!?)」
は? なんだ今の声は?
自分が発した声に、混乱する。
ふと、大きな猫を見ると…。
その猫は、両手で俺を抱きしめ…舌を出し、近づいてくる。
待て! 止めろ!! 俺にそんな趣味はないぞ!?
クソ! 何故か力が出ないぞ!? どうなってるんだ!!
ジタバタする事を気にすることもなく、ザラリ…ザラリ…と俺の顔を舐める。
うぉぉぉおおおお……お?
ザラリ…ザラリ…。
ふむ…。
ザラリ…ザラリ…。
悪くない…な…。いや、どっちかと言うと落ち着くな。
「にゃあ~」
おっと、つい声が…。
「………」
落ち着け、落ち着くんだ俺。
まずは自分の姿を確認するとしよう。
まず、右手を上げると…モフモフの手に肉球が。
そして、左にも同じようなモフモフと肉球が…。
……ふぅ。
待て、まだ決まったわけではない。
まだ、自分の姿を確認したわけじゃない。
ん?
ふと、急に大きな猫が舐めるのを止めた事で顔を上げると…。
大きな猫の黄金色の眼に映る、同じ色の小さな猫の姿が眼に入った。
俺はどうやら猫に転生したみたいだ。
€€€€€
コクコクコク…。
慣れると、中々コクがあって旨いな。
しかも不思議な事だが、この母乳には濃い魔力も含まれている。
最初は親猫が、乳首を押しつけてきてビックリしたぞ。
猫の事はよく知らんが、人間みたいに押しつける物なのか?
少なくとも、高位の魔物ではない限り、自分から滅多に構うことはない、と…ばかり思っていたが、俺の思い違いなのかもしれないな。
それにしても…。
確か猫や犬などは、1度に複数を産むと、昔聞いたことあったが…ここには、俺1人…いや、1匹しかいないぞ?
何か理由があるのか?
それに、母猫がいるのに父猫はいないのも変だ。
普通はいるものなんじゃないか?
「ケフ」
親猫の母乳を飲み終えると、ゲップが出た。
すると、親猫は俺を包み込むように丸くなり目蓋を閉じた。
…確かに、俺は温もりが欲しいと言った。
だが…。
だがな…?
俺が欲しかった温もりとは、あってはいる!! …が! だ。
何故、猫なんだ!?
待て、逆に考えるんだ。
俺は、人間だった頃、強大な力を持ち人々を守る事を強要されてきた。
それは、苦しい日々だった…。
ザラリ…ザラリ…。
見ろ、親猫も何かを感じ取ったのか、慰めているのではないか。
幸い、今の俺には空間魔法は使えないみたいだ。
まるで瓶にフタがされているみたく魔法が使えんのだ。
誰でも使える身体強化さえも、使えん。
これでは、人々を助けたくとも、助けることは不可能だ。
なら…。
俺は…いや、猫は猫らしく生きるとしようではないか。
そうと決まれば!
コテン…と、親猫の体を枕にし目蓋を閉じた。
腹も膨れたし寝るとするか。
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